アザデガン油田 撤退を新戦略に生かそう

朝日新聞 2010年10月04日

アザデガン油田 撤退を新戦略に生かそう

日本のエネルギー安全保障には開発で主導権を持つ「日の丸油田」が必須、としてきた政策が転機を迎えた。イランのアザデガン油田から日本企業が完全撤退する方針を固めたことはその象徴である。

2004年に欧州勢や中国との競争に勝ち、世界最大級とされるこの油田の権益の75%を国際石油開発(現国際石油開発帝石)が確保した。その後イランの核兵器開発疑惑で米国に配慮し、06年に権益を10%に縮小した。今回は制裁を強める米国の要請を受け、全面撤退となった。

撤退は残念だが、イランの核疑惑が晴れない以上、やむをえない。すでにアザデガン油田の意義は小さくなっていた。石油消費が減少に向かっている国内情勢や将来の低炭素社会も考えて冷静に受け止め、今後のエネルギー戦略に生かすべきだ。

今後は共同開発などで石油をめぐる情報を確保しつつ、資源を融通し合う国際ネットワークの一員としての資格を得るようにしたい。そのためにエネルギー関連技術や資金を活用し、産油国との連携を深めることが必要だ。

天然ガスや自然エネルギーの活用を含む多角的なエネルギー開発を加速させることも大切である。そうした努力を続けてこそ、グローバルな時代の資源市場の機能を維持するために、日本が貢献できる道が見えてくる。

中東での独自外交の立て直しも、今回の撤退に示された厳しい状況を踏まえて進めたい。

イランは日本にとって第4の原油供給国であり、1979年のイスラム革命後に米国とイランが国交断絶した後も、日本は友好関係をつないできた。しかし、これまでの日本の外交は、イランの核問題に対して何ら有効な影響力を持ち得なかった。

米国は今夏、ロシアの国営原子力企業がイランで原子炉を稼働させることを認めた。それと対照的に日本に撤退を求めたことは、日本の独自外交の限界の表れでもある。

これまでに日本が放棄したアザデガン油田の権益の大部分は、中国企業が取得した。イランに対して米国、ロシア、そして新参の中国が影響力でしのぎを削るという構図は、中東全体にもあてはまると考えるべきだろう。

日本は、中東で大国のように国家戦略を遂行できる力を持っていない。その現実を認識した上で、今後何ができるかを考える必要がある。

中東では、軍事力の行使を含め強圧的な対応に陥りがちな米国と、時にはうまく距離をとることも賢い外交ではあるまいか。一方で、産油国などには技術援助や社会開発の分野でもっと貢献し、信頼関係を築くことだ。

中東に必要とされる国になるための努力を惜しんではならない。

産経新聞 2010年10月08日

イラン油田撤退 したたかに資源戦略練れ

政府系企業の国際石油開発帝石(INPEX)が、イランのアザデガン油田で保持していた10%の権益を放棄し完全撤退する方針を固めた。エネルギーの安定確保に苦労する日本にとっては苦渋の決断である。

イランへの制裁圧力を強めている米国の要請を受けた形だ。イランはすでに濃縮度を約20%に高めたウランを22キロ製造し、1年で核爆弾を製造できると指摘する専門家もいる。「核不拡散」を掲げる日本が米国と歩調を合わせるのはやむをえない。

アザデガン油田は推定埋蔵量が260億バレルと世界最大級だ。2004年、国際石油開発(現INPEX)が75%の権益を獲得したが、核問題によって日本が開発の主導権を握ることの是非が問われ06年には10%に縮小していた。

ウラン濃縮を続行、拡大するイランに対し、国連安全保障理事会は6月、4度目となる制裁決議を採択した。それを受けて米国と欧州連合(EU)はそれぞれ追加制裁を打ち出した。日本も先月、独自の追加制裁を決めたが、全輸入量の約11%をイランに依存する原油取引については規制を盛り込まなかった。

しかし、米政府が7月に成立させたイラン制裁強化法の対象にINPEXをすえた場合、米系金融機関との取引停止に追い込まれ、資金調達が滞る可能性がある。世界27カ国で石油や天然ガスを開発・生産しているINPEXが他の事業への影響を回避する選択をしたのは仕方ない。

INPEXと入れ替わるように中国の国有石油会社がアザデガン油田権益の70%を譲り受ける見通しだという。資源確保になりふり構わない中国が主導権を握る機会と考えたのだろう。国際政治のゲームを見せつけている。

一方で、石油・天然ガスの自給率が先進国の中で最も低い日本が必要量を確保するには海外に依存するしかない。長期安定的に一定量が期待できる中東、中央アジア、南米などでの油田開発事業をさらに拡大する必要がある。

イランに核問題で再び対話路線に戻るよう説得するのも長く良好な関係を保ってきた日本の役割だ。資源国がもつリスクを最小限にするしたたかな資源外交戦略が求められている。太陽光発電施設の建設など非化石エネルギーの利用促進は言うまでもない。

ガガミラノマヌアーレ48 - 2015/05/08 20:17
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