政府・日銀の対応の鈍さに投機筋が付け込み、円高に歯止めがかからなくなっている。
24日の海外市場で、15年ぶりに1ドル=83円台をつけるなど、急ピッチで円が上昇している。市場には、やがて史上最高値の79円台が視野に入るとの見方もある。
日本経済への打撃を見越して、東京市場の平均株価は9000円を割り、25日の終値は今年最安値の8845円となった。
円の急騰を止めないと、企業や家計の心理が冷え込み、景気が腰折れしかねない。
政府・日銀は、円高阻止に向け市場介入も選択肢に、断固たる姿勢で臨むべきである。
このところ、政府と日銀の対応は、誤算が続いている。
今月10日、日銀は追加の金融緩和を見送ったが、その直後に米連邦準備制度理事会(FRB)が追加の緩和策を実施した。それが今回の円急騰につながった。
円高対策で注目された菅首相と白川方明日銀総裁の23日の会談は、15分間の電話会談に終わった。内容も乏しかったため、政策当局の狙いに反し、一層の円高と株の失望売りを誘った。
閣僚らによる「市場との対話」も、ちぐはぐさが目立つ。
野田財務相が24日夕に開いた緊急記者会見は、市場を注視する考えを示しただけで具体策がなく、むしろ円高に拍車をかけた。
財務相は25日、「必要な時は適切な対応を取る」と、やっと市場介入の可能性を示唆した。菅首相もこの日、民主党衆院議員らとの会合で、「そう遠くない時期にちゃんと対応する」と述べた。
だが、いずれも流れを変える材料にならなかった。
これまでの及び腰の姿勢から、「日本政府はまだ動かない」と、投機筋は踏んでいるのだろう。
政府は、円がさらに上昇し、1ドル=80円突破をうかがうまで「奥の手」を温存したい気持ちもあろうが、そろそろ潮時ではないか。日本単独での市場介入を、真剣に検討すべき段階と言えよう。
米欧は自国通貨安を容認しているが、デフレと成長鈍化に悩む日本の円が独歩高なのは説明がつかない。日本が円高修正に動いても海外から強い批判は受けまい。
日銀も、9月上旬の金融政策決定会合に向け、追加金融緩和の検討に入ったという。円高阻止、景気浮揚の両面で期待したい。
市場動向によっては、定例会合を待たずに臨時会合を開き、金融緩和を急ぐべきである。
日銀も金利を下げる対策を出さなければ、円高が・・・
勉強させてもらいました。 ありがとうございます。