通常国会閉幕 「逃げ」に終始した菅民主党

朝日新聞 2010年06月17日

国会閉幕 「地域主権」はどうした

通常国会が終わった。会期末まで、民主党の強引な運営ぶりが際だった。きのうは自民党などが提出した首相問責決議案の採決もしなかった。

与野党それぞれに理屈はあろうが、政権交代時代の新しい国会の姿を見せるには至らず、大きな宿題を残したことを銘記すべきである。

参院選に走り出す前に、成立しなかった法案に目を向けておこう。

温室効果ガス排出量の「25%削減」を明記した地球温暖化対策基本法案は廃案になった。製造業派遣を原則禁止する労働者派遣法改正案は継続審議だ。「ネット選挙解禁」の公職選挙法改正案は提出すらされなかった。

政府提出の法案の成立率が過去最低に落ち込むなか、どうしたことかと目を疑うひとつが、地域主権改革関連3法案だ。参院で先に可決されたが、衆院で継続審議になった。

地域主権改革は政権交代の目玉政策だったはずだ。霞が関の各省と二人三脚で進んだ自民党政権の「地方分権」を、脱官僚依存の鳩山前政権は「地域主権」と呼び改め、旗を振った。

住民に近い自治体に権限も財源も移すため、各省の抵抗を打ち破る。こう宣言して、大阪府の橋下徹知事らを入れた地域主権戦略会議を司令塔に、改革の献立を練ってきた。

関連3法案は、そのほんの頭出しに過ぎない。自治体の仕事のやり方を法律で縛る「義務づけ」の廃止などは、ごく一部でしかない。それでも、自治にかかわる政策を企画段階から政府と地方代表が話し合う「国と地方の協議の場」法案などは評価できた。自治体側の長年の要望でもあり、地域主権改革の初めの一歩といえた。

自民党も公明党も「協議の場」には基本的に前向きだ。それを通さなかったのは、政府の自治体に対する背信行為だ。速やかな成立を求める。

同時に気になるのは、6月中に予定されていた政府の地域主権戦略大綱も先送りされそうなことだ。大綱は地域主権改革の全体像を描き、2、3年後を見すえた方針を示すものだ。

そこには、国と地方のあり方を根幹から見直す取り組みも多い。ひも付き補助金を廃止して省庁横断型の一括交付金にすることも一例だ。

さらに大綱では「国の出先機関の原則廃止」を確認し、工程を年内に策定する方針も書くはずだった。こうした各省との摩擦が大きい大綱の閣議決定が遅れれば、それだけ各省が巻き返す余地も生まれるのが気がかりだ。

首相交代に伴い「菅カラーを出したい」との考えもあるのかもしれない。だが、大綱づくりをしてきた地域主権戦略会議には、菅直人首相も仙谷由人官房長官も入っていた。理由を示さないままの大綱の先送りは解せない。今月内の閣議決定をめざすべきだ。

読売新聞 2010年06月17日

通常国会閉幕 「逃げ」に終始した菅民主党

政権交代による「新たな政治」への期待はしぼみ、政治の劣化を見せつけられた国会だった。

通常国会が閉幕し、各政党は来月11日投開票の参院選に向けて走り出した。

民主党が、予算委員会開催の提案を撤回し、国会会期も延長しなかったのは、「逃げの一手」「責任放棄」との批判を免れない。

首相が交代した以上、菅首相の所信表明演説に対する2日間の代表質問だけでは不十分だ。予算委で審議を尽くすべきだった。

菅内閣が、多くの国民を失望させた鳩山前内閣とどう違うのかはよく分からない。閣僚人事などでは小沢前幹事長の影響力を排除する姿勢をアピールしたが、肝心の政策の具体像は見えてこない。

財政健全化と税制の抜本改革にどう取り組むのか。日米関係をいかに立て直すか。菅内閣の目指す政策の方向性を国会審議の中で明確にしたうえ、参院選に臨むのが政治のあるべき姿だろう。

民主党が予算委審議を避けたのは、回復した内閣支持率が高いうちに参院選を戦った方が得だ、と判断したためだ。「選挙至上主義」とも言うべき党利党略の戦術であり、国会軽視も甚だしい。

「政治とカネ」をめぐり、小沢氏が出席の意向を示した政治倫理審査会を開かず、説明責任を果たさない。荒井国家戦略相の事務所費問題が浮上しても、臭いものにフタをし、幕引きを図る。

こうした「疑惑隠し」の姿勢が国民の政治不信を増幅していることを、民主党は自覚すべきだ。

政府・与党が重要法案としていた郵政改革、地球温暖化対策、政治主導確立などの法案は成立しなかった。政府提出法案の成立率が戦後最低の54・7%では、政権党の責任を果たしたと言えない。

自民党政権以上に「数の力」に頼った強引な国会運営をしながら、政府・連立与党の足並みの乱れや鳩山前首相と小沢氏のダブル辞任が影響したと言えよう。

一方で、自民党も、野党第1党としての存在感を示せなかった。政府を的確に批判し、より良い対案を示すどころか、党首討論での谷垣総裁の追及の甘さや、旧態依然の審議拒否戦術には、党内から非難の声が出るほどだった。

たちあがれ日本、新党改革、日本創新党など新党結成が相次いだのは、民主、自民の2大政党のふがいなさの裏返しでもある。

各政党は、参院選に向けて、人気取りの公約を競うのでなく、責任ある骨太の政策論議を通じて政治の信頼回復を図るべきだ。

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