タイ大洪水 早期復旧に日本の支援が必要

毎日新聞 2011年10月19日

タイ大洪水 復旧復興に日本の力を

大規模洪水による浸水が広がっているタイでは、被害が首都のバンコクにも及び、市内の一部ですでに浸水が始まっている。バンコクは国土を縦断するチャオプラヤ川の最下流に位置する。北部、中部を襲った洪水が河口部分にまで達した格好だ。

タイ政府は水を運河などに逃がす「首都防衛作戦」に着手している。大潮は過ぎたものの雨はまだまだ続くという。市民は不安を募らせ、コメや飲料水などの買い占め騒動も起こっているようだ。

広範な地域での浸水により多数の被災者が出ており、死者も全体で300人を超えているという。

国際的な援助活動も始まっており、東日本大震災の際に大きな支援を受けた日本としても、積極的に取り組んでいきたい。

経済も大きな打撃を受けている。東南アジア最大の拠点として日本企業も数多く展開しており、東日本大震災から半年を経て復旧した日本のサプライチェーン(供給網)は、タイの洪水により、再び危機に直面している。

タイには大規模な工業団地が造成され、外国資本の誘致を積極的に進めてきた。税制の優遇措置や治安が比較的安定していることもあって、日本からも自動車や家電、精密機器などの企業が、部品メーカーも含めて多数進出している。

特に自動車は、米国や中国に次ぐ海外での重要な生産拠点だ。完成車以外でも主要な部品の生産を担っており、中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々への供給の要ともなっている。

東日本大震災の際に日本からの部品供給が途絶え、世界の製品供給に大きな影響を与えた。タイでの洪水による被害がさらに拡大し、長引くことになれば、東日本大震災と同様に、世界への影響も広がることになる。被害の拡大を抑止し、生産活動の復旧に向け、進出している日本企業にも全力を挙げて取り組んでもらいたい。

50年に1度と言われる豪雨が襲ったのが今回のタイの大洪水の原因だが、森林の伐採や、産業化による水田の埋め立てなど、保水力の低下も被害拡大の一因とされている。

また、中流の大規模ダムが決壊する恐れがあったことから、大量放水され、深刻な河川の氾濫につながったともいい、ダムの貯水と放水のあり方が問題となっている。

被災者への救援や支援の一方で、日本としては、長期的な視点での治水に対する協力も欠かせない。長年にわたり治水に取り組んできた日本の経験をもとに、洪水対策の面でも、官民を挙げてタイへ協力を進めていきたい。

読売新聞 2011年10月18日

タイ大洪水 早期復旧に日本の支援が必要

タイが過去50年で最悪の大洪水に襲われ、深刻な被害が出ている。

日本は米国などと連携し、早期復旧を支援することが求められよう。

7月からタイ北部などで豪雨が降った影響で、国土を縦断するチャオプラヤ川上流で洪水が発生した。全国で3分の1の県が冠水して約300人が死亡し、首都バンコクの一部も浸水した。

被害額は少なくとも1000億バーツ(約2500億円)に上り、タイ経済への影響は甚大だ。

今後も大雨が続く見通しで、海の大潮と重なり、被害の一層の拡大を警戒しなければならない。

大洪水をどう食い止めるのか。治水対策は大幅に遅れている。8月に発足したインラック政権にとって、最初の試練である。

大洪水は、現地の日系企業にも大きな被害をもたらしている。

中部アユタヤ県では、主要工業団地がすべて水没し、自動車や電機など日系の被災企業は約320社に達した。ホンダが操業を停止したほか、タイでの部品調達が困難となり、トヨタ自動車は3工場の操業停止を延長した。

「東洋のデトロイト」と言われるタイは、日本の自動車産業にとって中国、米国と並ぶ重要な海外生産拠点だ。日系の部品メーカーなどが集積し、企業各社の国際的なサプライチェーン(部品供給網)の拠点でもある。

タイでの部品供給が滞ると、タイ以外でも減産が広がろう。日系企業のタイ進出は加速してきたが、弱点を突かれたといえる。

各社は日本からの部品調達などの対応策を急がねばならない。

自動車各社は、東日本大震災の打撃から立ち直りつつあったが、大洪水が長期化すれば、業績への悪影響も懸念されよう。

それだけに日本が率先し、大洪水からの早期復旧に協力することが重要である。

政府は、テントなどの緊急援助物資を供与するほか、国際協力機構(JICA)の専門家を東南アジア諸国連合(ASEAN)のチームに派遣することを決めた。米国政府も、海兵隊を現地入りさせ、支援物資を送った。

しかし、被害は甚大だけに、もっと大規模で国際的な支援態勢が不可欠だろう。

日本は2004年のインド洋大津波で自衛隊を派遣し、支援に当たった実績がある。東日本大震災の復旧の教訓も生かしたい。

政府は速やかに支援策の拡充を検討し、復興や防災協力でもタイに手を差し伸べるべきだ。

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