モーターショー エコが握る自動車産業の未来

毎日新聞 2009年10月26日

モーターショー 環境技術をさらに磨け

「クルマを楽しむ、地球と楽しむ」をテーマに千葉市の幕張メッセで第41回東京モーターショーが来月4日まで開かれている。

海外の主要メーカーがそろって参加せず、会期は前回07年より4日短い12日間となった。背景として、昨秋のリーマン・ショック以来の業界への逆風があるが、自動車の現在と未来をPRする場としての日本市場の地盤沈下も否めない。独フランクフルト、米デトロイトと並ぶ世界の3大モーターショーという位置づけは、大市場を持つ中国の勢いに押され気味だ。今年4月の上海国際モーターショーには、今回参加しなかった欧米の主要メーカーや韓国・現代自動車も出展した。

ショーの色彩も性能やデザインの斬新さを競い合うかつての「夢」中心から、実用と市場性を重視した技術を見せる「現実」主体に変わった。キーワードは「環境」だ。

トヨタが次世代のハイブリッド車として、家庭で充電できるプラグインハイブリッドの「プリウス」を国内で初めて展示し、ホンダも来年2月発売のスポーツタイプのハイブリッド車を紹介した。また、日産自動車は、来秋投入する電気自動車の「リーフ」を披露した。ゴーン社長は「低燃費車やハイブリッドでは、環境問題の解決にならない。『排出ガスゼロ』こそ目標だ」と意気込んだ。7月に世界初の量産電気自動車「i-MiEV(アイミーブ)」を発売した三菱自動車は、生活に電気自動車を自然に根付かせるという考えを提示している。

しかし、実用に的を絞ったことが課題も浮き上がらせた。トヨタのプラグインハイブリッド車は、3時間かけて満充電し、電気で走れる距離は20キロ。日産の電気自動車の走行可能距離もデータ上は160キロ、実走行では100キロ程度とみられている。いずれも電池などのために車重は、低燃費の小型車より5割程度重い1・5トン以上になりそうだ。体重数十キロの人間を運ぶ道具としては大がかりすぎ、「環境に配慮した」と胸を張るのは気が引ける。それだけ資源もたくさん消費しているわけで、走行中の環境負荷を減らそうとすると、製造段階での環境への影響が増大するという問題は悩ましい。

もっともコンパクト化や軽量化は日本で培われた技術が生きる場で、日本のメーカーの未来が広がる分野だ。発展途上の自動車の環境対応をリードしていくのは日本だという事実は、市場としての重みが揺らいでも変わらない。環境技術とそこに込めた考え方を世界に発信することで、東京モーターショーの新たな存在感を構築して、世界の注目を集めてほしい。

読売新聞 2009年10月25日

モーターショー エコが握る自動車産業の未来

2年に1度の自動車業界の祭典、東京モーターショーが開幕した。

舞台の中央でスポットライトを浴びているのはどれもエコカーだ。クルマの主役交代を象徴する光景といえよう。

世界的な自動車不況の影響で、海外の主要メーカーが参加を見送った。だが、日本メーカーは最先端の環境技術を駆使した最新モデルや試作車を出品している。

自動車産業は「脱ガソリン」という100年に1度の変革のさなかにある。勢ぞろいしたエコカーが、次世代の日本の自動車産業を担うといっても過言ではない。

各社がショーの目玉に据えているのは、モーターとガソリンエンジンを併用するハイブリッド車(HV)と、電気モーターだけで走る電気自動車(EV)だ。

トヨタ自動車はコンセントから充電できるプラグイン・ハイブリッド車を出した。日産自動車は来年発売する新型EVのほか、2人乗りEVの試作車も披露した。

HVもEVも、電気を主な動力源とする点は同じだ。すでにトヨタやホンダのHVが新車販売の上位を占め、三菱自動車や富士重工業は法人向けにEVを市販している。エコカー競争はクルマの「電化」を競う形で進みそうだ。

そうなると、精密で複雑なガソリンエンジンがなくても、高性能の蓄電池さえあれば、いいクルマが作れるようになる。

米国では、3大自動車メーカーの不振をよそに、EVを製造するベンチャー企業が数多く登場している。日本の自動車産業も、系列部品メーカーの再編や異業種との連携といった経営戦略の見直しが必要だろう。

マツダとダイハツは、ガソリン1リットルで30キロ以上走る超低燃費車を出展した。停止時にエンジンを止めたり、車体をあえて小さくしたりして、ハイブリッド車並みの燃費を実現している。

エコカーが普及期に入っても、当分はガソリン車の時代が続く。これまで培ってきた低燃費技術の底上げも忘れないでほしい。

海外勢がショーへの参加を見送った背景には、日本の自動車市場の縮小がある。昨年の国内新車販売台数は508万台と、ピーク時より200万台以上減った。

「環境に優しい」だけでは、クルマ離れに歯止めはかかるまい。ショーの中で、各社は居住性や安全性、高齢者への配慮などでもさまざまな提案をしている。さらに進化した「人にも優しい」クルマの実用化を急ぐべきだろう。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/93/