地方選前半戦 指導力不足の民主に強い逆風

毎日新聞 2011年04月11日

統一選前半戦 危機の中で沈んだ民主

統一地方選の前半戦が10日投開票された。東日本大震災の直後という特殊な状況での選挙だったが、焦点の東京都知事選は現職の石原慎太郎氏(78)が4選を決めた。

防災や原発の是非が各選挙の争点となる一方で、政党の対決色はかすんだ。特に民主党は知事選で独自に擁立した候補がいずれも敗れる結果に沈んだ。震災への対処に追われる菅内閣の推進力に影響しよう。

未曽有の震災に国民の関心が集中し、候補の主張が必ずしも浸透しきれない中での投票だった。

石原氏が街頭演説をしたのは最終日だけで、震災に伴う公務を優先した。福島第1原発の放射能漏れ事故の推移などが予断を許さぬ中、3期務めた現職の安定感が有利に働いたということだろう。他の知事選、政令市長選も現職候補は全員当選した。震災が有権者の安定志向を強めたことがみてとれる。

政策論争が不十分に終わったのは石原氏の進退が告示直前まではっきりせず、対決構図がなかなか固まらなかった点にもある。「同じことをやる」と語るが、これまでの単純な延長線上では困る。首都防災、急加速する高齢化への対処はもとより、大震災で問われる東京一極集中のあり方も再点検してもらいたい。

首長が党首を務める「首長政党」の消長も焦点だった。「大阪都」構想を掲げる橋下徹・大阪府知事は危機管理から構想の必要性を訴える戦術に改めた。河村たかし・名古屋市長が率いる「減税日本」は減税路線と復興財源の兼ね合いが批判されるなど、震災が論戦に影響した。

それでも、橋下氏が率いる「大阪維新の会」は府議会、大阪市議会とも「第1党」となり、勢いをみせた。橋下氏、さきの名古屋市議選で「減税日本」を躍進させた河村氏とも今後、地方議会での合意形成の手腕が問われよう。

既成政党の存在感が乏しい中、民主党は岡田克也幹事長の地元である三重県知事選でも敗北を喫した。都知事選も実態は候補擁立見送りだ。

道府県議選も同党は候補の擁立自体が難航し、当初目標を大きく下回った。政権与党として「危機」の中での不振を深刻に受け止めなければならない。

候補の多くが選挙カー使用を控えるなど異例の選挙戦の中、原発を抱える地域を中心に知事選ではその是非が論じられた。人気投票的な要素以上に「安全」が住民に強く意識されつつある反映だろう。

今回、指定した被災自治体を除き選挙を予定通り行ったことは評価が分かれよう。だが、新体制の下、被災地支援や地域防災に腰を据え取り組めることも事実だ。後半戦では地域の将来像を大いに論じてほしい。

読売新聞 2011年04月11日

地方選前半戦 指導力不足の民主に強い逆風

東日本大震災の「自粛ムード」が広がる中、街頭演説などが控えられるという異例の統一地方選の前半戦が終了した。

東京都知事選では石原慎太郎知事が4選された。都議会与党の自民、公明に加え、民主党の支持層や無党派層にも支持を広げた。震災の影響で「強い指導者」への期待が集まったのだろう。

首都の防災や、経営危機が続く新銀行東京、待機児童と高齢者対策など、課題は山積している。石原知事には、これらの懸案に誠実に取り組んでもらいたい。

民主、自民両党の対決型の3知事選では、民主党系候補が全敗した。東京、北海道に加え、岡田幹事長の地元・三重県での敗北は、民主党に打撃となった。

民主党は41道府県議選でも振るわず、敗北した。政権公約の行き詰まり、震災対応や外交の不手際など国政の失点が響いた。

党内では、菅首相など執行部の責任を問う声が高まろう。自民党は攻勢を強め、与野党協力が困難になる恐れもある。首相は、この事態を重く受け止めるべきだ。

道府県議選では、自民党も長期低落傾向が続いている。

既成政党に代わって勢力を拡大したのが首長新党だ。橋下徹大阪府知事の「大阪維新の会」は、府議選で過半数を獲得し、大阪、堺両市議選でも躍進した。

河村たかし名古屋市長の「減税日本」と大村秀章愛知県知事の「日本一愛知の会」も、県議選で一定の議席を確保した。

だが、それは「大阪都構想」や「住民税減税」への積極的支持というよりも、既成政党に対する不信の裏返しだろう。首長新党は、「個性的な指導者」の人気に頼るだけでなく、行政全般について責任ある対応をとるべきだ。

大阪都構想も、単なる大阪府と大阪市の主導権争いでは困る。大都市制度の在り方について冷静に議論を深めることが重要だ。

首長新党の伸長は、存在感を示せない議会に対する「議員数は多く、報酬も高すぎる」との批判にも起因する。各議会は活動を活性化しなければ、復権は難しい。

大震災の結果、自治体は復興策などで国に依存しがちになり、地方分権が停滞する恐れがある。

だが、非常時には国が自治体を支援する安全網を作りつつ、平時には分権を進めることは可能だろう。新たな首長や議員には、そうした知恵と覚悟が求められる。

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