沖縄県民大会 基地を全国の問題として

朝日新聞 2010年05月14日

普天間移設問題 仕切り直すしかあるまい

沖縄県の米海兵隊普天間飛行場の移設問題で、鳩山由紀夫首相が内外に約束した「5月末決着」の期限まで残り半月余りとなった。

米国政府、沖縄、移設先の地元のいずれの理解も得た形で決着する。首相はそう繰り返してきたが、もはや絶望的なことは誰の目にも明らかだ。

こうなっては、いったん仕切り直すしかないのではないか。

首相としては、沖縄や米国と6月以降も調整を続けることを前提に、現時点での政府方針をとりまとめ、なお体裁を整えようとしているようだ。

代替滑走路は桟橋方式を念頭に名護市辺野古沿岸に建設し、訓練は鹿児島県徳之島のほか全国の自衛隊基地などに分散することが柱になりそうだ。

責任の追及から逃れようともがき、短時日のうちに誰からも歓迎されないつじつま合わせの案をまとめても、合意形成も案の実現もかえって遠のこう。問題を基地の押し付け合いにしてしまったのは本末転倒である。

「最低でも県外」「5月末決着」という二つの公約を果たせない政治責任を、首相は認めなければならない。

ここに至った経緯を丁寧に説明し、沖縄県民をはじめとする有権者に率直におわびするべきである。

■首脳外交が機能不全

折しもあす、沖縄は本土に復帰して38年になる。

沖縄の人々はこれまで、米軍基地を「県外に移せ」と公然と言うことはなかった。自らの痛みを他人に背負わせるのは忍びないとの思いからだろう。

しかし今回の朝日新聞の世論調査では、県民の53%が県外移設に賛成と答えた。昨年は38%にとどまっていたから、民意は大きく変化した。

県内への基地集中と過重な負担が、政権交代でやっと改善されるのではと期待したのに、裏切られようとしている。その失望と怒りが、最近は「沖縄差別」という言葉となって噴き出してもいる。

基地を提供する地元の理解なしに、日米同盟を安定的に維持していくことができるはずはない。その意味で県民を逆なでする結果を招いた首相の取り運びのまずさは何とも罪深い。

この間、日米間の首脳外交の機能不全も目を覆うばかりであった。

首相はオバマ米大統領との会談で、なぜ日米合意の辺野古移設案を見直そうとしたのかを率直に語り、理解を求めるべきだった。

その後、普天間問題で両首脳間に円滑な意思疎通がなされた形跡はない。これでは、日本国内に対して対米外交の進捗(しんちょく)状況を説明しようがないし、新たな負担を求めることになる移設先の説得などはもとよりおぼつかない。

首脳同士の対話ができない状況で、安全保障関係のような高度に政治的な懸案を解決することは到底できない。そのことへの理解不足も、首相の深刻な落ち度だったと言わざるを得ない。

首相みずから、政治レベルで対米協議ができない現状を打開すべきだ。

■安保の根本の議論を

首相は今後、この問題に取り組む態勢を早急に立て直し、総合的な戦略を練り上げなければならない。安保とその負担のあり方を大局的な見地から議論し直すべきである。

日米両国にとって、この地域での脅威は何なのか。それにどう対処すべきか。そのなかで、米海兵隊はどのような機能を果たすのか。

東アジアの安定装置として日米同盟の機能は大きい。在日米軍の存在は必要だ。だが海兵隊はずっと沖縄にいなければその機能を発揮できないのか。

そうした日米安保の根本を見据えた議論を日米政府間で、また日本全体を巻き込んで起こすことが不可欠ではないか。それ抜きに、安保の負担の分かち合いという困難な方程式の解にたどりつくことはできないだろう。

県外移設を模索しようとした方向性は間違っていなかった。もともと日米合意案も容易に進んだとは思えない。だが、「県外」を本気でやろうとすれば大変な政治力と時間がいる。

時間軸を長く取り、外交で地域の安全保障環境を変えていくことも、この問題の出口を見いだす上で大切だ。

朝鮮半島情勢の転換や東アジア全体の安保環境の変化があれば、海兵隊の配置も変わってくるだろう。

仕切り直しで、普天間返還が日米合意の2014年より遅くなる事態もありうる。そのことにぎりぎり県民の理解を得るには、将来的な県外・国外移設への展望を示すことが欠かせない。

