エネルギー目標 国民合意形成に全力を

朝日新聞 2011年05月27日

新エネ目標 太陽と風で挑戦しよう

かなり野心的な目標には違いないが、まずは挑戦してみよう。官民挙げて、知恵を出し合うことが必要だ。

菅直人首相が、発電量に占める自然エネルギーの割合を20%に高める時期を、2030年から「2020年代のできるだけ早い時期」に大幅に前倒しする新目標を明らかにした。

福島第一原発の事故で、原発の新増設を計画通り進めるのは事実上不可能になった。温暖化対策を進める以上、石炭や石油にも戻れない。必要な電力を確保するには、自然エネルギーの飛躍的な活用が欠かせない。

政治の責任で、あえて高い目標を掲げることはあっていい。それでこそ、政策を総動員し、技術革新を強力に後押しすることができる。

ただ、自然エネルギーの割合は現在、大型の水力を含めても10%足らずしかない。20%実現の道はたやすくはない。

自然エネルギーは天候に左右され、安定性を欠くと指摘されている。コストダウンが進まなければ、電気料金の値上げという形で消費者の負担が増すことにもなる。

首相は1千万戸の屋根に太陽光パネルを設置するとも語った。自然エネルギーの要として、太陽光重視は明らかだ。

政府の動きに呼応するかのように、ソフトバンクと全国の自治体が、休耕田や耕作放棄地に太陽光パネルを設置する「電田プロジェクト」を発表した。民間や地域の創意工夫を最大限に生かすため、大胆な規制緩和や奨励策を検討すべきだ。

太陽光のコスト引き下げは、量産効果だけでなく、先端技術の進歩に負うところも大きい。あと10年余という目標期限を考えると、太陽光だけに頼っていては、目標達成は難しかろう。

世界の趨勢(すうせい)をみると、太陽光より低コストの風力の広がりが顕著だ。風力の発電設備量は太陽光の4.5倍という統計もある。即戦力として、もっと風力に目を向けてもよい。

どのような分野に、どのようなてこ入れをして、目標達成を目指すのか。菅政権は、具体的な道筋を描く作業に急いで取りかからねばならない。

一方、首相はフランスのサルコジ大統領との会談で、安全性を確保したうえで、原発を「活用していく」と語った。自然エネルギーへのシフトと原発の活用はどうつながるのか。

原発そのものを今後どうしていくのか、そろそろ本格的な議論を始めるべき時ではないか。事故の検証結果を待ってからというのでは、遅きに失しよう。

毎日新聞 2011年05月30日

G8と中東 パレスチナ仲介の好機

「アラブの春」が実らせた果実として歓迎したい。主要8カ国首脳会議(G8サミット)の閉幕に合わせたように、エジプトは28日からパレスチナ自治区ガザとの境界にあるラファ検問所の常時開放を始めた。67年の第3次中東戦争でイスラエルに占領されたガザは、種子島より少し小さい土地だ。そこで暮らす150万人もの住民は、イスラエルはもとよりエジプトへの出入りさえ厳しく規制されてきた。

今回の措置で女性と子供、それに41歳以上の男性も、無条件で検問所を通れるようになるという。エジプトはガザを支配するイスラム組織ハマスと対立してきたが、ムバラク政権の崩壊後、新政権の仲介で自治政府主流派のファタハとハマスが和解し、常時開放への道が開けた。

自由の拡大は中東の大きな流れである。ガザの人々は、「密室状態」で食糧さえ底を突くと手掘りのトンネルを行き来してエジプトから懸命に物を運んだ。昨年5月、そんな状況を見かねてトルコから来た国際支援船団はイスラエル軍に襲われ、トルコ側発表では10人近い支援関係者が死亡した。

イスラエルにもパレスチナにも言い分はあろう。しかし、欧州の目と鼻の先で続く「人道危機」には、もはや終止符を打つべきである。

G8は「アラブの春」と呼ばれる中東地域の民主化を支持した。サミットに先立ってオバマ米大統領が発表した中東政策を追認した格好だ。反政府勢力を弾圧するリビアやシリア、不透明な核開発を続けるイランを批判したのは当然である。

