朝鮮学校無償化 禍根残す国益損なう基準

毎日新聞 2010年11月06日

朝鮮学校無償化 開かれた教育へ脱皮を

論議が続いていた高校無償化制度の朝鮮学校適用について、文部科学省は審査基準を決定した。申請を受け審査するが、高校に相当する高級学校はその条件を満たしているとみられ、適用の見通しだ。だがこれで落着とはいえまい。今回の賛否論議を生かし、改善につなげたい。

高校無償化制度は民主党政権が掲げた教育政策の主柱の一つだ。今年度から実施された。

公立は授業料無償化、私立は支援金給付で負担を低減する。「各種学校」である外国人学校は、大使館を通じ日本の高校相当の課程であることや、国際的な認証を受けている学校であることを確認し、適用対象とした。それができない朝鮮学校については意見が分かれた。専門家らの検討会議や党の論議も経て、既に適用対象にされている「専修学校高等課程」を審査基準にした。

無償化は学校への支援制度ではなく、高校段階の生徒たちに国全体が学びの機会を支援するものだ。その理念から、基準をクリアしているならば、支給は当然といえよう。

ただ、朝鮮学校を対象とすることへの異論や反対意見は多く、政権内でも批判、疑問の声がある。歴史教科で、独善的な金父子独裁体制礼賛や反日的な内容があったり、朝鮮戦争は米・韓国側から起こされたと主張するなど国際的な共通認識や教育姿勢とは相いれないものがある。

拉致事件など重大問題で、北朝鮮側に誠実な対応が見られない状況も続く。そうした国につながる学校を認知するかのような支援に、割り切れない思いの人も少なくない。

審査基準は、他の私立学校同様に「教育内容の是非」を項目にしていない。しかし、適用反対意見も踏まえ、文科省は今後教育内容に「懸念される実態」があれば、自主的な改善を強く促し、どう対応したか報告を求めることを表明した。日本の高校の政治・経済の教科書を使う案も提示している。支援金が授業料に充当されているかもチェックする。

一方、朝鮮学校側にとっては、注目される今こそ、自ら改革する好機と考えてはどうだろうか。多くの生徒は日本に生まれ、その文化、風習になじんでいる。学校以外では地域社会に根差している納税者の子供たちだ。開かれた学校として脱皮することに違和感はあるまい。

今、学校教育は学校の多様化とともに情報公開に力を入れ、保護者や住民らが運営に参加するコミュニティースクールや学校支援地域本部制度などが広がっている。

自主的で地域に開かれた改革を進めることによって、朝鮮学校もまた多様な学校の一つとして大事な位置を得るだろう。強く期待したい。

産経新聞 2010年11月06日

朝鮮学校無償化 禍根残す国益損なう基準

高木義明文部科学相が朝鮮学校の授業料無償化適用で、「教育内容を不問」とする基準を決定、公表した。北朝鮮の独裁者礼賛や反日的な教育が行われているのになぜ国民の税金を使うのか理解しがたい。文科省の基準は極めて一方的で、国民の理解は得られない。

朝鮮学校は北朝鮮や朝鮮総連の強い政治的影響を受け、教育内容のほか、教員人事にも総連の影響力が及んでいることが国会質疑で明らかにされてきた。

朝鮮学校の教科書では、故金日成主席、金正日総書記父子をたたえ、日本人拉致事件そのものを認めず、「日本側が極大化している」とする記述もある。4日の衆院拉致問題特別委員会では、参考人として出席した拉致被害者の家族ら5人が、いずれも無償化適用に反対したばかりだ。

家族会事務局長の増元照明さんは「日本国民とともに拉致問題の解決を願っていける人材が育てられるのか」と懸念を示した。また代表の飯塚繁雄さんは「制裁と言いながら、無償化すれば北朝鮮が『勝った』と言いかねない」と指摘した。文科省基準は拉致問題などで北に経済制裁を科している政府の方針とも矛盾する。

また最近の産経新聞とFNNの合同世論調査では、朝鮮学校の無償化を「不適切」(58%)とする意見が「適切」(33%)を大きく上回っている。高木文科相は基準決定とともに大臣談話を出し、「国会の議論や国民各界各層の意見を踏まえた」としたが、本当に真摯(しんし)に検討したのか。国民の意見を踏まえたとは到底いえない。

朝鮮学校では、学費納入時に朝鮮総連の傘下団体の活動費を徴収していた問題などが明らかになっている。文科省の基準では無償化で生徒への就学支援金が授業料に充当されているか、指定後に資料提出を求めるという。文科省の朝鮮学校視察の際、歴史授業をはずす時間割改竄(かいざん)なども起きている。本当に守らせることができるのか。画餅(がべい)に帰しかねない。

大臣談話では朝鮮学校の教科書への批判を踏まえ、日本の政治・経済の教科書を使うなど自主的改善を求めた。だが、問題が分かっていながらなぜ基準に明記しないのか。最初に無償化適用の結論ありきで検討を進めたといわざるをえない。国際社会の常識とかけ離れた教育内容を不問とする基準は国益を損ね、禍根を残す。

yutakarlson - 2010/11/06 10:31
【朝鮮学校無償化】教育内容不問が決定的に 午後に適用基準発表 ―民主党の懲りない面々?地方主権というからには、地方に全部任せたら?
ブログ名:「Funny Festaurant 犬とレストランとイタリア料理」
http://yutakarlson.blogspot.com/2010/11/blog-post_05.html
こんにちは。朝鮮学校の教育内容不問が決定的になりました。しかし、高校の日々の運営管理は通常市町村が実施しています。都道府県などは人事など一部を実施しているにすぎません、ましてや文部科学省が直接運営管理などしていません。民主党、「地方主権」なども標榜しているようですから、この際無償化に関して、都道府県に一任するようにしたら良いと思います。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。
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