先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が、大きな曲がり角に立たされているということではないか。
先週末にトルコで開かれたG7で、これまでのG7を米国、ユーロ圏、日本に中国を加えた新たな「G4」に作り替える構想を米国が打診した。
世界経済の不均衡是正や為替の討議で、中国はもはや無視できず、米国は中国を取り込んだ枠組み作りが急務だと判断したようだ。
約1週間前に米ピッツバーグで開かれた先進国と新興国によるG20金融サミットは、G20を定例化し、国際経済を話し合う「最上位」の枠組みに位置付けた。
それに呼応し、「先進国クラブ」のG7を世界経済の主要プレーヤーからなるG4に衣替えさせる議論が提起されたのだろう。
だが、G7メンバーの英、仏、独、伊の4か国は、ユーロ圏としてひとくくりにされることを恐れ、新構想に抵抗している。
中国も為替相場を事実上管理しており、国際協調に関与させたり、応分の責任を負わせたりすることは容易ではない。
このため、今回のG7では結論が先送りされた。構想の具体化には時間がかかるのではないか。
トルコで浮き彫りになったのは、G7の地盤沈下だ。
直前に、円高・ドル安が加速し、ドルはユーロ、アジア通貨などに対しても下落した。
しかし、為替に関するG7共同声明の記述は、4月の声明とほぼ同じだ。ドル安是正へ、明確なメッセージを打ち出せなかった。中国・人民元の上昇に期待を表明しただけにとどまった。
背景には、日米欧の思惑の違いがある。企業の競争力回復を目指す米国は「強いドル政策」を掲げながらも、緩やかなドル安を容認したいというのが本音だ。
一方、内需が弱い日本と欧州は、急激な円高、ユーロ高は輸出企業の収益悪化を招くため、ドル安是正を望んでいる。新味のない声明は、妥協の産物だろう。
焦点は、為替相場がさらに乱高下した場合の対応策だ。ドルが急落すれば、米国経済に依存する国々の景気回復に打撃となる。その際、有効な国際協調策が実施されるかどうかが注目される。
G7声明は、世界経済に関しては「回復の兆しがある」としながら、「なお脆弱だ」と指摘した。この認識も、金融サミットの声明を追認したに過ぎない。
G7の機能強化と改革が必要なことは明らかだ。
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