名古屋市長 市民が納得できる辞職か

朝日新聞 2010年12月21日

名古屋市長 市民が納得できる辞職か

名古屋市の河村たかし市長が市議会議長に辞表を出し、出直し市長選への立候補を表明した。この街では、河村氏が呼びかけた議会解散の是非を問う住民投票の実施が決まったばかりだ。そのときになぜ辞職なのか。

「信を問いたい」と言うが、昨年春の市長選で51万票も集めた河村氏への地元の人気は今も高い。本当の狙いは、盟友が立つ来年2月の愛知県知事選にあわせて市長選をすることだ。在職のままでも応援はできるが、ダブル選挙にして話題を集め、知事候補を応援したいらしい。

政令指定都市で初めての住民投票も知事選と同じ日に行われる。でもいまや、かすんでしまった。これから減税や財源について、市長と議会の主張の違いを市民にじっくり考えてもらうはずだった。11月に市総合文化会館建設をめぐる住民投票があった長野県佐久市では、21回も説明会があった。

だが河村氏は辞職の会見をすると、盟友とともに大阪に向かった。橋下徹知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」の会合に出て、大阪都構想と並び、中京都構想を論じた。

突拍子もない行動力が、河村氏の支持の源泉だ。共産党を除き、オール与党で長年なれあってきた議員たちと対決する姿は、喝采を浴びた。

議会リコールで掲げた目的は、市民税恒久減税、市民参加の地域委員会の拡充、議員報酬半減の三つだった。いずれも、河村氏が市議会を説得し切れずに否決された。議会解散請求には36万人が有効な署名をした。

しかし、今度はどうだろう。

自治体はいま、予算編成の最中だ。持論の行革で、財源をひねり出してみせるときだ。今年度予算の編成では市民サービスを削り、批判を浴びた。市債残高は、一般会計の2倍近い1兆8千億円もある。この借金を置いても減税を進めるべきなのか。市民もいま一度、冷静に考える必要はないか。

市はこの市長選に2億4千万円をかける。だが、河村氏がこの時期に辞職しても対立する市議会の選挙が同時にあるわけではないし、応援する知事選は市議会の運営に直接影響がない。河村氏は任期を半分以上も残して辞め、自分の行動についてどう訴えるのか。

ダブル選挙に河村氏が出ることで、ともに行動する知事候補も一緒にテレビや新聞に登場し、知名度を上げたいという期待もあるようだ。そうだとすれば、メディアも冷静な報道になるよう自戒しなければいけない。

分かりやすい敵をみつけ、鋭い言葉でたたく。閉塞(へいそく)感の強まる社会で、指摘すべき矛盾は数々ある。だが、それだけでは次の時代を開けない。大きな支持を集めて市長に就いた河村氏は、市民の利益になる政治にじっくりと取り組むときではなかっただろうか。

産経新聞 2010年12月24日

名古屋リコール 問題は形骸化した議会だ

名古屋市の市議会解散請求(リコール)で、住民投票が実施されることになった。政令市では初めてのことだ。河村たかし市長は辞表を提出して、出直し市長選への出馬を表明した。来年2月6日に、愛知県知事選、住民投票との「トリプル投票」となる。

リコールのきっかけは、河村市長が掲げた恒久的な市民税の10%減税や議員報酬半減案などの公約を議会が否決したことだ。活動は市長自らが主導する異例の形で始まったが、署名が約37万となったのは多くの市民が議会の判断に疑問を抱いたからであろう。議会は「民意」を重く受け止めるべきである。

名古屋市議会は長年、市長提案の政策を追認する行政とのなれ合いを続けてきた。市議報酬はお手盛りにより1600万円にも達した。形骸化された議会を改めなくてはならない。

「なれ合い議会」は名古屋だけではない。議員が報酬に見合った働きをしているか、全国で住民が目を光らせる必要がある。議会には、名古屋の結果を自分たちに突き付けられた問題として自己改革に努めてもらいたい。

今回はリコール手続きの問題点も浮き彫りにした。提出された約46万人の署名のうち、11万余もが無効とされた。市選挙管理委員会の委員4人のうち、3人を占める元市議の委員が審査の厳格化を求め、署名に一つでも誤字があれば認めなかったためだ。

明らかにやりすぎの感は否めない。選管が恣意(しい)的に無効を増やしたと批判されても仕方あるまい。選管の判断一つで、約1万5千もの署名がひっくり返る制度は欠陥があると言わざるを得ない。

政令市のリコールへのハードルは高い。例えば、大都市も小さな町村も署名集め期間は1カ月間だ。名古屋より人口が少なくても都道府県なら2カ月である。もっと実態にあった制度へ、改正を急ぐ必要があろう。

一方、河村氏の辞職は理解に苦しむ。自らが市長選に立つことで、連携する候補が出馬する県知事選と住民投票を有利に進めたい思惑があるのだろうが、リコールが成立した以上、任期を全うするのが首長の責任だ。

地方自治は、首長と議会とを別々に選ぶ「二元代表制」である。議会との対決のみを目的にしてはなるまい。

tarou - 2010/12/31 20:20
名古屋市議は給料が高い
   それはもう!諸外国よりもズバ抜けて高い!
 スウェーデンが無料で米65万円、イギリス74万円ですよ、
この社説へのコメントをどうぞ。
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