党内外からの圧力に抗し切れなくなった末の突然の方針転換である。
民主党の小沢一郎元代表が28日、記者会見し、来月召集される通常国会で衆院政治倫理審査会に出席する意向をようやく表明した。
小沢氏は従来、検察審査会の議決により政治資金規正法違反で強制起訴されることなどを理由に、政倫審出席を拒否していた。
だが、民主党は27日、通常国会前に政倫審で小沢氏の招致を議決する方針を決定した。菅首相も、小沢氏が出席しない場合は離党を期待する考えを示し、小沢氏への圧力を強めていた。
小沢氏は、政倫審を拒否し続けた場合、民主党から離党勧告や、法的拘束力のある証人喚問を迫られ、より厳しい立場に追い込まれる、と考えたのだろう。
遅きに失したとはいえ、小沢氏が政倫審で自らのカネの問題について積極的に真実を語るのであれば、一応歓迎したい。
問題なのは、小沢氏が政倫審出席に条件を付けていることだ。
小沢氏は、「私が出席しないと国会審議が開始されない場合は、通常国会冒頭に出席する」と語る一方、「そうでない場合は、予算成立後に出席したい」という。
小沢氏は、自分の政倫審出席を国会審議を促進するカードにしたいようだが、多くの国民はそんなことは期待していない。
小沢氏が国会審議の重要性を強調するのは、参院の問責決議を受けて野党が要求する仙谷官房長官らの更迭を促す、党内の主導権争い絡みの狙いもあるのだろう。
これに対し、菅首相は、通常国会前の政倫審出席が党の決定だとして、小沢氏に「これに従ってもらいたい」と注文した。小沢氏は自らが示した条件にこだわらず、早期に政倫審に出席すべきだ。
小沢氏が国会できちんと語るべきことは、少なくない。
自らの資金管理団体「陸山会」の土地購入事件では、小沢氏の元秘書3人が起訴されている。
元秘書による政治資金収支報告書の虚偽記載について、小沢氏はどこまで関与したのか。4億円の土地購入資金を小沢氏個人が出したのに、年450万円もの利子を払ってまで、銀行融資を受けて隠蔽を図ったのは、なぜか。
小沢氏は、これらの疑問について誠実に答えねばならない。
陸山会が昨年、民主党の衆院選候補予定者91人に配った4億4900万円の原資や、その一部である旧新生党資金の流れについても明確な説明が求められる。
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