政権交代後初の国政選挙となった参院神奈川、静岡両補欠選挙は、いずれも民主党の候補が当選した。先の総選挙圧勝の余勢を駆っての勝利といえよう。
両補選は、民主、自民両党の公認候補による事実上の一騎打ちだった。民主党は、発足間もない鳩山内閣の高支持率を背景に、優位に戦いを進めた。
一方の自民党は、総選挙の惨敗で補選の先頭に立つべき衆院議員が激減しただけでなく、連立相手だった公明党も、自主投票に回った。さらに旧来の支持団体も自民党離れを起こして、“三重苦”の選挙戦を強いられた。
民主党は、参院過半数まであと8議席となった。来夏の参院選で前回と同じ60議席を獲得すれば、単独過半数に届く計算になる。小沢幹事長を中心に参院選に全力を挙げることになるだろう。
しかし、鳩山新政権としてはまず、初の臨時国会を乗り切らなければならない。
来年度予算編成も急ぐ必要がある。95兆円超にも膨れ上がった概算要求をどこまで削り込めるか。子ども手当や高速道路一部無料化などの新規政策の財源手当てをどうするか。すぐに答えを求められる課題が山積している。
社民党との調整に手間取ることが予想される安全保障政策は、先送り姿勢が目立っている。
沖縄の米海兵隊普天間飛行場の移設問題では、米国から、来月のオバマ大統領来日までの決着を迫られている。にもかかわらず、鳩山首相は「時間がかかる」などとあいまいなままだ。
インド洋での海上自衛隊の給油活動も「単純延長はしない」と言うだけで、ずるずると来年1月の期限切れを迎えそうな様相だ。
読売新聞の世論調査では、安保政策を中心に連立政権の足並みが乱れていると思っている人は過半数に達している。首相は、普天間や給油活動の問題に早急に結論を出す必要がある。
鳩山首相の架空個人献金問題に関する首相の説明に、「納得できない」とする回答が7割もある。首相は、この問題でも説明責任が問われている。
きょうからの国会では、これらが主要な論点になるだろう。
両補選で敗れた自民党は、国会審議を通じて、反転攻勢をかけたいところだ。政権に対してチェック機能を果たすことは野党の重要な務めである。追及するだけでなく、建設的提案も含めて、実りある論戦に努めることが大事だ。
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