グーグル 日本勢も機敏な対応を

毎日新聞 2010年07月29日

グーグル 日本勢も機敏な対応を

インターネットの検索サービスは、世界的にはグーグルが最大手だが、日本ではヤフーが1位で、その次がグーグルという順番だ。ところが、日本のヤフーは、検索サービスをグーグルに切り替えるという。日本国内での検索サービスの9割をグーグルが握ることになる。

地図や電子メール、動画の投稿・閲覧、電子書籍など、グーグルはネット上でさまざまなサービスを展開している。そのグーグルを現在の地位に押し上げることになったのは、検索サービスだった。

そのため、グーグルは常に新しい技術を導入し、最新で最強の地位の維持に努めている。これに対抗するには、多くの人材と資金を投じる必要があり、米国のヤフーはマイクロソフトと検索事業で提携し、マイクロソフトの検索システムとの統合を進めている。

しかし、ソフトバンクが筆頭株主の日本のヤフーは、検索サービスではグーグルをパートナーに選択した。グーグルの方が技術的に優位にあり、ネット広告の分野でも有利と判断したからだろう。

米国では、ヤフーはグーグルと検索分野での提携を探ったものの、米独禁当局の理解を得られず、マイクロソフトと提携した。

日本でもこの点が指摘されている。しかし、検索サービスは無料で提供され、しかも、どの検索サービスを使っているのか意識していないユーザーも多い。一般に販売されている商品と、検索サービスは、競争政策の観点から同一に論じることは難しいのかもしれない。

ただし、検索サービスで蓄積された情報が、特定の事業者を有利に扱うために利用されるということもあり得ない話ではない。ほとんどの人は、検索しても、上位に並んだものしか見ないからだ。

公正な競争が阻害されていないか。チェックできるようにする必要があるのではないだろうか。

手紙や電話、放送なども含めて既存のサービスが次々にネット上の電子サービスに置き換わっている。先頭を切る形で推し進めているのがグーグルだ。

最近では書籍や雑誌などの出版物の電子化に焦点が当たっている。日本でも大日本印刷と凸版印刷が呼びかけ、電子書籍の普及に向けた協議会が設立されるなど、動きが急だ。

ただし、技術や資金は十分ありながら、利害調整に時間がかかり、商機を逃してきたのが、日本のIT(情報技術)関連の産業だ。

電子書籍の分野でも、グーグルやアマゾンといった米国企業に主導権を握られないよう、スピード感のある対応を期待したい。

読売新聞 2010年07月30日

検索大手提携 グーグルの市場支配が心配だ

インターネット検索で世界最大の米グーグルと国内最大手のヤフーが、検索やネット広告配信で提携する。

両社合わせた国内検索市場の占有率は9割に達し、多様なネット情報を望む利用者の選択肢が狭まる可能性がある。提携がネット市場の発展を妨げないよう注視が必要だ。

米ヤフーはマイクロソフトと提携し、グーグルを追撃するが、ソフトバンクが出資する日本のヤフーはライバルと手を結んだ。

ネット事業の主戦場である検索分野で生き残るには、グーグルの最先端技術を取り入れるしかないと判断したのだろう。

今回の提携で、グーグルは「検索エンジン」と、検索結果に連動して広告を表示するシステムをヤフーに提供する。

検索エンジンは、ネット上の膨大なデータに索引を付け、利用者がキーワードを入力すれば、瞬時に関連情報を順位付けして取り出せる仕組みだ。月間延べ5000万人以上が利用し、今や日常生活にすっかり定着したと言える。

ネット経由の集客に力を入れる企業は、利用者の目に触れやすいように自社のサイトや広告が、検索結果の上位に表示されるように懸命になっている。

問題は、そうした中核サービスが事実上、グーグル1社に握られる恐れがあることだ。

ヤフーは自社サービスに独自色を出すとして寡占化を否定するが、検索結果がグーグルの意向に左右され、利用者が欲しい情報にたどり着けない事態が本当に起きないか。一方で、広告料金が引き上げられる懸念もある。

公正取引委員会は、今回の提携について、「営業活動などは別であり、独占禁止法上の問題はない」としている。

だが、2年前に米ヤフーがグーグルと提携しようとした際、米司法省は独禁法違反を理由に待ったをかけた。欧州の規制当局は現在、グーグルが市場支配力を乱用していないか、監視の目を光らせているという。

公正取引委員会も、提携の行方を注意深く見守る必要がある。

ネットがめざましい発展を遂げたのは、新興企業が多様なサービスで競い合ってきたからだ。グーグル自身も革新的な検索技術で超優良企業にのし上がった。

無料のネット検索は確かに便利な機能ではあるが、情報の仕分けが恣意(しい)的に操作される危険性がある――。そんなことを利用者も十分認識しておきたい。

産経新聞 2010年08月02日

ヤフーとグーグル 情報「独占」に懸念と注視

インターネット検索で世界最大のグーグルと国内最大手のヤフーが提携することになった。

ヤフーはグーグルの検索技術を採用することで利用者拡大につながると判断した。グーグルも自社の検索システムの国内シェアを一気に高めるメリットがある。

しかし、提携で両社合わせたシェアは9割強にも達する。検索利用者の選択の幅が狭まるだけでなく、競合他社との健全な競争が維持されるのか心配だ。公正取引委員会は情報独占の懸念も含めて、今回の提携に対する注視を怠ってはならない。

根本の問題は日本の情報検索の基盤がグーグル1社に独占されてよいのかという点だ。現在ヤフーは資本提携している米国ヤフーの検索技術を使っており、パソコンに同じキーワードを打ち込んでも、グーグルと異なる検索結果が出てくる。ところがグーグルの検索技術を使うようになれば、検索結果は基本的に同じになる。

ヤフーは「独自技術を加えるので同じ結果にはならない」というが、利用者に供給されるネット情報の一極集中が進むのは確実だ。相対的に利用者に届く情報の多様性は失われる恐れが強い。

多くの利用者は意識していないが、検索を通じてさまざまな個人情報を提供していることも忘れてはならない。個人情報はIT(情報技術)企業にとって商売のタネとして「宝の山」だが、それがどう使われているかは企業秘密だ。情報の使われ方を監視する仕組みづくりも大きな課題である。

公正取引委員会は今回の提携では「広告などのサービスは別々に行う」との内容だったとして、独禁法に抵触しないと判断した。

しかし、2年前に米国ヤフーがグーグルと提携しようとした際には、米独禁当局から待ったがかかった。この判断の違いは営業活動にあり、米ヤフーとグーグルは検索に連動して表示される広告の分野で提携しようとしたために、米独禁法に抵触したという。

公取委も今回の提携が「説明通りの事実関係にあるかを注視していく」としているのは当然だが、それだけで十分とはいえない。

IT技術は日進月歩であり、新しいサービスが次々に生まれている。公取委にはIT技術の進歩に伴う情報管理の問題に適切に対応できるよう必要な措置を講じることを考えてもらいたい。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/434/