G8の基本姿勢はこうだろう。「中東地域の民衆運動は全体的に支持するが、バーレーンやサウジアラビアなどペルシャ湾岸のアラブ産油国への波及は望まない。それらの国へのイランの影響力を排除する」。同じアラビア半島の国でも、産油国とはいいがたいイエメンに対してはG8は冷淡だ。

「ご都合主義」との批判もあるが、主要国としては情勢を見守る必要もあろう。ただ、イスラエルとパレスチナの和平について、型通りの支援しか表明しなかったのは残念だ。肝心の米国も、今ひとつ煮え切らない。

中東政策の演説でオバマ大統領は、イスラエルに第3次中東戦争前の境界線への撤退を求めたように思えた。だが、数日後の親イスラエル団体の会合では、先の演説は交渉の出発点に過ぎないと釈明した。肩すかしの印象は否めない。

「アラブの春」は中東和平仲介の「歴史的な好機」でもある。封建体制と戦う中東の若者たちが、大国の「公正さ」を注視していることを忘れてはならない。

読売新聞 2011年06月02日

ガザ封鎖解除 独自外交始めた新生エジプト

30年に及ぶムバラク独裁に終止符を打ったエジプトが、民主化への模索を続ける中、外交路線のかじを切り始めた。

パレスチナ自治区ガザに対するイスラエルの封鎖に風穴を開けたのはその好例である。

エジプト政府は5月28日、ガザとの検問所を開放し、パレスチナ人の出入国制限を大幅に緩和した。女性と子供、それに41歳以上の男性の通行の自由を認めた。

窮屈な土地に閉じこめられていた人々の自由を回復したのは、人道的措置と言える。

エジプト政府は、それに先だって、対立してきたパレスチナの2大組織も和解させた。

イスラエルとの交渉で国家樹立を目指す穏健派のファタハと、イスラエルの存在を認めないイスラム原理主義組織ハマスを仲介し、パレスチナ統一政府樹立で合意させたのである。

ハマスは4年前、武力でファタハをガザから追放し、単独統治を始めた。過激派はイスラエル領へのロケット弾攻撃も試みた。イスラエルがガザを封鎖し、人や物資の流れを遮断したのは、ハマスを弱体化させる狙いがあった。

1979年にアラブ諸国で初めて、イスラエルと平和条約を結んだエジプトは、アラブの同胞から「イスラエル寄り」と見なされる外交路線をとってきた。

それだけに、ハマスを敵視するイスラエルには、エジプトの変化は納得できまい。米国もハマスの政権参加に懸念を示している。

エジプトが独自の外交路線に傾いた背景には、エジプトとイスラエルの“冷たい和平”がある。

エジプト国民の多くは、イスラエルがパレスチナ人を抑圧しているとして平和条約を歓迎せず、文化人の往来やイスラエル映画の上映すら、ままならなかった。

くすぶっていた反イスラエル感情が政変後に噴き出し、政策転換を後押ししたのだろう。

イスラエルとパレスチナの関係を改善するには、何よりエジプト自身の安定が重要となる。

エジプトは、2月のムバラク退陣後、軍最高評議会のもと暫定政府が統治している。9月の人民議会(国会)選、11月の大統領選を経て正式に新政権が発足する。

日本を含む主要8か国(G8)は、エジプトやチュニジアの民主化を支えるため、政変後の混乱で荒廃した経済の立て直しに、巨額の財政支援を表明した。

アラブの盟主エジプトには、中東安定の要であるイスラエルとの和平を堅持する責任がある。

毎日新聞 2011年05月29日

論調観測 自然エネルギー、20% 「志高く」はいいのだが

高い目標を掲げ努力しようという姿勢は評価できる。だが、具体策が伴わず、実現可能な目標かどうかわからない--。

主要8カ国首脳会議で菅直人首相が打ち出した新たな自然エネルギー普及目標に対する各紙の論評をざっと要約すればそんな感じだろう。

新たな目標とは、太陽光や風力といった自然エネルギーの比率を2020年代の早い時期に20%にする、というもの。「30年までに20%」という、これまでの目標を前倒しした。

