政権奪還を目指す以上は、責任政党として、喫緊の課題である消費税率引き上げや環太平洋経済連携協定(TPP)参加の問題などにも積極的にかかわっていくべきだ。
自民党が定期党大会を開いた。民主党政権を衆院解散・総選挙に追い込み、早期に政権復帰を果たすとする運動方針を採択した。
谷垣総裁は「民主党の失政を徹底的に追及する。戦う野党としての責務だ」と述べ、菅政権への対決姿勢を強く打ち出した。
しかし、運動方針が、昨夏の参院選勝利は「政権に戻ってこい」との有権者の意思表示と見るのは早計、と書いている通り、党勢が回復したとは言いがたい。
最近の世論調査で、衆院比例選の投票先として民主党を上回っているのも“敵失”が要因と見るべきだろう。自民党は、民主党政権を厳しくチェックするとともに、国民の信頼を取り戻す地道な努力を重ねることが必要である。
特に、国の命運を左右するような政策課題では、建設的な姿勢を示すことが大切だ。政権に復帰すれば、直ちに取り組まねばならない課題ではないか。
谷垣総裁は大会の中で、税制・社会保障改革を巡る超党派協議について、民主党による衆院選政権公約の「撤回」が協議に入るための「前提」との考えを示した。
自民党出身の与謝野経済財政相がこの問題に関する司令塔になったことにも反発した。
子ども手当などのバラマキ施策をはじめ、多くの点で見直しが必要なのは確かだ。しかし、撤回しない限り協議に応じない、というのでは議論が先に進まない。
政府・与党が税制・社会保障改革に対する具体的な見解をまとめて提示してくるなら、前提をつけずに協議の席につくべきではないか。与謝野氏へのわだかまりも脇に置くべきだ。
運動方針にTPP参加問題への言及がないのも解せない。石原幹事長は以前、3月中に賛否をはっきりさせると言明したはずだ。
党内には、TPP参加を打ち出した場合、これに断固反対を訴える農業団体が離反して票を失うと懸念する議員が多い。
それが理由で態度を曖昧にするなら、与党を批判できまい。自民党もTPP参加の方向で早急に党内の意見をまとめるべきだ。
外交面でも、米軍普天間飛行場の移設問題は、自民党が積み残した課題である。
民主党をただ批判するだけでは無責任のそしりを免れない。
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