小学生6人死亡 通学途中の惨事を繰り返すな

毎日新聞 2011年04月20日

児童6人死亡事故 通学路の安全を守れ

集団登校中の小学生の列に12トンのクレーン車が突っ込む。想像しただけで背筋が凍りつくようだ。栃木県鹿沼市の国道で起きた事故で6人の児童が亡くなった。登下校中の子どもの交通事故被害は何度となく繰り返されてきた。どこかに問題はなかったのか、徹底した原因究明と再点検が必要だ。このような悲劇は絶対にあってはならない。

クレーン車は反対車線からセンターラインを越えて歩道に突っ込んだ。現場にブレーキ痕はなく、自動車運転過失致死容疑で逮捕された運転手(26)は「居眠りしていた」と供述している。クレーン車が出発した職場からわずか700メートルの距離でどうして居眠りを招いたのか。心身の健康状態や労務管理に何らかの原因がなかったか究明が必要だ。

現場は追い越し禁止で片側1車線の幅約9メートルの道路。子どもたちがいた歩道は幅約5メートルで、車道と歩道の間には自転車用の通行帯もあった。道幅が狭く歩道と車道の区別がない通学路も多いことを思えば、比較的安全と考えられてもおかしくはない。ただ、ガードレールはなく、以前に保護者から市にガードレール設置を求める声もあったという。

わが国は生活道路での死亡事故が主要国の中で突出して多く、犠牲者の8割が子どもとお年寄りだ。被害者の救済や再発防止の取り組みは遅れていたが、97年に登校中にダンプカーにひかれて亡くなった片山隼君(当時8歳)の事故を契機に司法手続きが見直されてきた。また、青信号で横断中に左折してきたダンプカーにひかれて亡くなった長谷元喜君(当時11歳)の家族らが中心になって、人と車が横断歩道上を通過する時間を分ける「歩車分離式信号」を全国に広げる運動が展開されてきた。毎日新聞は01年から大阪府豊中市教職員組合などと共催で「通学路の安全を考えるシンポジウム」を毎年開催している。

最近は交通事故死が減少傾向にある。特に15歳以下の減少は著しく、01年に270人だったのが09年は111人と半減以下になった。通学路での被害も減っている。ただ、渋滞の抜け道として通学路を走る車の問題などは相変わらず指摘されており、死亡に至らない人身事故はまだ多い。

03年から通学路の歩道整備事業などは全国で行われてきたが、路側帯やガードレール、歩車分離式信号が必要な場所はたくさん残っている。また、どんなに道路設備を整えても今回のような運転手の不注意による事故が起きることを考えれば、通学時間帯の車の通行規制や大型車両の通行禁止なども検討すべきではないか。子どもの安全を第一に考える社会にしよう。

読売新聞 2011年04月19日

小学生6人死亡 通学途中の惨事を繰り返すな

子供たちのいつもの登校風景が、一瞬にして惨劇に変わった。

18日朝、栃木県鹿沼市で、国道脇の歩道を集団登校していた小学生の列に、クレーン車が突っ込み、児童6人の命が奪われた。

登下校中の交通事故としては、近年最悪の出来事である。

なぜこんなことになったのか。原因を徹底究明し、あらゆる再発防止策を採らねばならない。

小学生たちは20~30人で道路の左側、幅5メートルの歩道上をきちんと縦に並んで歩いていた。

前方から来た12トンのクレーン車は、対向車線をはみ出して歩道の縁石を越え、列の真ん中付近の子供たちを次々にはねたという。歩道にガードレールはなかった。

現場は片側1車線の見通しのいい直線道路だった。子供がいれば徐行するなど、乗用車でも細心の注意を払うのが当然だ。重機ならば、なおさらだろう。事故当時のクレーン車の速度は不明だが、ブレーキ痕はなかった。

自動車運転過失傷害の疑いで現行犯逮捕された運転手は、事故直後、放心状態で「すみません、すみません」と繰り返していたという。警察によると、飲酒運転ではなかったようだ。

事故の状況や背景をよく分析した上で、ガードレールや縁石を増強するなど、通学路の安全確保策を講じる必要もあろう。

登下校中などの生徒や児童、園児らが犠牲になる交通事故は、たびたび起きている。

2006年9月には、埼玉県川口市で、保育士に引率されて散歩中の園児の列に乗用車が突っ込む事故があった。ドライバーが音楽プレーヤーを操作しようと脇見運転したことが原因で、4人が亡くなり、17人が重軽傷を負った。

この事故などを機に、業務上過失致死傷罪(最高刑・懲役5年)より重い自動車運転過失致死傷罪(同7年)が新設されている。

だが、当時も交通事故の被害者遺族などからは、結果の重大さに対して刑の上限がまだ軽すぎる、との指摘があった。

今回、6人もの児童が亡くなったことで、こうした声が再び強まるだろう。

自動車事故については、ほかにも危険運転致死傷罪(同20年)が設けられ、飲酒運転の最高刑も引き上げられるなど、刑事責任を重く問う法改正が行われている。

自動車を運転する人は今一度、気を引き締めてもらいたい。重大事故を起こしてから後悔しても、取り返しはつかない。

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