日米合意にある海兵隊8千人のグアム移転をどう実現していくかも、今後の作業のポイントだ。

安保の負担の問題を政争の具にしてはならない。与野党を超えて知恵を絞ってもらいたい。

■米国も一層の理解を

米国にも一層の理解を求めたい。

米国がグローバルパワーたりえているのは、太平洋からインド洋までをカバーする在日米軍基地があってのことだ。オバマ大統領が日米関係を米国の「要石」と語った通りだ。

日米安保の安定的な運用には、米国にも責任がある。米国政府も柔軟な発想で、日本政府とともに真剣に沖縄の負担軽減を探ってほしい。

そうした環境をつくるためにも、深く傷ついた政権の信頼をまず回復させるところから始めなければならない。

毎日新聞 2010年05月14日

「5月決着」断念 首相は責任をどう取る

「首相の約束」が、こんなに軽くてよいのだろうか。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、重ねての約束破りである。

鳩山由紀夫首相は13日、繰り返し公言してきた移設問題の「5月末決着」に関して「できる限りのことはするが」「6月以降も詰める必要があるところがあれば努力する」と語った。事実上の断念である。

移設をめぐる「時期」は先送りの連続だった。首相は昨年、オバマ米大統領に年内決着を示唆し、不可能になると「5月末決着」を言明した。「3月末」とした政府案決定を見送る一方、「5月末」はオバマ大統領にも約束し、国民に対しては、決着とは米政府、移設先地元、連立与党が合意することだと明言してきた。そして今回の先送りである。

移設先も変心を重ねた。衆院選で「最低でも県外」と公約し、今年になっても県外移設を目指す考えを強調したあげく、「抑止力を学んだ」結果、今月に入って県内移設に転換した。しかも、かつての「移設先は(沖縄県名護市)辺野古以外に」という言葉も空証文となった。

最大の懸念は、普天間飛行場が継続使用となり、周辺住民の危険と騒音など生活被害が解決されないことである。これらの除去が普天間問題の原点だが、見通しは立っていない。

日米の実務者協議で、日本側が移設先を「辺野古周辺」とし、くい打ち桟橋方式で滑走路を建設する「現行案修正」を提示したのに対し、米側は「辺野古回帰」を評価しつつ、工法に難色を示した。何より、名護市が移設受け入れを拒否している。普天間の継続使用が現実味を増している。そうなれば海兵隊8000人のグアム移転も前提が崩れる。

政府は、鹿児島県・徳之島への基地機能の一部移転や国内自衛隊基地への訓練分散、在日米軍基地の土壌汚染など環境対策をはじめとする沖縄の負担軽減策を検討している。基地が集中する沖縄の負担軽減は当然だ。が、徳之島など想定される移転先が合意する展望は開けていない。

繰り返される先送りと迷走の主因は、「県外」を繰り返し主張しながら本格的な検討もせず、最大の政治課題でリーダーシップを発揮しないまま8カ月を浪費した首相の問題解決能力の欠如にある。今や、鳩山首相の言葉は羽根のように軽い。「首相の約束」をたがえ、政治への信頼を傷つけた政治責任は極めて重い。

野党5党は、衆参両院の予算委員会で普天間問題の集中審議を行うよう求めている。首相はこれに応じ、普天間移設をめぐる現状と今後の方針、さらには在日米軍、海兵隊の抑止力、自らの責任などについて明快に国民に語るべきである。