政府が自然エネルギーの促進を加速させること自体、各紙はおおむね賛成なのだが、原子力発電への考え方や自然エネルギー促進への力点の置き方で、論調に違いが表れた。

社説の見出しを見るとわかりやすい。

読売は「安全性高めて原発利用続けよ」とし、資源小国の日本が経済力を維持するうえで、原発活用が「やはり、現実的な選択」と結論付けた。また、自然エネルギーへの「過剰な期待は禁物」と戒め、太陽電池の発電コストを現在の3分の1とする目標は「夢」と言い切った。

これに対し、「太陽と風で挑戦しよう」と自然エネルギー推進を強力に支持したのが朝日だ。「20%実現の道はたやすくはない」としつつも、政府があえて高い目標を掲げることが、政策の総動員や技術革新につながる、と評価している。

毎日は「国民合意形成に全力を」と国を挙げての議論の必要性を訴えた。「ムード先行の政治決断だけでは官民一丸となって(目標の)実現に取り組むことは難しい」からである。

「実現の具体性欠け無責任」と批判的な見出しを掲げた産経は、菅首相が表明した4本柱のうち、「原子力エネルギーの安全性」「(石油・石炭など)化石エネルギーの効率的な利用」といった自然エネルギー以外の柱にも言及し、目標に「現実的な魂を入れよ」と注文した。

その産経も含め各紙とも今回は、もう一つの重要な目標である「省エネルギー」について、特に論じていない。数値目標が唯一盛り込まれた自然エネルギーに関心が集中したのは当然かもしれないが、電力の使用そのものを減らすことも不可欠であり、現実的対応でもある。

日本は今夏、かつてなかったような節電の試練に直面する。その経験もふまえ、より少ない電力供給能力でも経済活動を維持できる構造を編み出さねばならない。そういった観点からも、議論に役立つ提言をしていきたい。【論説委員・福本容子】

読売新聞 2011年05月28日

G8首脳会議 原発安全へ日本の教訓生かせ

国際社会の重大関心事である原子力発電所の安全性向上に向け、日本がどこまで具体的な貢献をできるかが問われる。

仏ドービルで開かれた主要8か国(G8)首脳会議は、原発の安全性強化を図るとの首脳宣言を採択し、閉幕した。

首脳宣言は、日本のように震災の危険がある地域に立地する原発に関し、現行よりも厳格な安全基準を策定するよう国際原子力機関(IAEA)に要請している。

各国には、既存の原発の包括的な安全性評価の作業や、IAEAの安全基準の活用を求めた。

G8では、原発推進派の米仏露と、「脱原発」志向の独伊の立場には大きな乖離(かいり)がある。原発政策自体で一致するのは難しいが、安全性を向上させる重要性では足並みがそろった。

大切なのは、原発事故の再発防止に向けて、日本が、福島第一原発事故の原因と対応を徹底的に検証し、その教訓を国際社会としっかり共有することだろう。

「想定外」の災害で電源を喪失した際、どんな手段で原子炉を冷却するのが良いのか。冷却水を注入できなくなった今回の反省を踏まえ、日本は積極的に情報を開示し、G8やIAEAと連携して対策作りに取り組む責任がある。

そのためにも、一日も早く原発事故を収束させねばならない。

首脳会議では、「日本との連帯」が最初の議題に取り上げられ、菅首相が東日本大震災からの復興を進める決意を強調した。来年後半に日本で原子力安全に関する国際会議を開くことも提唱した。

日本経済の回復が遅れれば、世界全体の景気後退要因となりかねない。日本は、復興と経済再生に全力を挙げる必要がある。国際会議を開くなら、東北の被災地を会場とし、新しい日本の姿を世界に情報発信してはどうか。

