憲法改正の手続きを定めた国民投票法が、きょう18日施行される。
これにより、同法成立後3年間凍結されてきた憲法改正原案の国会提出が可能になる。戦後の憲政史上、画期的なことだ。
原案が衆参両院で可決されると、国民に改正案が発議され、国民投票で賛否が問われる。
国民の手による最高法規の改正手順が整備された今こそ、各政党は、憲法改正に正面から向き合わねばならない。
憲法改正原案は、衆参両院に設けられた憲法審査会が審査する仕組みだ。だが、両院ともに現在、憲法審査会は委員すら選任されていない。このため過去3年近く、憲法改正の論点整理などに取り組むこともなかった。
審査会が、こうして開店休業状態にあるのは、民主党がその始動に極めて消極的なためだ。
自民党内には、憲法改正原案を今国会に提出する動きがあるが、仮に提出しても、これではたなざらしにされるだけだろう。
鳩山首相は、かつて憲法9条に「陸海空軍その他の戦力は保持する」と明記するよう唱えるなど、れっきとした改憲論者だ。
小沢民主党幹事長は以前、「改正試案」を公表し、「『護憲』の実態は思考停止」と批判したりもしていた。菅副総理・財務相も党代表の時、「幅広い憲法制定運動が必要」と訴えていた。
これらの発言と、憲法審査会での改憲論議に背を向ける、いまの民主党の姿勢は、あまりに落差が大きすぎる。
国民投票法は、当時の与党・自民党案と、野党・民主党案をあわせて作成されたものだ。先鋭な対立点はなく、強引な採決が行われたわけでもない。参院の付帯決議には民主党も賛成していた。
民主党は、与党第1党として、審査会をめぐる「違法状態」を解消する責任がある。
国民投票法は、「18歳以上」に投票権を認めた。
これに伴い、法施行までに、公職選挙法の選挙権年齢「20歳以上」や民法の成年年齢「20歳」を、18歳に引き下げることを検討するよう付則で定めた。だが、これらの「宿題」も手つかずの状態だ。
参院はまず、憲法審査会を運営していくための規程を速やかに制定し、委員を選ぶべきだ。すでに規程のある衆院は、委員の選任を急がねばならない。
衆参両院ともに、いつ改正原案が提出されても審査に臨めるよう態勢を整えることが大事だ。
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