読売新聞 2010年05月15日

5月末決着 首相の言葉を誰も信じない

米軍普天間飛行場移設問題で鳩山首相が約束した「県外移設」に続き、「5月末決着」も事実上反故(ほご)になっている。

首相は13日、「6月以降も努力する」として、5月末決着の断念を表明した。それが、また14日には、月末決着へのこだわりを示したりもしている。

こうした右往左往ぶりをみて、首相の言葉を信じられなくなった人も多いだろう。「5月末決着」を信じている国民は、ほとんどいるまい。

首相は、普天間移設問題の「決着」の意味について、「沖縄、移設先の自治体、米国、与党すべての同意」を挙げてきた。

結局は、それぞれの同意取り付けに、ことごとく行き詰まり、「決着」という言葉の定義を変換させざるをえなくなった、というのが実態だろう。

指導者には、こじれた問題の解を見いだす力や、それを実行に移す決断力が不可欠だ。首相にはこれらの資質が不足している。

昨年12月、首相は決断の好機を迎えながら、社民党の「連立政権離脱」カードで揺さぶられると、結論をあっさり先延ばしした。

平野官房長官を仕切り役に、政府・与党の「沖縄基地問題検討委員会」を作ったが、安全保障政策で相いれない社民党との間で合意できるはずもない。

沖縄県や鹿児島県・徳之島などとの話し合いの進め方も、稚拙ぶりが際立っている。

今年1月の名護市長選で移設反対派が勝利すれば、問題が暗礁に乗り上げてしまうことは、誰しもが予測できたことだった。

あげく、反対派の市長が当選すると、平野長官は選挙結果を「斟酌(しんしゃく)する必要はない」と発言し、地元の不信を買った。

首相の沖縄訪問と同様、平野長官の鹿児島入りも、初めからボタンを掛け違えたままだった。説得どころか、関係者の反発を増幅させている。

首相は、オバマ米大統領との信頼関係構築に失敗した。大統領とまともな会談も出来ないのでは、交渉が進捗(しんちょく)するわけがない。

関係閣僚が勝手な発言をし続けたのも、いただけない。「政治主導」の名の下、過去の経緯に詳しい官僚組織を交渉から外してきたことも、解決を困難にした。

こうした深刻な事態を招いた首相はもちろんのこと、平野長官の政治責任も重大である。どう責任をとるつもりなのか。

政府・与党が今の延長線上で作業を続けても展望は開けまい。

産経新聞 2010年05月14日

「5月末決着」断念 約束守れぬ首相は辞めよ 現行案の決断が残された道

鳩山由紀夫首相が国民との約束を反故(ほご)にしようとしている。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の「5月末決着」を先送りする意向を表明したからだ。

これは国民に対する背信行為である。政治は「信なくば立たず」(論語)だ。国民の信頼がなくなったら政治は成り立たない。首相としての信を失っている。退陣もやむを得ない。

ただ、一方的に辞任しても普天間問題は片づかない。

5月末までは、まだ2週間以上ある。決着を唯一可能にするのは日米両政府が2年前にまとめた現行計画である米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)だけである。

≪地元自治体に謝罪を≫

首相の迷走で沖縄県も名護市も現行計画に難色ないし反対を示している。だが、日本の平和と安全を確保し、沖縄の負担を軽減するために、首相は地元の関係自治体に謝罪して現行計画の同意を求めるしか方策は残されていない。

そのために辞任するという責任の取り方がある。普天間問題を決着させ、日米同盟を維持することで国益を確保することこそ最高指導者の責務である。

首相は13日、「6月以降も詰めるところがあれば当然、努力する」と述べ、期限内決着の断念を表明した。

5月末までに沖縄と米国、移設先自治体の3者と連立与党の合意を得て決着させる、と4月21日の党首討論で明言してから、まだ1カ月もたっていない。首相は「命がけで行動する」「5月末までの政府方針づくりは約束」とまで語っていた。

首相はこの数日、「合意が得られるような状況をつくる」「できる限り努力する」と発言を徐々に後退させてきたが、6月以降も作業を続けるという考えを示すことによって、自ら掲げた目標を放棄した形だ。

首相は一時、3月中の政府案とりまとめも目指していたが、それができなくなった段階で「別に法的に決まっているわけじゃない」といとも簡単に約束を翻した。

問題は言葉の軽さにとどまらない。昨年11月の日米首脳会談で、オバマ大統領に「私を信じて」と早期決着を約束したのに、その舌の根も乾かぬうちに、今年5月末までの先送りを決めたことが、無責任さを浮き彫りにした。

米側の失望は、4月の訪米時に正式な首脳会談を設定できない異常事態を招いた。首脳同士の個人的信頼関係が築けないほど、日米関係を冷え込ませている。

日米安保改定50周年で同盟深化の協議を加速させなければならない時期に、首相や日本政府への不信感が協議の支障となっている。もはや、普天間問題は、これ以上放置できない状態である。

≪米軍の抑止力は必須≫

4日の沖縄訪問で、県外移設では解決が困難なことを認めた首相は、「海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった」と釈明した。

指導者の言葉とも思えないが、抑止力の意義を学んだのであれば早急に日米間の合意を取り付け、同盟の空洞化を回避する以外に答えはないだろう。

最近の中国海軍の艦載ヘリコプターによる海自艦への異常接近行為は、日本の安全保障環境の悪化を示すことにほかならない。

米国は攻撃型原潜や空母建造など中国の軍拡の意図を疑い、警戒感を強めている。同盟の維持・強化には、日本がその認識を共有することが欠かせないのである。普天間問題の混乱は、日本の安全保障を危うくしている。