G8首脳は、エジプト、チュニジアの代表と会談し、中東・北アフリカの民主化を支持する考えを伝えた。カダフィ政権と反体制派の内戦が続くリビアについては、政権による市民への武力行使の即時停止と最高指導者カダフィ氏の退陣を要求した。

長期独裁政権が崩壊したエジプトやチュニジアの民主化移行プロセスを、G8が財政面も含めて支援することが大切だ。日本も応分の支援に努めるべきだろう。

リビアは、米英仏などの多国籍軍が軍事介入して2か月以上になるが、内戦終結の見通しは依然、立っていない。国際社会は、粘り強い取り組みが求められる。

毎日新聞 2011年05月28日

G8と原発 安全対策を早く進めよ

今、世界で稼働中の原発は全部で430基を超える。数でいえば、世界一の原発大国が米国、第2位がフランス、日本は3番目に多い国だ。

中国やインド、ベトナム、トルコなど、導入を進めようとする新興国も数多い。

福島第1原発の事故がなければ、今回の主要8カ国首脳会議(G8サミット)では、原発の拡大が議論の対象になっていたかもしれない。

しかし、今なお収束の見通しが立たないフクシマの重大事故が世界に与えた衝撃は大きい。それぞれの国の原発政策に対する思惑が違うとはいえ、原発の安全が主要議題となり首脳宣言にも盛り込まれた。その意義を評価したい。

日本は事故の教訓を世界に伝え、国際的な原発の安全に貢献できるよう、事故を起こした当事者として覚悟を新たにすべきだ。

首脳宣言では、日本の事故から教訓を読み取ることの重要性を指摘。すべての原発保有国に安全点検をするよう促している。

これは原発推進の立場を維持するか、脱原発にかじを切るかの違いによらず、当然の対応策だ。ぜひ、迅速に進めてほしい。日本は各国の安全点検にとって重要な情報をしっかり提供しなくてはならない。

宣言は原発の安全確保に対する国際原子力機関(IAEA)の役割に多くを期待する内容ともなっている。原子力の安全に関するIAEAの各種条約の批准を各国に促し、条約の発展・強化も盛り込んだ。

IAEAは「核の番人」とも呼ばれ、これまで、主に核不拡散を監視する役割が注目されてきた。今後、原発の安全をどう確保していくか。日本はIAEAと連携し、安全指針作りなどに役割を果たしたい。

首脳宣言は、地震災害のリスクがある地域の原発に対する追加的な安全基準を設けることも求めた。

これは、日本の事故が地震国であるが故に起きたものとみなし、フランスなど地震がほとんどない国に配慮したものとも受け取れる。

しかし、宣言は地震以外の外的事象に対する安全基準にも注意を喚起している。

当然のことながら、噴火や航空機事故、テロ、地域紛争などから原発の安全をどう守るかも、地震と並んで国際的な課題である。欧州連合(EU)が域内の国に呼びかけている原発の安全審査では、竜巻や洪水などの自然災害や、航空機事故なども対象に含まれる見込みだ。

地震や津波への備えは当然だが、想定を超えるできごとが起きた場合の事故対策の強化も重要課題だ。6月のIAEAの閣僚級会合でさらに議論を深めたい。

読売新聞 2011年05月27日

新エネルギー策 安全性高めて原発利用続けよ

仏ドービルで開幕した主要8か国(G8)首脳会議(サミット)で、菅首相が新たなエネルギー政策を表明した。

東日本大震災への支援に謝意を示したうえ、東京電力福島第一原子力発電所の事故から日本を再生させるメッセージを発信したのは妥当だろう。

首相は、政府が昨年決めたエネルギー基本計画を白紙に戻し、太陽光や風力など自然エネルギーの拡大を加速する方針を示した。

具体的には、「2020年代のできるだけ早い時期」に、総電力に占める自然エネルギーの割合を20%にする数値目標を掲げた。

日本の総電力のうち原子力は3割を占め、日本経済を支えている。一方、自然エネルギーの比率は約9%にとどまる。

原発事故の影響で、原発の新増設は難しくなった。自然エネルギーの利用拡大に活路を見いだす狙いは、ある程度理解できる。

しかし、20%の目標達成時期は基本計画よりも、唐突に10年程度前倒ししたものだ。実現に向けた具体的な方策は示していない。

そもそも自然エネルギーが普及しないのは、その質・量・コストに難があるからだ。風力や地熱開発は立地の厳しい制約もある。

首相は最も有望とされる太陽光について、技術開発を促進させ、太陽電池の発電コストを現在の3分の1にする“夢”を語った。日本中の1000万戸にパネルを設置する構想も明らかにした。

