HTV成功 世界に誇れる宇宙技術だ

朝日新聞 2009年09月21日

HTVドッキング 宇宙で増す日本の存在感

宇宙飛行士の食料などを積んだ日本の無人宇宙船「HTV」が国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。国際的な約束に基づく初の輸送任務を無事に果たしたことになる。

HTVを軌道へ打ち上げたのは国産の大型ロケット「H2B」1号機だ。こちらも初仕事をこなした。ドッキングのやり方も、ISSへの影響の少ない日本独自の新手法だった。

自前の宇宙船を自前のロケットでISSに送り届ける。この一連の大仕事をきちんと成し遂げたことで、日本の宇宙技術は世界に向けて存在感を示したといってよい。

宇宙開発はいま日米とも政権交代によって転機を迎えている。オバマ大統領は有人計画の見直しを進めており、有識者の独立委員会はISSの運用を2020年まで延ばすよう促した。火星探査はかなり先になるだろう。

日本では、新任の前原誠司・宇宙開発担当相が宇宙行政を一元化する方針を明らかにした。その先には、米航空宇宙局(NASA)にならった「日本版NASA」をつくる構想がある。日米それぞれ様変わりしそうだ。

そんななかで、日本の技術力が生きる戦略を考えていく必要がある。

HTVは直径約4.4メートル、長さ約10メートルの円筒形をしている。ISSへの補給物資や実験装置など、約6トンを運ぶことができる。今後、毎年1機ずつ打ち上げる予定だ。

いわば大型の輸送トラックで、それ自体に華々しさはないかもしれない。しかし、その意味は大きい。

まず、NASAのスペースシャトルの引退が来年にも迫るなか、ISSに物資を運ぶ手段としての役割だ。

シャトル引退後の運搬手段には、ロシアのプログレスと欧州のATVもある。荷物の積載量が7.5トンと最大なのはATVだが、ISSとの結合部は直径0.8メートルしかない。HTVは1.2メートル四方と大きく、大型の装置を運び込む唯一の手段となる。今回の打ち上げにNASA高官が立ち会ったことからもわかるように、宇宙国際協力への日本の貢献に期待が集まっている。

一方で、HTVは将来、有人宇宙船に発展させることも想定されている。地上と同じ1気圧に保たれた部屋があり、重要な部品は3系統を備えて安全性を高めている。

HTVは約1カ月後にゴミを積み大気圏に突入させて燃やすが、高熱から機体を守って地上に安全に戻す技術などが備われば、有人宇宙船にもなる。

今回の成功によって、日本の宇宙政策の選択肢は広がった。自前の技術での有人飛行にまで踏み出すのかどうかについても、幅広い観点からの議論が必要なときだろう。

日本ならではの宇宙開発とは何か。新政権はその将来像を示してほしい。

産経新聞 2009年09月20日

HTV成功 世界に誇れる宇宙技術だ

すごい。見事な成功だ。日本の無人宇宙貨物船「HTV」が国際宇宙ステーション(ISS)への結合に成功した。

青と白の彩りが美しい丸い地球を背景にドッキングは進んだ。ISSから細長いロボットアームが伸ばされて、10メートル下方の宇宙空間に相対停止していたHTVの突起を巧みにつかみ、ステーション本体に引き寄せての結合だ。

今月11日に、大型バスほどの大きさがあるHTVをその先端に載せて宇宙へ運んだ大型最新ロケット「H2B」の打ち上げも完璧(かんぺき)だった。HTVの結合も文句なしの鮮やかさだ。合わせて200点満点を贈りたい。

何しろ、ISSは高度350キロの軌道上を秒速約8キロという猛烈なスピードで飛んでいる。2分間で鹿児島から東京を移動する速さだ。これに結合するには、HTVの速度をISSの真下でぴったり一致させなければならない。しかもHTVは無人機だ。

15年ほど前、日本がISS計画への貢献策としてHTVの基本構想を提案したところ、米航空宇宙局(NASA)から、はっきり難色を示された。ドッキングに失敗すると致命的な衝突事故につながるからだ。

ロボットアームでつかむ結合方式は、苦肉の妥協策だった。しかし、その後の技術進歩で高度に洗練されて安全度の高いドッキング方式となったのだ。

HTVは、日本の独自技術で開発された。これが大いに誇れる点である。宇宙開発には一国の科学技術力の総合力が反映される。家電製品などで他国の激しい追い上げに遭っている日本だが、技術の格の違いが証明された。

来年9月末に米国のスペースシャトルが飛ばなくなると、それ以降はHTVが、大型資材や実験装置をISSに輸送できる唯一の手段となる。

ロシアはソユーズ宇宙船で、米露や日本などの宇宙飛行士の往復を一手に引き受けるが、日本もISSの運用に不可欠のパートナーとしての地歩を固めた。

HTVの貨物室の一部は、普通の空気で満たされ、室温も20度に維持されている。有人宇宙船に発展し得る構造と機能を実現させている。将来への大きな可能性を秘めた存在なのだ。

日本の宇宙開発は、H2BとHTVの成功で、一時は失いかけていた質の高さを取り戻した。

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