東京の顔を決める選挙の立候補予定者が、ようやくそろい始めた。
松沢成文神奈川県知事が、今月24日告示の都知事選に出馬表明した。
すでに、共産党の小池晃前参院議員、外食大手「ワタミ」の渡辺美樹前会長らが立候補を表明している。東国原英夫前宮崎県知事、蓮舫行政刷新相らの出馬も取りざたされている。
都は1300万の人口を抱え、年間予算も6兆円を超える。財政は黒字で、国からの交付金に頼る必要がない。他県の知事経験者が改めてその座を目指すほど、首都の長は別格ということだろう。
現職の石原慎太郎都知事は、自らの去就について、まだ明言はしていない。
だが、政治的立場が近く、同じ首都圏の知事として協力関係もあった松沢氏が出馬を表明したことにより、石原氏は今期限りで退くのではないかとの見方が強まっている。東国原氏ら、様子見の有力者は決断を迫られよう。
都政を担おうとするならば、都民のみならず国民に向けて、政策構想を早く示すべきだ。
銀行税の導入、ディーゼル排ガス規制、都立高の学区廃止、羽田空港国際化、新銀行東京の設立、東京マラソンの開催、五輪誘致運動、築地市場の移転構想――。
石原都政はさまざまな施策に取り組み、成果を上げる一方で失敗も重ねた。
この3期12年をどう評価し、批判するのか。有権者が聞きたいのはまず、その点だ。
特に、ずさんな融資で経営難に陥り、400億円の税金を追加投入した新銀行東京の再建や、賛否が割れている築地市場の移転問題は、次の都知事が解決しなければならない懸案である。
最大の自治体を率いる首長として、国と地方の関係をどのように調整し、行政を効率的に進めるのか。指導力も問われよう。
「大阪都」「中京都」といった新たな行政体の創設など、各地の首長が地方の権限拡大を求めて先鋭的な構想を打ち出している。
そうした動きと連携するのか、一線を画すのか。次期都知事の姿勢が、地方分権の行方を方向づけるだろう。
それにしても、民主党は菅首相のお膝元である東京で、知事選の候補者をいまだに決めることができないとは、どうしたことか。
都知事選の結果は国政にも影響する。このまま候補を決められなければ、既成政党の存在意義も問われる都知事選となろう。
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