「ねじれ」でどうする 予算委開催 「熟議」への出発点に

毎日新聞 2010年07月22日

「ねじれ」でどうする 予算委開催 「熟議」への出発点に

政府・民主党が臨時国会を30日に召集し、衆参両院での予算委員会開催に応じる方針を決めた。先の通常国会では菅政権が発足した直後に参院選に突入したため、まだ菅直人首相の下では予算委は一度も開かれていない。開催は当然で、遅すぎたくらいである。

参院選の結果を首相はどう考えているのか。政権の目玉だった国家戦略局構想はなぜ変節したのか。来年度予算編成や米軍普天間飛行場移設問題はどうなるのか。そして消費税引き上げ論議は進めるのか、進めないのか。テーマは山ほどある。

だが、ねじれ国会が始まる前に与野党で確認しておく点がある。今回の参院選で分かったのは、ねじれるのは決して異例ではなく、今の選挙制度が続く限り、ねじれは常態化する可能性さえあるということだ。

衆院選に比べて各党の差がつきにくい参院選で単独過半数を制するのが、いかに困難か。1989年以降、参院選で1党が60議席以上獲得したのは3回。2回続けて60議席以上取った例はないことからも明白だ。

民主党も自民党も3年後の次回参院選で過半数の122議席に達するためには70議席以上が必要となる。自民党1強時代ならともかく、現状ではほぼ不可能な数字とみられている。一方で衆院で3分の2以上を占めるのも至難の業だ。2大政党化時代、そして政党は与党にも野党にもなる政権交代時代を迎え、むしろ、ねじれを前提とした審議のあり方を与野党が考える時である。

民主党の国会対応は前回参院選で勝利して以降、前国会まで強引さが目立った。同党がまずそれを反省し野党に頭を下げるのが先だろう。野党も政府法案をつぶすという従来の発想を変え、何がこの国に必要なのか積極的に政策課題を提起し、合意を図る努力をしていってほしい。

98年の参院選で敗北し、深刻な衆参ねじれに直面した小渕政権が金融危機を乗り切るため、野党だった民主党案を丸のみした例もある。あの時は与野党の中堅・若手議員を中心に国会の場で活発な法案協議が行われたものだ。与野党が徹底的に議論し、法案をよりよい形に修正し、極力成案を得ていく。今度の予算委は、かねて私たちが主張してきた「熟議する国会」に変わる出発点と考えたい。

審議時間を十分確保すると同時に、野党も「会期末まで法案の採決をせず、廃案に追い込む」といった日程の駆け引きを優先する手法から脱却するためにも基本的に年中国会を開く「通年国会」も検討すべきだ。

何も動かない国会を有権者が望んでいるわけではないはずだ。

読売新聞 2010年07月23日

臨時国会 強引な運営はもう通用しない

月末から始まる臨時国会で、衆参両院の予算委員会が開かれることが決まった。

参院選直後の国会での予算委開催は異例だが、野党が強く要求し、与党もこれを受け入れた。

だが、菅首相が予算委で野党と初めて論戦をかわす場は本来、参院選前の通常国会だったはずだ。それなのに民主党は、首相交代で内閣支持率が高いうちに選挙をした方が有利とみて予算委を拒み、国会会期を延長しなかった。

加えて、野党が提出した江田参院議長への不信任決議案なども不測の事態を恐れて事実上黙殺し、本会議を開会しなかった。

強引な国会運営は、そもそも小沢一郎・前幹事長ら前執行部が繰り返してきたことだ。

遅きに失したとはいえ、野党に歩み寄って予算委の開催に応じたのを機に、民主党は、これまでの国会運営を厳しく反省し、野党との話し合いを重視する姿勢に転換する必要がある。

小沢氏らの「政治とカネ」の問題は依然、未解決のままだ。自民党の場合、疑惑を持たれた政治家は、首相経験者を含めて国会招致に応じてきた。関係者の招致を拒み続けるのは筋が通らない。

廃案になった郵政改革法案は、わずか6時間の委員会審議だけで採決した。審議軽視の態度も改めるべきだ。

衆参「ねじれ」国会となり、民主党は、強引に法律を成立させることは困難になった。

こうした事情が、民主党に低姿勢を促しているのだろうが、民主党に求められるのは、数を頼った(おご)りの姿勢からの脱却である。

野党側にも、常識的な対応を求めたい。民主党は野党時代、「ねじれ」国会の下、政府提案の国会同意人事にノーを連発した経緯がある。野党がこれに対して意趣返しするのは禁物だ。

注目されるのは、臨時国会の冒頭で行う正副議長人事だ。

野党側は、公正な国会運営をしなかったとして江田議長の再任を拒んでいる。だが、「比較第1党から議長、第2党から副議長」の慣例に背いて、議長ポストまで狙うのは、それこそ数を頼みにした対応で、問題が多い。

与野党協調の国会に改まるかどうか、最初の関門だ。与野党はしっかり協議を重ねてほしい。

予算委では、前国会からの政治とカネの問題や、消費税増税をめぐる菅首相の発言などが論点になりそうだ。限られた日数ではあるが、活発な論戦を期待したい。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/421/