だが、技術革新が実現し、企業や家庭が利用しやすい送電網などを整備することが前提になる。過剰な期待は禁物だ。

資源小国の日本が経済力を維持し、復興に確かな道筋をつけるためには、やはり、原発の安全性を高めて活用していくことが現実的な選択である。

G8では、フランスが原発推進派で、米国も原子力を含むクリーンエネルギーを重視する。

ドイツは「脱原発」に動き出したが、欧州大陸の送電網を利用して、フランスなどからいつでも電力を購入できる。それができない島国の日本とは事情が違う。

世界各国は、二酸化炭素の排出量を減らす地球温暖化対策も迫られている。その点で原発はなお、有力なエネルギー源と言える。

日本は原発を利用しつつ、石油などの化石燃料や、自然エネルギーも組み合わせる最適なモデルを目指さねばならない。

毎日新聞 2011年05月27日

エネルギー目標 国民合意形成に全力を

発電量全体に占める太陽光、風力など自然エネルギーの比率を2020年代のできるだけ早い時期に20%とする--。菅直人首相は26日開幕した主要8カ国(G8)首脳会議に先立ち、経済協力開発機構(OECD)設立50周年式典での演説で自然エネルギーを日本社会の基幹エネルギーにまで高める考えを表明した。福島第1原発の事故を踏まえ、原発の積極的推進を柱としてきたこれまでのエネルギー政策からの転換を国際社会に向かって打ち出したものである。新しい日本社会の構築につながるものとして歓迎したい。

原発事故を受けて世界のエネルギーのありかたをどう考えていくのかは、G8首脳会議の最大のテーマでもある。事故の当事国として論議の「主役」を務めることになった日本は事故を厳しく検証し、教訓を伝えて世界と共有する責務がある。その一方で、原発への依存度を下げ、日本が自然エネルギーの実用化や技術革新の先頭に立って国際社会に貢献する姿勢も示すべきだろう。

首相の示した目標は自然エネルギーを「30年までに20%」とした現行のエネルギー基本計画を前倒しするものである。問題はそれを実行に移す綿密なプロセスと体制を首相がどこまで想定しているかだ。

「30年までに20%」という目標でさえ実現は容易ではないと言われてきた。巨額のコストもかかる。首相は現行計画をいったん白紙に戻すとしているが、白紙にしたまま数値目標だけ掲げても絵に描いた餅に過ぎない。必要なのは「20年代の早い時期に20%」を達成するための具体的な工程表であり、それには基本計画を早急に作り直すべきだ。

「残り80%」の中で原発の比率をどうするかも不透明である。事実上無理になったと考えられる「30年までに14基以上の原発新増設」計画をこれからどうするのか。また、既存の原発をどう位置づけていくのか。そういった点も併せて明らかにしていく必要があるだろう。

エネルギー基本計画は新たなエネルギー社会実現のため「官民が明確な目標を共有し、一丸となって取り組みを進めなければならない」と前文でうたい、見直しの時には「国民各層から広く意見を聴取する」と定めている。エネルギーのありようは経済活動や国民生活に大きな影響を与える以上、当然の考え方である。

にもかかわらず、今回の数値目標は政府や与党内で十二分に議論された形跡がみられない。ムード先行の政治決断だけでは官民一丸となって実現に取り組むことは難しい。「国家の総力を挙げる」と言い切った首相は、国民合意の形成に全力を挙げる熱意と覚悟を示すべきだ。

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