民主党の小沢一郎元代表が、土地取引事件について国会で説明するよう求めた岡田克也幹事長に対し、応じない考えを伝えた。インターネットの番組でも「司法で取り上げているものを立法府がいろいろと議論するのは妥当でないし、必要でもない」と語った。
小沢氏は政治資金規正法違反の罪で強制起訴されることが決まっている。裁判で事実関係が解明されるべきなのは言うまでもない。だからといって、国会で自ら説明することが「妥当でない」というのは、理解に苦しむ。
政治の場では、その立場によって、果たすべき責任の重さや内容、方法は異なる。小沢氏が首相をめざすような有力政治家でないなら、状況は違ったかもしれない。
しかし、小沢氏は2カ月前に事実上の首相選びである民主党代表選に立候補した。長年にわたって政界の中心にあり、何よりも「政治改革」実現の立役者であった。
「司法の場で」という理屈で批判をかわせる立場だろうか。求めがあれば国会で説明するのは当然ではないか。
小沢氏は、強制起訴が決まったあと、国会での証人喚問や政治倫理審査会への出席について「国会の決定にいつでも従う」と記者団に述べた。
今回のネット番組でも、「岡田君一人で決める話じゃない。国会として、その前に党としてどういう結論を出すか」と語った。
党としての決定、国会としての決定には従うということなのだろう。
政治倫理審査会は本人の申し出のほか、委員の過半数が賛成した場合に審査を行う。民主党は政倫審開催に向け、国会を動かすべきだ。
政倫審が議決しても出席の義務はない。鳩山由紀夫前首相は「故人献金」疑惑で政倫審に出席を求められても応じなかった。
だが、国会の決定には従うと明言した小沢氏は、言葉の重さを心得ているのであれば、そんな過ちは犯すまい。
鳩山氏は首相退陣表明にあたって、小林千代美衆院議員(当時)に、陣営への違法献金事件の「責めを負うていただきたい」と求め、小林氏は「監督責任」をとって議員辞職した。
一方、民主党は小沢氏に対しては、元秘書らが逮捕・起訴され、本人の強制起訴が決まっても何の処分もしていない。
先の代表選で200人の国会議員が小沢氏に投票しており、扱いに苦慮しているのだろう。しかし、処分どころか国会での説明さえ実現できないのであれば、党執行部はその力量も、公平性も疑われる。
首相は先に、「本人の意向に沿わないでも、やらざるを得ない時には党として判断したい」と答弁している。
そろそろ、その時が来ている。
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