モーターショー エコと未来カーで日本復活を

毎日新聞 2011年12月05日

モーターショー 「エコ」プラスαに期待

自動車にかかわる最先端の技術を披露する東京モーターショーが、11日まで東京都江東区の東京ビッグサイトで開催されている。来場者の便に配慮し、24年ぶりに東京での開催になった。

東日本大震災で部品の供給網を分断され、一時は生産停止に追い込まれた国内自動車産業の復興や将来性をアピールする場として存在感を示してほしい。

2年前に千葉市の幕張メッセで開いた前回は、リーマン・ショックのあおりで海外メーカーの出展辞退が相次ぎ、入場者もピーク時の3分の1以下の61万人にとどまった。今回は欧州メーカーの参加が大幅に増えて国内外の176ブランドが出展し、80万人の集客を目指している。

会場で目立つのは、環境への負荷を抑える「エコカー」だ。ハイブリッド車(HV)や家庭で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、さらに低燃費のガソリン車など、各社が得意とするエコ技術を競っている。

こうした環境対応の技術では、日本メーカーが優位に立ってきた。しかし、今回は欧州メーカーも同様の技術を活用したエコカーをそろえてきた。技術面で、急速に追い上げられている実態がうかがえる。

「エコカーは当たり前」ともいえる状況であり、その先を目指す国際的な研究開発競争が、激化しそうだ。とはいえ、1社でそうした開発を賄うのは容易ではない。トヨタ自動車と独BMWが先日、環境技術で提携したが、日本メーカーは、国境を超えた連携も視野に入れ、競争力の強化を図る必要があるだろう。

一方、国内の自動車需要はしぼむ一方だ。とりわけ、都市部を中心にした若者の「車離れ」は、いわれて久しい。複数の世帯で1台の自動車を利用し合うカーシェアリングも広がる可能性がある。

単なる移動手段としてでは、需要拡大に限界が見えたともいえる。日産自動車のカルロス・ゴーン社長が「自動車メーカーが車づくりのみに集中する時代は終わりを告げた」と述べたのは象徴的だ。

今回のモーターショーには、災害時など必要に応じてEVから家庭に電気を供給するシステムや、スマートフォンを鍵の代わりにしたり、携帯電話の操作で充電や放電ができるEV、スマートフォンで取り込んだ画像を車体に映し出せる車などが登場した。自動車が、交通だけでなく電力や情報通信といった社会インフラの一翼を担う可能性を示したといえるだろう。

「エコ」プラス「α」を求められる次世代車の開発に向け、各社の知恵比べを期待したい。

読売新聞 2011年12月04日

モーターショー エコと未来カーで日本復活を

魅力あるデザインや最先端の技術を競い、自動車メーカーはもの作りの底力を示してほしい。

「世界はクルマで変えられる」をテーマに、東京モーターショーが開幕した。ドイツなど13か国・地域から約170社が参加し、最新エコカーや未来車を出展している。

リーマン・ショック直後だった2年前の前回、欧米主要メーカーの参加がほとんどゼロだったのと比べると、かなり盛り返した。

しかし、米自動車大手(ビッグスリー)は不参加だ。出展台数も11月末に開幕した中国・広州のモーターショーの半分で、残念ながら地盤沈下は否定しがたい。

新車市場が縮小している日本より、世界最大の市場に急成長した中国などの新興国を海外メーカーは重視しているのだろう。

とはいえ、モーターショーは東京から情報を発信するチャンスである。高い技術力を誇る日本各社は巻き返しを図りたい。

今回、目立つのは、実用段階に入った電気自動車(EV)など進化したエコカーである。

量産型EVで先行する日産自動車と三菱自動車は、EVの電池を生活用の電源に使える未来住宅を出展した。日産は降車すると無人の自動運転で駐車場に向かい、充電して戻ってくる車も示した。

トヨタ自動車は、家庭でも充電可能なプラグインハイブリッド車(PHV)のプリウスや、スマートフォンからの指示で画像を車体に表示できる未来カーが目玉だ。ホンダは次世代電動スポーツカーなどを展示している。

これまでの自動車のイメージを超えようとする各社の意気込みが伝わってくる。

日産のカルロス・ゴーン社長が「車だけを売る時代は終わった」と述べたのはもっともである。

欧米勢だけでなく、韓国や中国メーカーも急伸し、競争は激しい。日本勢が技術開発を主導したり、社会インフラとしての車の新たな利用法を提案したりして、市場開拓を図ることが求められよう。

日本各社は、東日本大震災とタイ洪水で部品供給網(サプライチェーン)が寸断し、生産停止や減産に追い込まれた。超円高への対応も急務で、逆風が続く。

自動車産業はすそ野が広く、日本経済を支える大黒柱である。いばらの道を克服して活性化しないと、震災復興や、日本の本格的な景気回復も遅れかねない。

技術力と創意工夫をバネに、日本を牽引(けんいん)する自動車メーカーにかかる期待は大きい。

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