臨時国会召集 国益優先しねじれ生かせ

毎日新聞 2010年07月31日

臨時国会 ねじれ生かすモデルを

何ごとも最初が肝心だ。与野党がそれぞれの立場で建設的な国会運営のモデル作りを競い合ってほしい。

参院選で衆参がねじれて初めての臨時国会が30日召集された。参院は午前の本会議で、議長に民主党の西岡武夫元文相、副議長に自民党の尾辻秀久元厚生労働相をそれぞれ選出した。一時野党が議長に統一候補を立てようという動きもあったが、最後は自民党が折れ、1970年代に河野謙三議長がスタートさせたルールに従い議長は第1党、副議長は第2党と分けた。妥当な人事ではなかろうか。

その代償というのか、法案の生殺与奪権を握る参院議院運営委員長は自民党が獲得した。常任委員長ポスト(全部で17)でも自民が6から7に増やした。まさにねじれ国会の火ぶたが切られた形だ。

法案は、2本審議される予定だ。社会保険病院を運営する独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)の解散時期を延ばして、全国52の病院経営に支障が起きないようにする法案と、7月の参院選で初当選または復活当選した参院議員の歳費を月割り満額支給から日割り部分支給(当選証書を交付されてからの任期6日分)にすることを可能にするための法案である。

前者は、緊急避難措置として問題なく成立に向け与野党合意した。後者は、抜本的な歳費日割り法案にした場合秘書給与の扱いで問題が生じるため、今回は取りあえず任期前の分は自主返納、ただそれが公職選挙法が禁じた寄付行為に該当しないよう例外扱いにする法案を出す、という複雑な手続きを踏むことになった。各党が国民の目を意識して知恵を出し合った結果と評価したい。

さて、民意が与えたねじれをどううまく使いこなすのか。菅直人首相は30日の記者会見で、「マイナスとばかりとらえない。合意した政策はむしろ実現可能になる」と強調した。98年の金融国会の際に自らが代表を務めていた野党・民主党の政策を与党・自民党が丸のみして結果的に国難を乗り切った、との例も持ち出し、野党に協力を呼びかけた。

確かに、与党の選択肢としては、丸のみも政策別連合も連立もありうるだろう。しかし、あらゆる働きかけの前提として必要なのは、まずは、菅民主党が一体どういう政策を実現したいのか、優先順位と工程表を練り上げること。次に、頭を低くして野党に協力を求め説明を尽くすこと。そして、くたくたになるまで議論する姿勢ではないか。この国会は短いが、ねじれ国会本番の秋に向けての貴重な実験の場である。特に、衆参2日ずつの予算委員会でその片りんくらいはみせてほしい。

産経新聞 2010年07月31日

臨時国会召集 国益優先しねじれ生かせ

参院選後の臨時国会で、参院議長に民主党から西岡武夫議院運営委員長が選出される一方、後任の議運委員長には自民党の鈴木政二参院国対委員長が就任した。

議会運営の要となるポストを野党が握ったことで、与党の強引な国会運営は通用しなくなる。参院選で与党を過半数割れに追い込んだ成果といえよう。

問題は与野党ともに衆参の「ねじれ」を生かし、国益と国民の利益に結びつく政治を、どう実現していくかである。

3年前の参院選で与党の自民党が過半数割れすると、民主党は国会同意人事を人質にとり、日銀総裁ポストに空白を生じさせた。国政は停滞し、「政局至上主義」と厳しい批判を浴びた。内政・外交ともに課題が山積する中で、同じ混乱と混迷の繰り返しは許されない。必要な課題に、党派を超えて取り組むことが不可欠である。閉塞(へいそく)感の打破にもつながる。

民主党は通常国会の会期末に参院本会議を開かず、菅直人首相らへの問責決議案などを採決せず廃案にした。野党側が「前代未聞の暴挙」と批判した強引な国会運営には、議運委員長だった西岡氏の責任も大きい。議長就任前に西岡氏は野党側に陳謝したが、議長選挙で大量の白票を投じられた意味を重く受け止めてほしい。

自民党とみんなの党などが野党による議長ポスト獲得を呼びかけたが、「議長は第一会派から」という慣例に阻まれた。だが、議運委員長ポストの獲得では野党が結束した。

政治とカネをめぐり国会の自浄作用を発揮すべきだ。鳩山由紀夫前首相や小沢一郎前幹事長の疑惑を解明することが責務である。

議員歳費を月割り支給から日割りに変える法案を成立させ、わが身を削る姿勢を示せるかどうかも注視したい。全国の社会保険病院などを運営する独立行政法人の解散時期を延ばす法案の処理も必要だ。8日間の会期でどれだけ実績を作れるかである。

菅首相は記者会見で、小渕政権が民主党の金融再生案を丸のみしたと指摘し、「与野党が合意すれば困難を伴う政策も実行可能だ」とねじれ国会での政策協調を呼びかけた。だが、一連のばらまき政策を見直すかどうかはあいまいだ。初の予算委質疑を通じて、菅政権は日本をどうするのかを明確に国民に語ってほしい。

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