急ごしらえの「トロイカ体制」で、予算編成はうまくいくのか――。
菅国家戦略相、藤井財務相、仙谷行政刷新相による、予算作りの新たな仕組みのことだ。
予算の大枠を示す国家戦略局の暫定組織である国家戦略室と、無駄の排除を担当する行政刷新会議の設置が18日に閣議決定された。鳩山首相と3相らによる閣僚委員会の協議も始まった。
政治主導を掲げる鳩山内閣の来年度予算の編成作業が、事実上スタートしたが、3相がどのように予算編成にかかわるか、役割分担がはっきりしないのが実態だ。
藤井財務相が、財務省主導の編成を主張したことで、3相間の主導権争いを懸念する声もある。
政権交代で、予算編成のスケジュールは例年より大幅に遅れている。微妙な景気動向を見れば、組織作りなどに時間をかけている余裕はないはずだ。予算の年内編成に向け、鳩山内閣はスピードを意識して臨まねばならない。
予算編成の最初の関門が、2009年度補正予算(約13・9兆円)の抜本見直しである。
子ども手当など、公約した新政策を賄う財源を確保するため、補正予算に計上された事業の一部を停止し、来年度予算に資金を回すのが狙いだ。藤井財務相は約3兆円を捻出する考えとされる。
18日には、自治体向けを除く基金事業の執行停止などを決め、ほかにも広く洗い出す方針だ。
確かに不要不急の事業にメスを入れる必要はある。だが、補正予算が景気を下支えしているのも事実だ。景気を腰折れさせないよう見直しは慎重に進めるべきだ。
それ以上に重要なのが、来年度予算の新しい編成方針を早急に示すことである。
菅戦略相は、今年7月に決定した概算要求基準(シーリング)を廃止し、新たな指針を10月上旬にまとめる方針だ。この指針をもとに各省庁は、予算要求を作り直すことになる。そうなれば、再提出は10月下旬近くになろう。
本来なら、予算査定がヤマ場となる時期だ。日程がこのままなら、年内編成は極めて厳しい状況に陥る。国家戦略室は財務省の知恵も借り、指針提示の繰り上げなどを検討すべきではないか。
行政刷新会議が無駄減らしでどんな成果をあげるかは不透明だ。スタッフの選定はこれからである。予算査定を任されてきた財務省主計局とどう棲み分けるか、という問題も残る。こうした点を早く詰める必要があろう。
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