B型肝炎訴訟 国は和解協議で治療対策示せ

毎日新聞 2010年05月15日

B型肝炎和解協議 救済基準を早く示せ

B型肝炎集団訴訟で国が和解協議に入ることを正式に発表した。3月に札幌地裁が和解勧告をしてから2カ月、原告側は早期の協議入りを求めてきたが、国は裁判所への回答期限ぎりぎりになるまで態度を明らかにしなかった。しかも「論議が尽くされていない論点も多く、裁判所において適切な検討を進めていただくよう希望する」(長妻昭厚生労働相)と具体策は何も示せないでいる。政府内でどんな話し合いをしてきたのだろうか。B型肝炎訴訟は現在全国10地裁で420人が係争中で、この2カ月間に原告2人が亡くなった。国は具体的な救済基準などを早く示して協議を進めるべきだ。

和解協議の焦点は救済範囲と賠償金額だ。子どものころに受けた予防接種を感染原因と証明するために、国側は少なくとも(1)母子手帳で予防接種を受けた事実が記載されていること(2)母子感染ではない(母親がB型肝炎ウイルスに感染していない)こと--を条件にしてきた。しかし、40~50歳代以上の原告は多く、子どものころの母子手帳がない人は6割近くに上る。また、すでに母親が死亡している原告も2割いる。

一方、原告側は予防接種が94年まで法律で義務づけられており、母子手帳がなくても6歳までに複数回の予防接種を受けたと考えるのが普通だと主張する。また、母親が死亡しているケースでも、病院に残っている母親の血液検査のデータか、きょうだいの血液検査によって母子感染の可能性がないことが間接的に証明されれば十分だと主張してきた。札幌地裁は和解勧告の際に「救済範囲を広くとらえる方向」で判断するよう求めている。

06年のB型肝炎訴訟の最高裁判決では、国に患者1人550万円の賠償をするよう命じたが、原告側は1人当たり1650万~6600万円の賠償を求めている。B型肝炎の感染者数は110万人とも140万人とも言われており、原告以外に賠償問題が波及すると莫大(ばくだい)な財政負担になるとの空気が国側の対応を鈍らせてきた。しかし、最近の調査では80万人弱との推計値もあり、予防接種による感染の可能性を条件に絞り込んでいくとさらに少なくなる。「基礎的なデータもないのに、とんでもない財政負担のイメージを広げて解決を先延ばししてきた」と原告側は国を批判する。

国は感染者数や患者数の詳細なデータをそろえ、救済対象の範囲や認定方法、症状に応じた補償額などを早く提示すべきだ。具体的な手順や期限も定める必要がある。札幌地裁が求める「合理的な救済金額」に向けて国も原告も歩み寄り、一日も早く和解を成立させてほしい。

読売新聞 2010年05月15日

B型肝炎訴訟 国は和解協議で治療対策示せ

とりあえず和解協議は始まった。だが、実際に和解できるかどうか、道のりは極めて険しい。

B型肝炎ウイルスに感染した人たちが、予防接種の注射器使い回しが原因だったとして国に賠償を求め、全国10地裁で起こした訴訟である。札幌、福岡両地裁が、判決によらず和解するよう勧告していた。

政府は、鳩山首相も加わった関係閣僚会議で和解勧告に応じる方針を決め、14日にまず札幌地裁でテーブルに着いた。被害者救済の話し合いに、国が一歩踏み出したことは評価できよう。

しかし、決まったのは「協議入りする」という一点のみだ。補償する範囲や金額など、具体案を国が示すには至らなかった。国と原告の主張の隔たりは大きく、和解協議の次の一歩は難しい。

国はまず、過去の医療行政の落ち度を誠実に謝罪した上で、治療費用の不安解消策や治療法の研究開発を促進する方策などを、協議の場で示すべきだろう。

原告側が評価できる肝炎対策を打ち出すことで、折り合える補償額や対象範囲も見えてくるのではないか。

B型肝炎ウイルスは血液などを介してうつる。特に問題となるのは乳幼児期に感染した場合だ。

キャリアと呼ばれる、症状の出ない感染状態が数十年も続いた後に、1割強の人が慢性肝炎を発症する。悪化すると、肝硬変や肝がんになる。

感染経路として考えられるのはまず、出産時に起こる母子感染である。母親がキャリアでなければ予防接種が疑われる。

母子感染の防止策がとられ、注射器が使い捨てになったのは、1980年代の後半からだ。

それ以前に生まれた世代は、だれでも感染した可能性がある。キャリアは100万~130万人いると推定され、気づいていない人も多い。

注射器の連続使用が肝炎を広げる危険性については、50年代から認識されていた。この点で対応が遅れた国の責任は、先行した別の訴訟で最高裁が認定している。

血液製剤による薬害C型肝炎ではキャリアの人に1200万円の補償を行っており、B型の原告団も同等の措置を求めている。

だが、薬害C型と異なり、明確な原因証明が難しいB型肝炎で同様の補償を一律に行えば、兆単位の財源が必要になるとして、国は強い難色を示している。

和解協議の場で、互いが納得のいく解決策を模索してほしい。

境 みよこ - 2012/06/19 19:28
このニュースをテレビで見るたびに 息苦しく涙してしまいます 私はS34年生まれ!たまたまB型肝炎に感染されなかった!
と思っています 国が非を認めて1年ですか?なんにも変わってない!現状の怒りを何処にぶつければいいのでしょうか?今の政治家は
人事のようにしか捕らえてないのが腹立たしく‥ 切なく‥ 息ぐるしい
何もわからないまま感染してしまった皆さん!死なないでください。
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