代表選14日投票 国家の危機考えた選択を 信なくば政治は成り立たず

毎日新聞 2010年09月14日

代表選きょう投票 政治資金問題 疑問は積み残された

民主党代表選の投開票が14日、行われる。菅直人首相、小沢一郎前幹事長の両陣営は約2週間にわたり党を二分する激しい選挙戦を展開してきた。まだ態度を決めかねている国会議員もかなりいるようだ。事実上の首相選びとなる極めて重い選択だけに、党所属国会議員は熟慮のうえに、1票を投じてほしい。

今月1日の告示以来、菅、小沢両氏は討論会などを通じて政見をたたかわせてきた。基本政策でこれまで公式に語る機会が必ずしも多くなかった小沢氏の主張が国民にある程度、明らかになった点などは前進だろう。とはいえ、焦点と目された「政治とカネ」については、踏み込み不足の論戦に終わったと言わざるを得ない。

小沢氏の資金管理団体による土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件では、小沢氏から4億円を借り入れながら返済分を含め政治資金収支報告書に記載しなかったとして、元秘書が起訴されている。小沢氏は代表選を通じ、東京地検が容疑不十分で自身を不起訴としたことを踏まえ「結論が出ており、何の一点もやましいことはない」と強調した。

だが、さまざまな疑問は結局、積み残されたままになった。土地購入の原資をめぐる小沢氏のこれまでの説明が「銀行からの借り入れ」「個人資産」など転々としたことや、「実務は秘書に任せていた」との主張について、私たちは一層の納得いく説明が必要だとこれまで指摘してきた。今回、小沢氏が疑問を進んで解消したとは言えまい。

小沢氏は東京第5検察審査会が2回目の審査で仮に起訴議決すれば、強制起訴される。小沢氏は首相に就任していても起訴には同意する考えを示した。一方で、仮に起訴されても「離党したり、辞職する必要はない」と表明した。「推定無罪」が原則とはいえ、首相としての執務と法廷での審理が両立できるかという懸念は残されたままである。

菅氏も最初の討論会こそ「カネまみれの政治文化」からの脱却を訴えたが、政治資金問題の強調は得策でないと判断したのか、あまり取り上げなくなった。小沢氏の処遇についても要職への起用をいったんほのめかしたあと、陣営が打ち消しに回るなど揺らぎをみせた。小沢氏を「カネと数の原理が色濃い」とまで批判しながら、腰の定まらぬ対応である。

投票の直前には両候補による演説が行われる。政治資金問題への姿勢こそ、両候補とも避けて通れないテーマのはずだ。特に小沢氏は国会で説明責任を果たすことを最低限、確約すべきである。

産経新聞 2010年09月12日

代表選14日投票 国家の危機考えた選択を 信なくば政治は成り立たず

14日に投開票される民主党代表選で所属国会議員411人には、国家の危機を乗り越えるために、菅直人首相と小沢一郎前幹事長のどちらがふさわしいかを熟考し、票を投じてもらいたい。その選択に日本の将来がかかっている。

参院選で大敗し、国民の信を失った首相と、「刑事被告人」になりうる前幹事長のいずれかを選ぶしかないのは、日本の「不幸」といえる。政権発足以来、迷走を続け、現在も党を二分する権力闘争を繰り広げている民主党に、国民はあきれ果てている。

◆同盟の抑止力に違い

ただ、対立軸は少しずつ見えてきた。ばらまき政策の修正に柔軟で財政再建を志向する菅氏と、ばらまきを継続し消費税増税に否定的な小沢氏との違いはその一例だ。より現実的な方策で、国益や国民の利益を守る指導者を見極めることが求められる。

今、日本が想定していなかった危機が現実のものになっている。中国が力を背景に日本を威嚇し、勢力圏を拡大する構えをみせていることだ。尖閣諸島沖合の日本領海を侵犯した中国漁船の船長を海上保安庁が逮捕した事件で、中国は漁業監視船を派遣した。農業省所属の監視船は4000トン前後の退役艦を改造しているものもあり、インドネシアでは今夏、威嚇発砲をしたと伝えられる。

監視船はその後、尖閣海域を離れたようだが、もしも日本領海に居座った場合、巡視船は退去を求める対応しか取れない。自衛隊にしても、領土や領海を不法に侵害する行為を排除する領域警備規定を付与されていない。日本は自国の守りすら不十分なのだ。

11日には沖縄沖で、海保の測量船が中国の海洋調査船から活動中止を求められた。

結果として、日本の平和と安全は日米同盟に基づく抑止力に、その成否がかかっている。

こうした外交、安全保障政策が代表選でほとんど論じられていないのは残念だが、菅氏は「米海兵隊は抑止力として必要」と述べた。小沢氏は事件の発生前に「(尖閣諸島は)歴史上、中国の領土になったことは一度もない」と語ったが、海兵隊の実戦部隊は不要との見解を示している。

日米同盟の空洞化が中国の挑発を呼び込んでいるだけに、両氏とも米軍普天間飛行場移設問題の解決策を具体的に語るべきだ。

10日に開かれた民主党有志議員主催の討論会は、両候補の政策論議を投票の判断材料とする趣旨だったが、あらかじめ「政治とカネ」は議題から外したという。自浄能力の欠如が、国民の目にどう映っているかの自覚に欠けると言わざるを得ない。

小沢氏は首相に就任した場合、東京第5検察審査会から2度目の「起訴相当」議決が出されても、起訴に同意する考えを示している。だが、それがどのような状況を引き起こすかを、改めて想起してほしい。法廷での決着がつくまで、違法行為の疑いをかけられた指導者をいただく日本は、海外にどう映るのか。そんな指導者が痛みを伴う政策を訴えても、国民は聞く耳をもたないだろう。

来年の統一地方選や今後の国政選挙を、小沢氏の下で戦うことになる状況も考えておくべきだ。

◆不安は独裁的な傾向

さらに見逃せないのは、小沢氏の強いリーダーシップが独裁的な傾向を併せ持つことだ。小沢氏は昨年暮れ、天皇陛下と習近平中国国家副主席の特例会見を強引に実現させた。「陛下にお伺いすれば喜んでやってくださると思う」と、天皇のご意思を勝手に忖度(そんたく)し、1カ月前までに申請が必要なルールを無視したことを正当化する不見識な発言もあった。

一方、菅氏は「全員参加の議論」など融和的な政権運営を掲げるが、指導力が問われている。

参院選で打ち出した消費税増税がトーンダウンしたように、発言のブレが最高指導者としての資質を疑わせている。代表選序盤で「カネにまみれた政治文化を変える」と小沢氏を真っ向から批判しながら、やがて「小沢氏と手を握って皆さんの期待に応える」と重用する考えを示した。幹事長辞職でけじめがついたとも語っており、小沢氏にこれ以上説明を求める意欲は薄いようだ。

首相の資格と資質が問われる異例の選挙だが、いずれが勝利してもできるだけ早期に、国民の信を問うべきである。

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