韓国政府が、哨戒艦沈没事件を国連安全保障理事会に付託した。近く安保理で協議が始まる。
安保理は、北朝鮮の責任を厳しく問う文書を速やかに採択すべきだ。
3月26日に黄海で起きた沈没事件の原因について、韓国の軍・民間合同調査団は、「北朝鮮の魚雷攻撃」によるものと断定した。
北朝鮮の無謀で危険な体質を改めて想起せざるをえない。核とミサイルで武装すれば、その脅威が格段に増すのは明らかだ。
安保理は、この危険性を十分に認識して措置を講じるべきだ。
安保理は、北朝鮮の2度の核実験のたびに制裁決議を採択している。それらの決議では、さらなる核実験や弾道ミサイル発射を行わず、核兵器と核開発計画を放棄するよう北朝鮮に求めている。
それを北朝鮮が無視する現状を放置してはならない。まず、その決議の順守を確認すべきだ。
決議は、北朝鮮に武器禁輸を科している。また加盟国には、北朝鮮の核・ミサイル開発につながるあらゆるカネ、モノ、人の移動を阻止するよう求めている。その履行を徹底する必要がある。
中国は、北朝鮮にとって最大の貿易相手国だ。北朝鮮の新たな挑発を封じ込める上で、中国が責任をもって決議内容を履行することがきわめて肝要である。
交易額で中国に次ぐ規模の韓国は、すでに一部を除き北朝鮮との取引を中断した。ただ、先週の統一地方選で与党は思わぬ大敗を喫した。それが北朝鮮への対決姿勢にどう影響してくるのか。
韓国は「適切な対応」を安保理に求めた。新たな制裁決議を目指す当初の方針は断念したという。北朝鮮とつながりが深い中国が、安保理での決議などの採択に難色を示しているからだ。
安保理では、常任理事国の意向が強く反映されるのが常だ。
先週も安保理は、パレスチナ自治区ガザへの支援船団をイスラエル軍が急襲した事件をめぐり、死傷者の出た「行為」を非難する議長声明を採択した。だが、米国の反対もあって、イスラエルを直接非難することはなかった。
今回も、こうした議長声明になる可能性も指摘されている。
肝心なのは、安保理が今回の事件を容認しないという意思を早期に示すことだ。死者46人を出した事件を不問に付すようでは北朝鮮につけいる隙を与えるだけだ。
安保理メンバーの日本は、北朝鮮への独自制裁を強化した。米国とともに韓国を支えるべきだ。
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