財政危機が再燃したギリシャに対する欧州連合(EU)などの第2次支援策がまとまった。
これでひとまず信用不安は一服しそうだが、前途は多難である。独仏など主要国が主導し、欧州の財政不安を早急に払拭させるべきだ。
通貨ユーロを導入しているユーロ圏17か国の首脳会議は21日、難航していたギリシャ支援策でようやく合意した。
EUと国際通貨基金(IMF)が、1090億ユーロ(約12兆円)の金融支援に踏み切る。
焦点だった域内の民間金融機関の関与を巡っても、保有するギリシャ国債を不利な条件で借り換えるなどの負担に応じ、資金繰りを支えることで決着した。
支援総額は1590億ユーロ(約18兆円)に達し、EUなどが昨春決めた第1次支援策の1100億ユーロ(約12兆円)を大きく上回る。
ギリシャ危機は、わずか1年で再燃した。国債の新規発行による資金調達が難しくなっている。債務問題を抱えるイタリア、スペインなどにも信用不安が拡大し、ユーロの下落傾向が続く。
独仏などが、民間金融機関にも負担を求めて結束し、大型の追加支援策をまとめたのは、妥当な判断と言えよう。
しかし、課題はなお山積しており、危機をいつ収束できるか、先行きを楽観できない。
何より、歳出カットや公務員削減など、ギリシャの自助努力が不可欠だ。今度こそ、巨額支援を生かしながら、財政再建に努めねばならない。
当面の懸念材料は、格付け会社がギリシャ国債の一部を債務不履行(デフォルト)扱いにすると発表したことの影響だ。
1999年にユーロが発足して以来、ユーロ導入国のデフォルト扱いは初めてだ。今後、ユーロが急落したり、欧州各国の国債利回りが軒並み、上昇したりする恐れがある。
市場の混乱を防ぎ、ユーロへの信認を維持するには、今回のギリシャ支援策を着実に実施することが重要だ。それは世界経済の安定にも寄与する。
欧州当局は15日、域内主要銀行に対する特別検査結果を発表し、8行が資本不足と判定した。
だが、この検査は、ギリシャに対する金融機関の負担を反映していない。資本不足行はさらに増えるのではないか。
欧州当局は、こうした金融機関の資本増強を促し、金融市場の安定を図る必要がある。
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