消費税率を引き上げる与野党協議のたたき台とすべきだろう。
菅首相を議長とする、政府・与党の「社会保障改革に関する集中検討会議」が改革案をとりまとめた。
財政赤字が拡大し、超少子高齢社会の福祉財源の確保が急務になっている。
改革案は、消費税を社会保障目的税とし、「2015年度までに2度に分けて、10%まで引き上げる」との方針を明確にした。消費税率を5%引き上げる工程表を示した意義は大きい。
なぜ、10%が必要か。検討会議の説明はこうだ。
子育て支援、医療・介護、年金の各制度を充実強化するために約3・8兆円を要する。一方で、医療や福祉サービスの給付を抑え、1・2兆円近い公費を減らす。
差し引きで約2・7兆円が要る。さらに基礎年金に税金を投入する費用などを捻出するために、消費税率の5%引き上げが必要と結論づけた。
自民党はすでに、昨年の参院選の公約に「消費税率10%」を先んじて掲げている。今回の改革案によって、民主、自民両党は財源面で一致したことになる。
中長期的にはより高い消費税率が不可欠になる、との認識や、社会保障予算を独立会計とする方針も共通している。
さらに年金改革では、民主党がこだわってきた所得比例年金の創設を事実上棚上げし、自民、公明両党が主張する現行年金制度の手直しを優先した。
大筋で、与野党協議の基盤が見えつつあると言えよう。
ただし改革案は、子ども手当は現行通りとするなど、民主党の政権公約(マニフェスト)に関わる部分に手をつけていない。
また、低所得者の救済策などを手厚く盛り込む一方、制度の無駄に切り込む「効率化」については民主党内で賛否が割れている。
与野党間の具体的な協議につなげていくには、政府・与党内でさらに議論すべきだ。野党に対する譲歩も必要になるだろう。
求心力を失いつつある菅首相には、そのようなリーダーシップは望めないかもしれない。
しかし、社会保障と税の一体改革は、どのような政権になっても避けられない課題だ。
与野党の政策調整で、誰もが安心して暮らせる社会保障改革の実現を目指したい。
そのためにも、与野党が協力して取り組むことのできる「ポスト菅」政権が必要である。
国民がそれぞれ平等を党の方針に掲げながらマスコミより問いただす記事等拝見するにいたり不安は隠せません。
国民がそれぞれ平等を党の方針に掲げながらマスコミより問いただす記事等拝見するにいたり不安は隠せません。