連立与党内には、社民党を中心に決着を遅らせることで県内移設を困難にしたいという政治的思惑が存在する。

米側は当初から「現行案が最善」との姿勢を崩しておらず、実現可能な解決策はそこに見いだすしかない。

首相は今年1月の名護市長選前の決着を見送り、移設容認派が敗れた。首相が掲げた「連立与党の合意」にこだわる限り、現政権の下での解決は困難である。

仲井真弘多知事は、鳩山政権が目指した県外移設論に対し、その実現可能性に懐疑的だった。首相が早い段階で現行案を決断し、知事の協力を求めていれば異なった展開が予想されただろう。

首相が県外移設に固執したことが、沖縄の期待をふくらませてきた以上、その構図を断ち切るしかないのである。首相の勇気ある決断を強く求める。

朝日新聞 2010年05月07日

首相の言葉 公約でないとは恐れ入る

政治家にとって言葉は命、という。ましてや、一国の最高指導者となればなおさらだ。鳩山由紀夫首相はその重みをわかっていない。

首相は昨年の総選挙前、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場を「最低でも県外」に移すと訴えた。ところが、県外断念に追い込まれた途端、あれは「党代表としての発言」であって「党の公約」ではないと言い出した。

確かに民主党の政権公約(マニフェスト)には「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」としか書かれていない。「県外」はおろか、普天間という言葉もない。

民主党の年来の主張は「国外・県外移設」だったが、政治的に難題であることは当時からわかっていた。だからこそ政権獲得を目前に、あえてあいまいな表現にとどめた事情がある。

それでも県外を目指すと踏み込み、国民の期待を引き寄せようとしたのは、他ならぬ鳩山氏自身である。有権者からすれば、民主党代表であり、首相候補者である鳩山氏の公の発言は、公約以外の何ものでもない。

いまさら、マニフェストには書いていないからと責任逃れをするような発言には、恐れ入るほかない。

公約はすべて実現しなければならないというわけではない。政権に就いてみないとわからない実情というものもある。政権獲得後に、予測を超える新たな事態が生じることもある。

大切なことは、状況の変化に応じ、そのつど国民に懇切に説明しながら、熟慮の上で手直ししていくことである。公約の根本は安易に変えられないが、やむをえない再検討はありうる。

今回の首相発言は、そうした手順を踏むことなく突如として飛び出した。

沖縄の負担を軽減したいという首相の「思い」は疑うまい。しかし今回の軽率な言葉は、国民への裏切りと言われても仕方がない。やっと日本政治に定着しかけたマニフェスト選挙が水泡に帰することになれば、首相の罪は極めて重い。

実行力を伴わない言葉の軽さも困りものだが、それが思慮の浅さに起因しているのではないかと疑われる点が、より深刻である。

首相は県外断念の理由について、海兵隊の「抑止力」維持をあげた。

首相は総選挙時には、海兵隊が沖縄にいなければならない理由はないと考えていたという。しかし首相就任後、「学べば学ぶにつけ」海兵隊の必要性を理解したと説明した。

海兵隊の抑止力について、首相なりの認識を得るための勉強に8カ月も要したというのが本当なら衝撃である。

移設問題とは、「抑止力」と沖縄の負担軽減という困難な二正面作戦に他ならない。そのことは初歩の初歩のはずではなかったか。

毎日新聞 2010年05月09日

論調観測 普天間問題 透ける「政治主導」の実体

再三繰り返してきた「最低でも県外」「5月末決着」が絶望的な状況になった。鳩山由紀夫首相に対するメディアの論調は批判一辺倒と思われるかもしれないが、どういう立場から首相を批判しているかは新聞によってかなり異なる。

まず5日の社説から。米軍普天間飛行場の国外・県外移設という民主党の公約に批判的だった産経は「海外移設論は米軍の抑止力を維持できず……県外移設論も同様の問題点を抱えていることは、当初から明らかだったはずだ」「あまりにも遅い決断が国益を損ない、解決をより難しくした」と論じた。読売も「もっと早く安全保障の観点から県内移設を目指す方針に転換し、沖縄県民に謝るのが筋だった」と主張する。

