新政権でも民自公路線を堅持することが改めて確認された。与野党連携へ一応、順調なスタートを切ったと言えよう。
野田新首相が谷垣自民党総裁、山口公明党代表とそれぞれ会談した。内閣の発足前に、与野党の党首が会談するのは極めて珍しい。
日本が直面する待ったなしの課題を解決するには、与野党協力が不可欠だ。政策実現へ建設的な協議を進める必要がある。
党首会談で、野田氏は、民主党の政権公約(マニフェスト)の大幅な見直しを前提とした民自公の3党合意の順守について、「私が約束したわけだから信頼してほしい」と伝えた。
小沢一郎元代表に近い輿石幹事長も「3党合意をしっかり守る」と表明している。
野田氏は党首会談で、本格的な震災対応のための第3次補正予算編成に向け、震災の復旧・復興や税制改正、総合経済対策に関する、三つの実務者プロジェクトチームの設置を提案した。
政府・与党が政策決定過程に、自公両党との協議を組み入れようとする意味合いは小さくない。
野田氏は既に、政府が意思決定をする際は原則、政調会長の了承を得ることを決めた。民主党政権が掲げてきた「政策決定の政府への一元化」を修正するものだ。
菅政権では、政府の意思決定に党がどう関与するのかが不明確だった。新政権では、政調会長の権限が強化され、与野党協議の重みも増すだろう。
野田民主党は与野党連携へ積極的姿勢を示した。次は自民党が応える番だ。野田氏の提案したチーム設置に応じるべきである。
谷垣氏は党首会談で、復旧・復興には協力するとした上で、第3次補正予算成立後の衆院解散・総選挙を改めて求めた。だが、仮に衆院選で自民党が政権に復帰しても、ねじれ国会が続く以上、与野党協議の必要性は変わらない。
谷垣氏は6月の党首討論で、菅首相の退陣を条件に、「党派を超えて新しい体制を作る工夫はできる」と明言したではないか。
今や、谷垣氏が求めた首相退陣が実現し、野田新体制は民自公路線を堅持している。
谷垣氏は、自民党内の対民主党強硬論者を説得し、民主党との連携に動く時である。
民主党だけでも、自公両党だけでも、衆参両院で合意を形成するのは困難だ。3党が話し合う「枠組み」を整えた上で、信頼関係を深め、協議の実を挙げたい。
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