鳩山政権1カ月 変化は実感、さて次は

毎日新聞 2009年10月16日

鳩山政権1カ月 変化は実感、さて次は

まずは順調な滑り出しといっていいだろう。鳩山政権が発足して15日で1カ月となった。

鳩山由紀夫首相が就任早々、国連で表明した「温室効果ガスを2020年までに90年比で25%削減する」との方針や非核三原則堅持に関する発言、あるいは八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の建設中止方針、そして閣僚と副大臣、政務官の「政務三役」が前面に出て各省庁の意思決定をするスタイル……。

政権が交代するとこのように変わるのかと日々、実感している人も多いはずだ。高い内閣支持率を維持しているのもうなずける。

ただ、同時に鳩山政権が早急に手をつけるべき課題は何かが見えてきた1カ月でもあった。

この間、首相が存在感を示したのは主に外交面だ。一連の国連演説のほか、米、露、中、韓などの首脳と矢継ぎ早に会談をこなし、一定の成果を上げた。外務省に頼らぬ外交を岡田克也外相と二人三脚で進めようと模索している点も評価したい。

それに比べて印象が薄いのが内政だ。前原誠司国土交通相や亀井静香金融・郵政担当相らが注目を集めるばかりで首相自身が判断を下す場面はほとんどない。今年度補正予算の見直しも来年度予算の概算要求も各閣僚にお任せしているのが実態で、閣僚の中には「省益優先」の姿勢さえ散見され始めている。

「官邸主導で縦割り行政を排する」とのうたい文句はどこへ行ったのか。限られた財源の中、民主党がマニフェストに掲げた政策のうち、どれを優先するのか、旧政権の政策のどれを見直すのか、明確な基準を首相や官邸が示さず、閣僚に任せるばかりでは、その作業にはおのずと限界がある。

なぜ、鳩山首相が指導力を発揮する場面が少ないのか。改めて懸念するのは首相直属で総合調整をはかるはずだった「国家戦略局」の姿が依然、見えないことだ。

平野博文官房長官は戦略局の設置法案を次の臨時国会に提出せず、来年の通常国会に先送りする考えを崩していない。そうしている間、現実には菅直人副総理が担当する戦略局は一体何をするのか、一層、不明になってきている。結果、予算編成作業は従来通り、財務省主導になっているとの指摘もある。これでは目指した方向とはまるで違う。

「急がば回れ」だ。安全運転を目指して臨時国会は法案の数を減らすという消極姿勢はやめて、まず仕組み作りを急ぐべきだ。政治主導を進めるためには副大臣や政務官が足りないことも明らかだ。人数を増やす法整備も臨時国会で処理すべきだろう。それが体制固めにつながる。

産経新聞 2009年10月17日

鳩山政権1カ月 首相の指導力がみえない

政権交代への強い追い風を受けて発足した鳩山内閣が1カ月たった。

各種世論調査で鳩山内閣の支持率は、6~7割台と高い。「脱官僚依存」などに対する期待が大きいからだろう。各省との軋轢(あつれき)を招きながらも、新政権が政治を変える作業に取り組んでいることへの評価があるのだろうか。

日本経団連の御手洗冨士夫会長は「予算を徹底的に見直し、無駄を排除している。外交も積極的に展開し、成果を上げている」と語っている。

だが、この政権が抱えている問題点も一段と浮き彫りになっている。懸念を深めるのは、八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設中止方針にみられるように、マニフェスト(政権公約)ありきの一方的な手法は関係者に唐突感を与え、反発を招いたことなどだ。中小企業のための「貸し渋り・貸しはがし対策法案」のとりまとめも、本質的に市場経済をゆがめてしまいかねないとの疑念を強めた。

補正予算の見直しと来年度の概算要求の過程では、閣僚、副大臣、政務官の「政務三役」が中心となり、各省で政治主導により政策を進めるスタイルが定着しつつある。これを内閣全体の中でどう調整するか。

菅直人副総理が担当する国家戦略室や行政刷新会議などの役割をより明確にし、総合調整機能を持たせる必要がある。それに加え、鳩山由紀夫首相が指導力を発揮しなければ問題は解決しない。また政府・与党の政策決定一元化を目指すあまり、民主党内の政策論議を否定するようなとらえ方が生まれている。与党内の幅広い議論や情報が、政策決定に反映されなくてよいのだろうか。

26日に臨時国会が召集され、首相が所信を表明する。内閣が取り組む政策や進め方について全体像をもっと明らかにすべきだ。

首相は就任以来、米国や韓国、中国を相次いで訪問したが、米国排除につながりかねない東アジア共同体構想など、日米同盟の弱体化に突き進む「鳩山外交」の危うさも見せつけた。

首相はマニフェストの見直しにも言及している。米軍普天間飛行場の県外移設など、実際に政権を担当して、その困難さを認識したことも多いはずだ。新政権の真価を問われる臨時国会で、国益を守るために何をすべきかを明らかにしてほしい。

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