サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会が開幕した。アフリカで開かれる初めてのW杯だ。7月11日までの1か月間、最高峰のプレーを堪能したい。
南アフリカはかつて、アパルトヘイト(人種隔離政策)により国際社会から非難を浴び、サッカー界からも追放されていた。
1992年に国際サッカー連盟(FIFA)への再加盟が承認されてから18年、南アにとっては悲願のW杯開催である。
アフリカでの市場開拓というFIFAの思惑とも一致した結果といえる。
今大会で最も不安視されているのが、治安の問題である。南アは武装強盗などの犯罪が多い国として知られるからだ。
警察当局は、約20万人の警察官のうち、4万4000人をW杯の警備に専従させているという。万全の体制で、競技場はもちろん、市街地での犯罪やトラブルの防止に努めてほしい。
サッカー界では、トップレベルの選手ほど、母国を離れ、主に欧州のリーグでプレーする傾向が強い。競技レベルが高く、年俸も高額なためだ。
だが、W杯では、選手は母国代表のユニホームを着て戦う。国の栄誉をかけたぶつかり合いであることが、人々を熱狂させる要因といえるだろう。
4年前のドイツ大会では、延べ263億人もがテレビで観戦した。今回も世界中がわき返る、熱い1か月間となるに違いない。
日本は4大会連続の出場だ。これまでの最高成績は、2002年日韓大会でのベスト16である。
今回の目標は「ベスト4」だが、現実的には極めて高いハードルだと言わざるを得ない。
グループリーグで戦うオランダ、カメルーン、デンマークは、いずれも日本より格上だ。大会前の強化試合で結果を出せなかったことも気がかりである。
まずは初戦となる14日のカメルーン戦に全力を尽くしてほしい。初戦を制すれば、チーム全体が波に乗るだろう。
残念ながら、国内での盛り上がりは、今一つのようだ。以前ほど代表選手の名前を知らないという人も多いのではないか。
代表チームの戦績が向上しないことが、期待が高まらない一因といえる。
日本代表の活躍は、我々に元気を与えてくれる。最高の舞台で、世界が驚くような日本のサッカーを、ぜひとも見たい。
この記事へのコメントはありません。