原発事故賠償 東電は法的整理の道を

朝日新聞 2011年06月14日

原発事故賠償 東電は法的整理の道を

福島第一原発事故の被災者に対する東京電力の損害賠償を支援する法案が、14日にも閣議決定される。

株主や、貸手である金融機関の責任を問わず、東電の温存を前提とした今回の政府案は、当初から多くの問題点が指摘されてきた。

にもかかわらず、ここにきて法案の決定を急ぐのは、事故対応に追われる東電の先行きに不透明感が強まる中、政府の関与をあらためて示しておく必要があるとの判断からだという。

だが、国会は菅直人首相の退陣表明をめぐって紛糾が続く。賠償関連法案についても自民党は別途、議員立法を提案するなど対抗する姿勢を見せており、政府案が成立する見通しは立っていない。

そもそも政権内に、本気でこの賠償策を進めようという意志が見えない。「東電が株主総会を乗り切るための時間稼ぎ」との声すらある。早晩行き詰まるのは目に見えている。

ここは、やはり法的整理へと踏み出すべきだ。

賠償金総額は東電の支払い能力を超えることが確実で、東電は事実上の破綻(はたん)状態にある。不足分はいずれ電力料金か税金により国民が負担することが避けられない。

そうであれば、破綻の手続きを踏み、透明な手続きの中で株主や貸手にも責任を分担させ、少しでも国民負担を小さくするべきだ。

当初、影響が懸念されていた金融市場は、東電株の下落などを通じて破綻を織り込みつつある。むしろ、地域独占の電力会社が、巨額の負債を抱えながら何年も国の管理下におかれる弊害のほうが心配だ。

設備投資が抑制され、人材が流出していけば、肝心の電力供給に懸念が生じ、日本経済にさらなる打撃を与えかねない。

東電以外の発電業者に事業拡大や新規参入を促し、電力の安定につなげる。同時に再生可能エネルギーへの投資・普及などを通じて経済を活気づける。こうした改革を進めるためにも、東電という組織の維持にこだわるのではなく、東電が培ってきた技術や資産、人材の有効利用を考える方がずっと生産的だ。

ただ破綻処理をすると、法律的には賠償債権もほかの債権と同様、一律に削られることになる。そこは新たな立法などで、被災者が正当な金額を受け取れるよう、不足分を国が保障する措置をとる必要がある。

賠償対象の決定や東電の資産査定と並行して、枠組みの抜本的な見直しを求めたい。

読売新聞 2011年06月15日

原発賠償法案 着実な被害救済へ成立を急げ

東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡り、政府は、東電の損害賠償金支払いを支援する法案を閣議決定し、国会に提出した。

原発事故による損害に支払われる賠償金は、総額で数兆円規模にのぼると見られる。東電だけではとても工面できないだろう。

賠償金支払いに支障をきたさぬよう、公的な支援体制を整えることが急務である。与野党は被害救済を最優先し、法案の早期成立を図るべきだ。

法案では、東電と、原発を持つ全国の電力会社が負担金を拠出し、原子力損害賠償支援機構を新設する。機構は資本注入や資金援助で東電の資金繰りを支える。

機構の資金が足りなくなった時は、政府が国債や政府保証融資など公的資金を投入し、東電が長年にわたり返済する仕組みだ。

原子力損害賠償法には、巨大な天災地変が原因の場合、電力会社を免責する規定もあるが、今回は適用されず、東電が一義的に責任を負うことになった。

国が補償するのは基本的に、賠償法に基づく1200億円の政府負担金だけだ。これでは、原子力を推進した政府の責任分担として不十分ではないか。

とはいえ、事態は切迫している。東電は、政府負担金1200億円をもとに、避難住民や農家に対する賠償の仮払いを進めているが、月内にも底をつく見通しだ。

政府は7月、対象となる被害ごとに賠償額の算定基準を示す。これに基づいて、仮払いとはケタ違いの賠償請求が始まるだろう。

法案の成立が遅れれば、東電は債務超過など経営危機に陥りかねない。被害者への支払いが滞るだけでなく、事故の収束や、電力の安定供給の足かせともなる。

東電の株価は一時、震災前の10分の1に急落した。影響を懸念して、関西電力は今月予定していた社債発行の延期を決めた。このままでは、信用不安が業界全体に波及する恐れが強い。

国会の会期末が迫っている。法案成立のために必要なら、会期延長に踏み切るべきだ。

東電が経営合理化などに全力を挙げるのは当然のことである。

すでに経費削減と資産売却で1兆円以上を確保する方針を示しているが、政府は今後、東電にさらなる資金確保を求め、資産の総点検に取りかかる。東電は全面的に協力すべきだ。

Y・中村 - 2011/06/26 19:53
朝日新聞の6月14日付社説は真に国民の為になる正論と思われます。それに引き換え読売新聞の6月15日付社説は全く話になりま
せん! 経産省・東電・銀行などの利害関係者が自分達に都合が良いスキームを作りそれを民主党の電力族が後押しをする。
吐き気がするような法案です、経産省は天下り先を守り、銀行・社債権者を守る為に破綻した上場企業の株主を守る。
全て既存の利権を守る為のゴマカシです。
被災者への速やかで確実な賠償を隠れ蓑に東電の現体制、地域独占を温存する
悪法です。
国民負担を出来るだけ減らすには法的整理が最良の方法と思われます。
民主党の支援スキームでは、いずれ損害賠償は、原発の安全神話を信じていた
何の落ち度もない国民が、税金と電力料金で全て支払わされる事が目に見えております。
読売新聞社はどんな事情があって東電に加担しているのでしょうか?
資本主義社会の原則および法治国家ですからその法(現行原賠法・民法の規定)を守る、
東電・株主・銀行・社債権者・国・国民の負担の公平性を考慮した時は
今回の支援スキームは考えられない。
国にも責任あるのだから東電の賠償に上限を設けて、そして賠償額を確定しておいて会社更生法を
適用する事で、短期再生と発送電分離を実現させる。


発送電分離を実現させるべき!

Y・中村 - 2011/06/26 20:23
朝日新聞の6月14日付社説は真に国民の為になる正論と思われます。
それに引き換え読売新聞の6月15日付社説は全く話になりません!。
経産省・東電・銀行などの利害関係者が自分達に都合が良いスキームを
作りそれを民主党の電力族が後押しをする。
吐き気がするような法案です。
経産省は天下り先を守り、銀行・社債権者を守る為に破綻した上場企業
の株主を守る。
全て既存の利権を守る為のゴマカシです。
被災者への速やかで確実な賠償を隠れ蓑に東電の現体制、地域独占を温存
する悪法です。
国民負担を出来るだけ減らすには法的整理が最良の方法と思われます。
民主党の支援スキームでは、いずれ損害賠償は、原発の安全神話を信じていた
何の落ち度もない国民が、税金と電力料金で全て支払わされる事が目に見えて
おります。
読売新聞社はどんな事情があって東電に加担しているのでしょうか?
資本主義社会の原則および法治国家ですからその法(現行原賠法・民法の規定)
を守る。
東電・株主・銀行・社債権者・国民の負担の公平性を考慮した時は今回の
支援スキームは考えられない。
国にも責任あるのだから東電の賠償に上限を設けて、そして賠償額を確定しておいて
会社更生法を適用して、短期再生と発送電分離を実現させる事が望まれます。。






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