これに対して朝日は「負担を減らしていきたいという発想はいい」、東京は「目指そうとした方向性は評価していい」という立場から批判する。「十分な努力をしたとはとても思えない」「いまごろになって、この程度の説明をされても納得する人がどれだけいるだろう」(朝日)、「選挙目当ての甘言だった。国民を欺いた首相の政治責任は極めて重い」「思慮の浅さと政治手腕の拙劣さを猛省すべきである」(東京)。期待値が高かった分だけ辛辣(しんらつ)だ。

抑止力への理解が浅かった、「最低でも県外」は党の公約ではない、という首相発言に対しては、朝日が「公約でないとは恐れ入る」(7日)で再び取り上げ、毎日は「あまりにお粗末で、こそくな弁解だ」「戦略を欠いたまま日時を浪費し、追い込まれた末の苦し紛れの言動」(8日)と厳しく断じた。

抑止力の重視と沖縄の負担軽減の両立が難しいのは分かっていたが、歴史的な政権交代を実現した民主党が何らかの解決策を見いだすのではないかと期待した人は少なくなかったはずだ。ダメでも死力を尽くした仕事には何がしかの教訓や感慨が残るものだが、かりゆし姿で沖縄に登場した首相からは何かを感じ取れたか。

「長年の検討作業の成果・蓄積を何ら活用せず、政治家がにわか勉強でまとめた移設案を無定見に打ち出し、その度に、移設先の地元を振り回した」(5日読売)。「移設案」を別の言葉にすると鳩山政権の「政治主導」の実体が透けて見える。年金や医療制度の改革も、財源がないまま政治家のにわか勉強では解を得られないだろう。まぶしいマニフェストに比べ、政権の現実は痛ましく不安が募るばかりだ。【論説委員・野沢和弘】

読売新聞 2010年05月13日

普天間移設 展望なき窮余の政府最終案

米軍普天間飛行場の移設問題に関する政府の最終案が、ようやく固まった。様々な矛盾と課題を抱えており、流動的な要素も多い。果たして実現できるのか、大いに疑問だ。

最終案の柱は、沖縄県名護市辺野古の沿岸部を埋め立てる現行計画を修正し、(くい)打ち桟橋方式で代替施設を建設する計画だ。鹿児島県・徳之島には、航空部隊の一部または訓練を移転する。

普天間飛行場や嘉手納基地での飛行訓練を各地に分散移転したり、沖縄の米軍射爆撃場の返還を求めたりすることも検討する。

実質的には県内移設であり、移設先の名護市や徳之島3町のほか社民党は強く反対している。県内移設を容認していた沖縄県も、県外移設の立場に転じた。

結局、考えられる限りの地元負担軽減策を並べて、関係者の反発を和らげようという、窮余のつじつま合わせの最終案となった。

だが、嘉手納基地の訓練移転は一部で実施済みだが、飛行回数は減っていないとされる。米軍施設の返還も、米側がすぐに応じる見通しは立っていない。

司令塔が不在のまま、様々な関係者に場当たり的に配慮するあまり、八方美人的なつぎはぎの案となり、すべての関係者の反対にあう。まさに拙劣な手法だ。

米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を軽減する。その移設問題の原点を踏まえれば、迷走の過ちを認め、現行計画に戻る選択肢を排除すべきではあるまい。

一方、首相が「国民への約束」と語る月内の問題決着について、閣僚からは「先送り」発言が相次いでいる。サッカーの試合中にゴールを移動させるような対応であり、理解は得られまい。

最高責任者の鳩山首相は、期限までほぼ半月となった今も、毎日のように、沖縄や米国、連立与党の合意を月内に得る、と言い続けている。

これでも実現できない場合、鳩山首相の言行不一致に対する批判は一段と高まろう。首相の政治責任は重大である。

無論、普天間問題が日米関係のすべてではないとしても、この問題が先送りされた場合の各方面への影響は甚大だ。とりわけ深刻なのは、今の最終案で関係者が合意できる展望がないことだ。

その際は、事故の危険や騒音問題を抱える普天間飛行場の現状が固定化するうえ、海兵隊8000人のグアム移転などの歴史的な負担軽減策が頓挫しかねない。その責任もまた、鳩山首相にある。

産経新聞 2010年05月11日

普天間問題 許されぬ首相の逃げ切り

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、平野博文官房長官が「決着の仕方はいろいろある」「政治的に決着させるためにどうするか」などと語った。

