行政刷新会議が、税金の無駄遣いを洗い出す事業仕分け第3弾を27日から始める。
今回は、国の18の特別会計とその中の48事業について見直す予定だ。
一般会計予算と違い、国会審議などで取り上げられることが少ない特別会計には、国が実施する必要性や経済効果に乏しい事業が少なくない。
労働保険特会の職業能力開発事業や社会資本整備特会のスーパー堤防事業などには、確かに無駄がありそうだ。
多額の積立金や借金を抱える特会も多く、そうした実態を再点検する意義はあろう。
だが、財源捻出などを優先するあまり、必要な事業をカットしたり、積立金を無理に取り崩したりすることがあってはなるまい。
国民へのアピールを狙って、各府省の説明担当者らを一方的にやり込めるような政治的パフォーマンスは厳に慎み、冷静な議論を重ねてもらいたい。
事業仕分けは、昨年11月に1回目が実施され、今年度予算の概算要求を取り上げた。今年4月には2回目が行われ、独立行政法人のあり方などを検証した。
いずれも、幾つかの事業や組織の廃止を決め、一定の成果を上げたと、鳩山前政権は自賛した。
しかし、当初の思惑通りにいかなかったのは明らかだ。初回の事業仕分けでは、予算の削減目標を3兆円としていたが、実際にははるかに及ばなかった。2回目でも、議論が中途半端に終わったケースが少なくなかった。
そもそも、わずか1時間足らずで、組織の存廃などについての結論を出すという手法自体に無理があるのは明らかだ。
民主党は、昨年の衆院選の政権公約(マニフェスト)で、国の一般会計と特別会計を一体的に見直せば、最終的に17兆円近い財源を生み出せるとしていた。
それは、昨年の予算編成や2回の事業仕分けで、絵に描いた餅であることがわかったはずだ。
今回は、“本丸”ともいうべき特別会計に挑むが、まとまった財源の捻出は難しいだろう。
特別会計の予算は合計176兆円余りと一般会計の2倍近いものの、大半は国債の整理や社会保障給付など、義務的な経費として使われているからだ。
外国為替資金特会は20兆円の積立金を持つが、保有する外貨資産には30兆円を超す為替評価損が発生している。この積立金を埋蔵金として使うのは筋違いである。
この記事へのコメントはありません。