震災2週間 災害弱者への支援が最優先だ

毎日新聞 2011年03月26日

大震災2週間 原発の長期戦に覚悟を

大震災の発生から2週間がたった。未曽有の災害に見舞われた人々をなんとか助けたい。日本中がそんな思いで過ごした2週間である。

東京電力福島第1原発では冷却に向けた作業が一進一退を続けている。終わりは見えず、現場では長期戦を覚悟しなくてはならない。それはすなわち、周辺に住む人々にとっての長期戦をも意味している。

原発から20~30キロ圏の人々は長期にわたる屋内退避を指示されたまま、日常生活が困窮している。被ばくを恐れ、外部からの物資も届かない。こうした状況は、かねて指摘してきたように、一刻も早く解消すべきだった。

政府は25日になって、この地域に「積極的な、自主的避難」を呼び掛けた。なんともあいまいな表現だが、政府や自治体は住民がスムーズに避難できるよう、手立てを尽くしてほしい。事情があって後に残る人々への手当てにも、責任を持ってもらいたい。

放射性物質の拡散の仕方をみると、同心円状の避難対策では対応しきれないこともわかってきた。原発の北西約30キロでも一日中外にいると一般人に定められた1年間の線量限度を超える地点が出てきている。

政府は、まず、各地域の放射線量の積算値や増減傾向を地図上で示してほしい。さらに、今後の「注意予測」を、地域ごとに示してほしい。そうした情報があってこそ、自治体も住民も行動計画が立てられる。

福島第1原発では作業員の高線量被ばくも起きた。汚染の様子を注意深く見極め、健康被害を防ぐ医療措置を尽くしてほしい。

それにしても、なぜこんな被ばくが起きたのか、疑問は多い。

放射線量が高く、さまざまな設備が壊れている最前線の現場では、疲労も、ストレスも極限に達しているだろう。そうした中で作業員を守る体制がしっかりしていないと、人為的なミスを誘発し、さらなる重大事故にもつながりかねない。

東電の放射線管理の不備は、結果的に冷却作業の遅れにつながり、事態を悪化させる。管理の手順を再点検し、応援が必要な部分には人員を投入した方がいい。

作業員の被ばくは、どこから高濃度の放射性物質が漏れ出しているのか、という問題にもつながる。原子炉建屋の爆発や燃料棒の露出など、これまでの事象を考えると、今後も高濃度の漏れが続く恐れは大きい。

こうした困難な現場をなんとか収拾につなげていくには、すべての関係者の覚悟がいる。力をあわせ、長期戦をなんとか乗り切りたい。

読売新聞 2011年03月26日

震災2週間 災害弱者への支援が最優先だ

東日本巨大地震の発生から2週間が過ぎた。

突然の地震と大津波に幸せな暮らしを奪われた被災者。町ごとのみ込まれ、瓦礫(がれき)の山と化した被災地。惨状に言葉もない。

犠牲になった人は、確認されただけで1万人を超えた。行方のわからない人は少なくとも1万7000人に上る。

改めて、亡くなった方々にお悔やみを、被災者にはお見舞いを申し上げたい。

お年寄りなど「災害弱者」が大勢、犠牲になっている。

読売新聞が岩手、宮城、福島、茨城、千葉の5県で年齢の分かっている犠牲者2853人について調べたところ、70歳以上が5割近くに上っていた。60歳以上に広げると6割を超える。人口に占める割合の約2倍の比率だ。

津波から逃れるには、とにかく急いで高い場所を目指すしかない。独り暮らしで避難の呼びかけが届かなかった人、体が思うように動かなかったお年寄りたちは、高台やビルの上階などにたどり着けなかったのだろう。

阪神大震災でも犠牲者の半数は60歳以上だった。その後も大規模災害のたびに、高齢者や、体に障害を持つ人たちの逃げ遅れが問題になってきた。

政府は市町村に対し、「災害時要援護者」の避難支援計画を作るよう求めている。だが、総務省消防庁の全国調査によると、計画を作り終えた自治体は、昨年度末で63%にとどまっている。

個人情報保護を偏重するあまり名簿作成に消極的だった自治体もあるという。全市町村で計画を作成し、災害に備えるべきだ。

今も1都15県の2000近い避難所で、24万人以上が不自由な生活を強いられている。

避難所では、災害弱者への目配りが大切だ。持病を抱え、苦しんでいるお年寄りも多い。

医療と介護のスタッフや医薬品を十分に届けたい。体調の悪い人や要介護度の高い人などを、被災地外の病院や施設が速やかに受け入れられるよう、自治体間で連携して支援する必要があろう。

仮設住宅の建設と併せ、各地の公営住宅が被災者を受け入れる準備を始めた。建て替えのため休業中だった都心のホテルも提供を申し出た。歓迎すべき動きだ。

入居を始める順序も、高齢者や障害者、乳児を抱える家族などを最優先にしてもらいたい。

毎日新聞 2011年03月26日

大震災2週間 被災地支援の正念場だ

東日本大震災の死者が1万人を超え、まだ多数の行方不明者がいる。

一方、被災地では大勢の人が避難生活を送る。やっと一部でガソリンが流通し始めたが、まだ人、物の流れとも十分とは言えない。

寒さ厳しい中、避難生活は3週間目に入った。津波や地震の被害をかいくぐった大切な命が、避難生活の中で失われてはならない。被災地支援は物心両面でこれからが正念場だ。その意識を新たにしたい。

被災地の厳しい現状は、今も続く。支援物資が十分届いていない避難所があり、格差が生じているようだ。また、避難者同士の自治組織がうまく動いていない避難所は、支援が手薄になりがちだ。

自治体の機能はまだ十分ではないだろうが、行政はしっかりと目配りし、調整してもらいたい。

届けられる食料も、おにぎりやパン、缶詰などに偏りがちである。炊き出しができるところは一部に限られ、栄養面が心配だ。供給のパイプをもっと増やしたい。

寒さと病気、衛生面の対策も喫緊の課題である。

阪神大震災では、震災関連死として900人以上が確認され、最も多い約4分の1は肺炎が原因だった。その多くが高齢者の誤嚥性(ごえんせい)肺炎だったと専門家は指摘する。水不足でうがいができず口腔(こうくう)内が不潔になり、細菌が肺内に吸引されて起こる。

また、プライバシーのない避難所生活で、ストレスもピークに達していることが予想される。

医師や看護師はもちろん、歯科医や歯科衛生士、メンタルケアの専門家ら幅広い人たちの支援で、命の危険を摘み取りたい。

広い地域が被災した今回の震災では、避難所以外にも多くの被災者がいることを忘れてはならない。

道路が寸断された孤立地区では、個人の家に集団で身を寄せる。長く通信も途絶え、最近になり声が届いた人たちもいる。また、避難所からあふれて狭い車内で車中泊を続けたり、何とか住める自宅で避難生活を送る人も少なくない。町内会が食料などの支援物資を届けるところもあるが、これらの人が支援の網からこぼれ落ちないよう一層、工夫してほしい。

被害の大きい岩手、宮城、福島の3県の外にいると、津波被害で街が流失した沿岸部に目が行きがちだ。

だが、内陸部も含め、多くの地域で物資や燃料が不足し、スーパーや外食店の前に何時間も並ぶような状況がある。事態は改善しつつあるが、高齢者や体力のない人はつらいだろう。被災地周辺も含め、孤独死などがないよう地域の輪を強めたい。

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