前原誠司沖縄担当相や枝野幸男行政刷新担当相は「5月を越えたら努力を放棄するのか」などと作業を継続する必要性を強調している。

鹿児島県・徳之島への分散移転や、キャンプ・シュワブ(名護市辺野古)沿岸部の沖合に杭(くい)打ち桟橋方式で代替施設を造る案が相次いで地元から拒絶され、3週間後に迫った期限内に決着するのは絶望視されている。

平野長官らの発言は、このまま期限切れを迎えれば、鳩山由紀夫首相への退陣要求が強まるなど政局が流動化することを避ける予防線といえるだろう。

だが、5月末の決着を明言したのはほかならぬ首相である。先月の党首討論などで「沖縄県民、移設先、米国の3者」と連立与党が合意する形で決着させると繰り返している。10日もその方針に変わりがないと強調した。

普天間問題を迷走させ、日米関係を傷付けることで、国民の政治への信頼を失ってきたことをどう認識しているのか。先送りは背信行為であり、国の根幹である安全保障政策の放棄に等しい。決着の定義を変えて逃げ切ることなど、許されない。

10日の関係閣僚会議では、政府が検討してきた案を協議したほか、決着期限を過ぎても関係自治体への説得を続け、沖縄の負担軽減策をさらに積み重ねていくことなども検討したようだ。

具体的な負担軽減の一環として、米軍訓練を全国の自衛隊基地に分散することも検討されている。だが、訓練移転をめぐる関係自治体などとの交渉は容易ではない。キャンプ・ハンセン(金武町)で行われていた「県道104号線越え実弾射撃訓練」は、日米特別行動委員会(SACO)の協議を経て平成9年度から北海道など5道県に分散されたが、地元との協議は難航をきわめた。

沖縄に集中する負担を分かち合うのは大事だが、安易な取り組みは移転先の反発を招き、米海兵隊などを「厄介者」扱いすることにつながる。日本の平和と安全を命懸けで守っている米軍がどう受け止めるかを考えるべきだ。日米防衛協力の抑止力を維持する観点からも、きわめて不適切である。

朝日新聞 2010年05月05日

首相沖縄訪問 月末までに何ができるか

「県外」を掲げて政権を発足させて8カ月。鳩山由紀夫首相がそのための十分な努力をしたとはとても思えない。しかし、米海兵隊普天間飛行場の危険を一日も早く除くためには、当面沖縄県内に負担を一部お願いせざるをえない。それが首相の「思い」なら、説明もおわびも足りなかった。

首相が沖縄県を訪れ、仲井真弘多知事らに普天間の国外・県外への全面移設は難しいとの考えを初めて伝えた。

首相によれば、国外移設は在日米軍の抑止力を維持する必要から不可能だという結論に至ったという。県外も、あまり遠くに移すことは不可能だと「判明した」という。いまごろになって、この程度の説明をされても納得する人がどれだけいるだろう。

条件の合いそうな自治体に協力を求めるなど、万策尽きて県内に戻ったというのならまだしも、政権内では早くから、名護市の米軍キャンプ・シュワブ陸上案や、うるま市の勝連半島沖の埋め立て案が検討されていた。5月末の決着期限まで1カ月を切り、ようやく「本音」を表に出した。

首相はこの期に及んでも、「腹案」の具体的中身は明らかにしなかった。名護市辺野古沿岸部に桟橋方式で滑走路を建設するとともに、ヘリ部隊の一部を鹿児島県徳之島に分散させる案が固まっているが、連立与党の合意が得られていないためだろう。

知事は普天間の危険性除去を最重視する考えを示しており、今も県内移設反対を明言していない。しかし、移設先の具体案を示されることなしに、理解を求められても無理な相談だろう。

首相は沖縄の負担軽減について、「パッケージ」として解決していく考えを強調した。普天間移設問題で期待に応えられない分を、日米地位協定の見直しなどで補い、沖縄県民に理解を求めたいということのようだ。

