小沢氏再捜査 「不起訴」の結論ありきか

読売新聞 2010年05月22日

小沢氏再不起訴 最終判断は検察審の第2幕に

検察審査会の「起訴相当」議決を受けた再捜査の結果、東京地検は小沢民主党幹事長を、再び不起訴にした。

これにより、検察審の第2段階の審査が始まる。再度、「起訴すべき」との議決が出た場合、検察判断とは逆に小沢氏は強制的に起訴される。検察審の役割は重大だ。議論を尽くし厳正に判断してほしい。

小沢氏の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件では、元秘書の石川知裕衆院議員が捜査段階で、小沢氏の一定の関与を認める供述をしていた。

検察審は第1段階の審査で、この供述の証拠価値は高いとし、公判での真相解明を求めた。

一方、検察は石川供述だけでは有罪立証は難しいと見ており、今回の再捜査でも、新たな進展がない限りは不起訴にする方針を早くから固めていたようだ。

小沢氏から再聴取したものの、関与を再び否定され、検察は新証拠が得られなかったと判断した。参院選への影響を過度に意識し、最初から結論ありきで、形式的な捜査に終始したのではないかとの疑念はぬぐえない。

昨年5月施行の改正検察審査会法は、検察審が第2段階の審査で出す起訴議決に法的な拘束力を与えた。法律的助言をする弁護士が審査補助員として入り、起訴議決の前には検察官の意見を聞くことが義務づけられた。

一般市民から選ばれた11人の審査員は、法律家の意見も参考にしながら、感情に流されることなく、市民としての良識を結論に反映させてほしい。

重責を担う審査員の判断を静かに見守る姿勢も求められる。

検察審が先月、小沢氏の「起訴相当」議決をした直後、民主党を中心とした議員連盟が「国民感情に司法が揺さぶられている」と疑問を呈した。制度の検証は必要だが、検察審への圧力と受け取られるような言動は慎むべきだ。

小沢氏はいまだに、事件に関する詳しい説明をしていない。再度の不起訴処分を受けて、「関与や疑惑がないことが明確になった」としているが、説明責任を棚上げすることは許されない。

まずは、出席の意向を表明している衆院政治倫理審査会での、小沢氏の説明に注目したい。

6月には、民主党の小林千代美衆院議員の陣営と北海道教職員組合を巡る政治資金規正法違反事件の判決もある。「政治とカネ」の問題への民主党の消極姿勢を批判する声はさらに強まろう。

産経新聞 2010年05月22日

小沢氏不起訴 信頼裏切る形式的な捜査

東京地検特捜部が小沢一郎民主党幹事長を再び不起訴にした。資金管理団体「陸山会」の虚偽記載額は20億円を超える。東京第5検察審査会は4月27日、「共犯関係成立が強く推認される」とし、全員一致で「起訴相当」を議決した。

これを受け、特捜部が小沢氏の3回目の事情聴取をしたのは今月15日だ。1週間しかたっていない。疑惑解明に十分な努力をしたのか。今回のやり方は形式的な再捜査と言わざるを得ない。きわめて残念である。

小沢氏は「私の関与や疑惑がない事実を明確にしてもらった」と強調した。だが検察審査会が2回目の「起訴相当」を議決すれば、強制起訴される。

疑惑は解明されていない。小沢氏が政治的・道義的責任に加えて、引き続き刑事責任を問われていることに変わりはない。政治倫理審査会の出席にとどまらず、証人喚問に応じて自浄能力を示すことが求められている。

検察審査会は、特捜部が2月に下した不起訴処分に多くの疑問を提起した。たとえば、収支報告書の虚偽記載について「秘書に任せて、知らなかった」という小沢氏の供述を「信用できない」と疑問視し、小沢氏と元秘書の共謀が成立するとした。土地購入原資を隠すために、複雑な資金操作が行われた。元秘書らの独断とするには無理があり、検察審査会が小沢氏に「絶大な指揮命令権限」があると刑事責任を認めたのだ。

だが、特捜部は共謀の証明は困難だと判断した。国民の多くが抱いている事件への疑問にも答えを示さなかった。東京地検の大鶴基成次席検事は「基本的な証拠関係に変わりはなく、共犯の確証は得られなかった」と述べた。

元秘書の衆院議員、石川知裕被告らの供述は、虚偽記載についてどこまで小沢氏に報告し、了承を得たのか、あいまいな点が多い。国会も小沢氏と石川被告の主張を究明すべきだ。それには石川被告の証人喚問も求められよう。

小沢氏は政倫審出席の意向を示したが、日程は未定だ。不起訴処分で見送りも取りざたされている。国会会期は6月16日までだ。真相解明に不可欠な証人喚問の実施を考えれば早急に日程を決める必要がある。

国民の信を失う要因となった「政治とカネ」の問題に対する自浄作用を、時間切れを理由に見送ることは許されない。

産経新聞 2010年05月20日

小沢氏再捜査 「不起訴」の結論ありきか

小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件の再捜査で、東京地検特捜部が改めて小沢氏を嫌疑不十分で不起訴とするとの見方が強まっている。

東京第5検察審査会は先月27日、小沢氏の供述は信用できず、衆院議員、石川知裕被告ら元秘書3人との共謀成立が可能として、「起訴相当」を議決した。審査員11人の全員一致だった。

特捜部はこの問いかけに答える捜査を尽くせたのか。小沢氏の3度目の聴取から1週間ばかりで拙速な判断をするなら、再捜査は形だけとの疑問もでかねない。検察当局への国民の信頼がかかっている。土地購入疑惑の徹底解明に、なお努力すべきだ。

この事件では、元秘書らが起訴された立件分で虚偽記載は平成16、17年と19年分の収支報告書にまたがり計20億円を超える。資金の出所を隠すため銀行融資など複雑な操作が行われたためだ。

石川被告は起訴前の供述で、土地購入原資を記載しないことなどを小沢氏に報告、了承を得ていたとしていた。小沢氏は個別案件は秘書に任せていたと関与を否定するが、審査会は「不合理・不自然」と退けた。

審査会は理由もなく小沢氏を「起訴相当」としたわけではない。客観的な証拠や過去の判例を踏まえ、小沢氏について「絶大な指揮命令権限を有する」として「共謀共同正犯が成立するとの認定が可能」としたのだ。

検察は百パーセント有罪の証拠がなければ起訴しないといわれる。すでに不起訴にしたという「一事不再理」の感情もあるだろう。だが今一度不起訴とするなら、政権与党の幹事長の刑事責任追及に斟酌(しんしゃく)を加えたと国民は受け止めるに違いない。司法制度を揺るがしかねない事態である。

検察審査会制度は司法改革の一環で法改正され、審査会が2度、「起訴相当」と議決すれば強制的に起訴されるなど権限が強化された。刑事責任追及に、より民意を反映させる制度で、検察当局も改革の趣旨を強く認識すべきだ。

陸山会の規正法違反事件では、土地購入の原資とされるゼネコンからの裏金疑惑など、未解明な点もある。再捜査による検察の処分決定の期限は、「起訴相当」議決から原則3カ月以内だが、6カ月まで延長もできる。時間は十分にあるはずだ。

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