労働団体・連合の新会長に松下電器産業(現パナソニック)出身の古賀伸明氏が就任した。
高木剛・前会長のもとで2期4年間、事務局長を務めており、順当な人事だ。
連合は「政権を担い得る新しい政治勢力の結集」を目指し、民主党を支援してきた。「悪化する雇用情勢を好転させるには政権交代しかない」と主張してきた。その目標を達成し、「長年の悲願が実現した」とまでコメントする。
新執行部の緊急課題は雇用問題である。連合はこれまでも、介護や農業、環境分野を柱とした雇用創出とともに、着実な景気回復の必要性を訴えてきた。
だが、民主党が政権公約に掲げた求職者支援制度の創設、製造業派遣の原則禁止、最低賃金の引き上げなどは、どれも安全網の整備や格差是正策だ。直接、雇用の創出につながるものではない。
政府が有効な対策を打てず、景気が停滞したまま雇用情勢が一段と悪くなるようでは、連合内部で政権交代実現の高揚が急速に冷める事態ともなりかねない。
加盟組合には、鳩山首相が示した温室効果ガス削減の中期目標に対し、産業の競争力が低下するなどと批判する組織がある。製造業派遣の禁止にも反対の声がある。公務員改革には、公務員関係労組の抵抗が予想される。
組織の一体感を保つうえで、執行部はこれまで以上に難しい舵取りを迫られるだろう。
政府に同調するだけの労働団体では、存在意義がない。労働現場の声を吸い上げ、批判すべきは厳しく批判する姿勢が不可欠だ。
連合は先月、労働政策を検討する際は労使の代表が参加する審議会での議論を踏まえるよう鳩山首相に要請した。労使協調路線に変更はないとの表明でもある。
最低賃金のように、「審議会の意見を聴いて決定」することと法律で明記しているものもある。
企業の労使に直接かかわるテーマについては、政府もこのルールを尊重し、労使の理解を得つつ進める必要があるだろう。
連合は来月で発足から20年になる。この間、構成人員は800万人から675万人へと大きく減少した。サービス化・ソフト化と言われる産業構造の変化、非正規社員の増加、若者の組合離れなどの要因が指摘されている。
構成人員の減少は影響力の低下につながる。広く国民の共感を得られる運動を進めてこそ、退潮傾向に歯止めをかけることも可能となるのではないか。
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