欧州連合(EU)などによるギリシャ向けの第2次支援策の実施が、ようやく決まった。
財政危機のギリシャは3月20日に国債の大量償還を予定する。支援が滞ると資金繰りに行き詰まり、世界の市場を揺るがす債務不履行(デフォルト)に陥るほかない。
土壇場で支援決定にこぎつけ、当面のデフォルト回避へ前進したことをひとまず歓迎したい。
ユーロ圏財務相会合が合意した第2次支援策は、EUと国際通貨基金(IMF)による1300億ユーロ(約14兆円)の融資と、民間金融機関が保有するギリシャ国債の元本削減が柱である。
支援の大枠は昨秋固まったが、財政再建の公約を何度も破ってきたギリシャに対する不信感は根強く、決定が大幅に遅れた。
ギリシャは先週、ユーロ圏などから条件として求められた関連法を成立させ、追加の歳出削減策をまとめた。連立与党は財政改革に取り組む誓約書も提出した。
独仏両国などが、こうした努力を評価し、2次支援策を決断したのは妥当と言える。通貨ユーロの安定にも寄与しよう。
だが、先行きに不安も残る。
ギリシャでは4月にも総選挙が行われる。優勢が伝えられる与党第2党の党首は、現政権の緊縮策を引き継ぐとしているが、見直しの可能性も示唆している。
国内では、緊縮策に反対するデモが続いている。世論に迎合し、政府の改革姿勢が緩まないかどうか、EUとIMFは厳しく監視しなければならない。
ギリシャは、国内総生産(GDP)に対する債務残高比率を現在の約160%から2020年に約120%に低下させる計画だ。しかし、景気が一段と悪化し、財政再建が進まない恐れがある。
ギリシャにとっては、財政再建を着実に実行しつつ、景気回復も図らねばならない茨の道が続く。断固たる実行力が求められる。
改革にまたも行き詰まり、さらなる追加支援を仰ぐ事態を招けば独仏などの反発は必至だ。
その時は、ユーロ圏の連携が揺らぎ、ギリシャのユーロ離脱論も現実味を帯びることだろう。
今週末からメキシコで、日米欧と新興国による主要20か国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が開かれる予定だ。
G20は、ギリシャと欧州に、危機克服への継続した努力を改めて求める必要がある。併せて、G20の結束を再確認し、世界経済の安定を目指さねばならない。
この記事へのコメントはありません。