11年度予算成立 早期補正で復興に全力あげよ

朝日新聞 2011年03月30日

予算成立 政治の協働の姿見せよ

東日本大震災で「政治休戦」が表向きは実現したが、与野党ともいまだ小異にとらわれている。未曽有の危機に力を合わせて挑む姿が見えてこない。

新年度予算がきのう成立した。あす期限の切れる各種の減税措置を3カ月間延長するつなぎ法案も、野党提案の形でなんとか成立する見通しだ。

ただ、予算の財源を賄う赤字国債を発行するための特例公債法案は、野党の反対で成立のメドは立っていない。子ども手当をめぐる自民、公明両党との話し合いも進んでいない。

民主党はマニフェスト(政権公約)の一部を見直す。野党はある程度の要求が受け入れられれば、矛を収める。そんな妥協がなぜできないのだろう。

被災地では多くの人々が厳しい生活を強いられ、福島第一原発では関係者による必死の作業が続けられている。政治が各党の駆け引きやメンツで結論を先送りしている余裕はない。

震災後初めて菅直人首相が出席したきのうの国会では、野党議員から首相の初動対応に厳しい批判が相次いだ。

野党が政府の問題点をただすのは当然だし、一連の判断は後日、徹底的に検証されるべきだが、今はまだ原発危機も被災者支援も進行中である。

この期に及んで国会の機能不全が繰り返されるようなら、政党政治は国民に見放され、再び立ち上がることもできなくなるのではないか。

戦後最大ともいえる今回の難局を乗り越えるには、政治が先頭に立って国民の心をまとめ、再建のビジョンを示さなければならない。政治の指導力、構想力が、今ほど問われる時はない。そのことを、すべての政治家が改めて深く胸に刻んでほしい。

この間、首相が自民党の谷垣禎一総裁に呼びかけた大連立構想が頓挫した。いくら震災対策に全面協力を表明していたとはいえ、政策合意を後回しにした唐突な提案には、自民党としても簡単には応じられまい。

いま必要なのは、連立という形式ではなく、実質としての協働である。

自民党は政権与党の長い経験や被災地とのパイプを生かし、最大限の助力を惜しむべきではない。とりわけ大事なのは復興財源の検討である。当面は国債に頼るとしても、いずれ国民に負担の分かち合いを求めざるをえまい。与野党の幅広い合意形成が不可欠だ。

最も重い責任を担うのが、首相であることは言うまでもない。

政治主導にこだわるあまり、官僚機構の力が十分に発揮できないようでは困る。東京電力や原子力安全委員会への不信はわかるが、すべての関係機関の力を糾合できる体制をつくるのがリーダーの役割だ。

そのためにも、すべての結果責任は自らが引き受ける。そんな気概を首相は示し続けなければならない。

読売新聞 2011年03月30日

11年度予算成立 早期補正で復興に全力あげよ

2011年度の当初予算が29日、衆院の議決を優先する憲法の規定に基づいて成立した。

東日本巨大地震に原子力発電所の事故が重なる非常時である。問題が残る政府案のまま成立の運びとなったのもやむを得まい。

だが、復旧・復興が急務の時、子ども手当などバラマキ政策をそのまま実施するのは、財源の無駄遣いにほかならない。政府は早急に補正予算を編成し、復興に重点を置く中身に改めるべきだ。

政府の推計によると、今回の震災では、建物や道路などの直接被害だけで16兆円から25兆円にのぼるという。生産の減少など「二次被害」も大きい。

阪神大震災では、10兆円の被害に対して、復興に使った財政資金は、補正予算3回で約3兆円、予備費なども含め計5兆円だった。今回は被害がさらに甚大で、財政出動も膨らみそうだ。

11年度予算の予備費1兆円では全く足りない。阪神大震災では発生1か月後に補正予算を組んだ。こうしたスピード感が欲しい。

まずは、交通やライフラインの復旧、がれき撤去、仮設住宅の建設など、緊急性の高い事業を優先したい。被災者の生活支援も急がねばならない。

問題は財源である。11年度予算の国債発行予定額は約44兆円に上るだけに、不要不急の事業をやめることが先決だ。

子ども手当を旧児童手当に戻せば2兆円近く捻出できる。高校授業料の無償化(0・4兆円)や農家戸別所得補償(0・9兆円)も凍結や大幅縮小が望ましい。

高速道路の無料化や1000円走り放題といった割引制度も大胆に見直す必要がある。

復興が本格化すれば、災害に強い街づくりや産業基盤の再生などに、さらに資金が要る。

これらの費用の巨額さを考えれば、予算の組み替えだけで対応するのは難しい。このため、使途を復興に限定した特別な国債を発行する手も考えられよう。

ただし、日本の財政は先進国で最悪の赤字を抱えるなど、危機的な状況にある。復興費用と将来の社会保障財源などを確保するためにも、いずれ何らかの増税は避けて通れない。

政府と与野党は、こうした厳しい現状を国民に丁寧に説明し、負担の分かち合いに理解を求めなければならない。

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