経営再建中の日本航空が、米欧の大手航空会社2社と資本・業務提携交渉に入った。
世界最大の航空会社である米デルタ航空と、欧州最大手のエールフランス―KLMから出資を受け、国際線の共同運航でも協力する方向だ。
交渉がまとまれば、日本を代表する航空会社が初めて外国の航空会社の支援を仰ぐことになる。
日航は、昨年秋以降の景気低迷や新型インフルエンザ流行に伴う旅客減で業績が悪化し、今年4~6月期の最終赤字は990億円になった。2010年3月期も630億円の赤字となる見通しだ。
6月には日本政策投資銀行など主要取引銀行から1000億円の融資を受け、資金不足を解消したが、追加融資は大胆なリストラが条件とされた。
日航は、国土交通省の監視下で9月末までに新たな再建策の提示を迫られている。2社との提携は、その柱として浮上した。
外資を受け入れることで、財務基盤を強化し、追加融資を引き出しやすくする。
同時に、米欧に路線網を持つ2社と共同運航で手を組み、利用者の利便の向上を図る。自前の不採算路線も廃止し、コストを削減する狙いがある。
外資と提携することにより、日航特有の「親方日の丸」の体質を改める契機としたい、との判断もあろう。
だが、航空法の規定で、外資は日航に3分の1未満しか出資できない。2社の出資額も不明で、財務基盤の強化にどこまでつながるかの見通しも立っていない。
2社以外の提携相手を模索する動きもある。提携交渉の行方には曲折も予想される。
取引先金融機関の協力も欠かせない。そのためには、日航の一層のリストラが求められる。
日航は10月以降、国内外の16路線を廃止・減便し、不採算の航空貨物事業を日本郵船と統合する方針を打ち出したが、いずれも収益改善効果は限られている。
最大の課題は、企業年金給付の引き下げが不透明になっていることだ。実現しなければ880億円を見込むコストの削減が不可能になる。反対するOBらの説得を急ぐべきだ。
日航への融資の一部は国が返済を保証しており、再建に失敗すればそのツケは国民に回る。今週発足する民主党新政権は、この問題への対応を明確にしていないが、国益を守る観点から日航再建に取り組む必要がある。
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