「超氷河期」という言葉さえ聞く。
来春卒業予定の大学生の就職内定率が、過去最低に落ち込んでいる。1年上の先輩たちは、6人に1人が進路が決まらぬまま大学を出て新卒未就業者となった。このままゆけば、もっと多くの無業の若者が生まれかねない。
大学で様々なことを学んだ後、やりがいのある仕事を見つけ、稼ぎを得て社会に足場を築く。そんな人生の予想図はもろくも崩れつつある。
浮かび上がるのは勝ち組、負け組といわれるような就職格差の広がりだ。
企業は厳選採用を進め、予定数に満たなくても採用活動を打ち切る。大企業のメガネにかなう人は奪い合いになる一方、受けては落ちることを繰り返し、追いつめられる学生がいる。
労働政策研究・研修機構が各大学を調べたところ、今春の新卒未就業者が3割以上を占めたのは、新設の私大や小規模校が目立った。大学の就職センター担当者は、「何をしたらいいかわからない」「企業に出すエントリーシートが書けない」といった点を学生の課題に挙げる。途中で就職活動から降りてしまう学生も増えているという。
今の就職難を不況だけのせいにするのは間違いだ。それを超えた構造的な不運が学生たちを苦しめている。
20年前に25%だった大学の進学率は5割を超え、多様な若者が学ぶようになった。だが、就職市場はそれに見合うものになっていない。何をすべきかつかめず、社会に出る準備が整わない若者を大学は無責任に送り出す。
経済界の方も、大卒者の質と量の変化に応じた多様で柔軟な採用のあり方を、示せていない。
若者が希望を持てぬ社会に未来はない。打てるだけの手を打とう。
採用意欲のある中小企業を集めた合同説明会が盛んになってきた。大企業志向の学生の視野を広げさせ、マッチングする試みは成果を上げているか。学生が敬遠しがちなハローワークと大学の連携は、まだ十分といえない。政府が矢継ぎ早に繰り出す雇用対策を卒業生につなぐよう、大学はどれだけフォローに努めているか。現場の工夫はなお必要だろう。
そのうえで、学校教育と産業社会の間で広がる構造的なミスマッチの是正に、社会を挙げて取り組むべきだ。
職業人となる意識を身につけさせるキャリア教育を、学校体系にきちんと位置づける。大学から職業へのコースは複線であるべきだ。企業は大学の人材育成力を損なう就活の早期化・長期化を正し、学業の成果を問う採用に変える。何度かチャレンジできるよう新卒一括採用からも転換しよう。
政府と大学、経済界の話し合いが始まった。守られぬ協定や倫理憲章でお茶を濁すことなく、実効性のある改革を打ち出さねばならない。
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