首相はまた、「将来的には、グアム、テニアン移設は十分にありうる」とも述べた。東アジアの安全保障環境を長期的にどう見通し、日米同盟をどう対応させていくのか。

負担を減らしていきたいという発想はいい。ただ、腹を据えた戦略的な対米、対アジア外交ができなければ絵に描いた餅で終わる。首相への不安はそこにもある。

首相は訪問の先々で「県民の声を直接聞きたい」と繰り返した。しかし、県民は「首相が何を考えているか」こそを聞きたかったに違いない。

首相は今後も沖縄を訪れて対話を重ねたい考えのようだ。政権発足からこんなにたって、まだ最初の一歩にすぎない状況だ。

残された短い時間で移設先の理解を得ることができなければ、決着の先送りか、地元の同意なき強行か。首相にはいずれかの選択肢しかなくなる。

毎日新聞 2010年05月08日

徳之島も拒否 苦し紛れの首相の言動

鳩山由紀夫首相が明言する「5月末決着」は絶望的になってきた。首相の政治責任が問われるのは避けられそうにない事態である。

首相は鹿児島県・徳之島の3町長との会談で、沖縄の負担軽減への協力を要請し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の一部基地機能の移転受け入れを求めたが、3町長はこれを拒否した。首相が「部隊の移転が無理なら訓練だけでも」と食い下がったのに対し、町長側は在日米軍基地削減を求め、訓練移転も拒絶した。首相が徳之島入りして再交渉するという提案も受け入れられず、会談は完全な物別れに終わった。

沖縄の県内移設と徳之島への一部移転を組み合わせようというのが首相の考えだ。徳之島への機能移転は、首相が主張してきた県外移設を一部とはいえ実現する頼みの綱である。首相は仲井真弘多沖縄県知事に「沖縄の負担をパッケージの中で軽減する」と約束した。徳之島移転がその中心であるのは間違いない。

徳之島移転の展望が開けなければ沖縄との交渉にも響く。新基地建設反対の機運が盛り上がっている沖縄が、徳之島移転も伴わない「県内全面移設」を受け入れる可能性は今、まったくない。袋小路である。

見逃せないのは、県外移設断念をめぐる首相自身の発言が、国民の不信を増大させていることだ。

首相は断念の理由について、「学ぶにつけ」抑止力における在沖米海兵隊の役割に「思いが至った」「(理解が)浅かった」と語った。

勉強不足で県外を主張し続けてしまったとすれば、安全保障の責任者である首相の資質を疑わざるを得ない。が、抑止力の勉強に7カ月もかかったというのは理解しにくい。外務、防衛両省は以前から抑止力を強調してきた。米政府の県外反対の強い姿勢に直面し、県外の真剣な検討もないまま期限が迫る中、県内に転換するための理屈付けに抑止力を持ち出した、というのが実情ではないか。無策の月日を勉強時間、変心を勉強の結果と言い繕った印象はぬぐえない。そもそも、本当に抑止力が方針転換の根拠なら、理解の中身を語らなければ説得力はない。

また、「最低でも県外」発言が党の公約ではないという発言も大きな問題だ。県外移設はマニフェストにないと言いたかったのだろうが、有権者にとって党首発言は党の公約と同じである。方針転換を表明した直後に両者の違いを強調するのは、あまりにお粗末で、こそくな弁解だ。

首相は沖縄の再訪問を検討している。しかし、遅すぎた沖縄と徳之島への要請も、不用意な発言も、戦略を欠いたまま日時を浪費し、追い込まれた末の苦し紛れの言動に映る。

読売新聞 2010年05月08日

普天間移設 首相は「結果」に責任を持て

予想通りとはいえ、米軍普天間飛行場の移設問題の月内決着が一段と困難な状況になってきた。鳩山首相は、事態を打開するための「腹案」を持ち合わせているのだろうか。

鳩山首相が鹿児島県・徳之島の3町長と会談し、普天間飛行場の航空部隊の移駐や訓練の移転への協力を要請したが、3町長は拒否し、物別れに終わった。

政府が徳之島への移設を目指すのは、「沖縄県外」の要素を解決策に盛り込むことで、県外・国外移設を主張する沖縄県民や社民党の理解を得る狙いだろう。

だが、米側は、海兵隊の陸上部隊の駐留する沖縄から遠い徳之島への航空部隊の移駐に反対している。訓練移転についても、宿舎や駐機場などの施設整備が必要で、地元の同意が不可欠となる。

4月中旬の徳之島での移設反対集会には、予想以上の参加者が集まり、3町の「民意」が固まったとされる。3町長が月内に反対を覆す可能性はないと見られる。

鳩山首相が5月という決着期限を設定した以上、その期限から逆算すれば、より早く地元調整に着手すべきなのは自明なのに、政府は動かなかった。情勢認識が甘く、政策実行力に疑問符がつく。

さらに問題なのは、鳩山首相が最近、首相としての資質を一層疑わせる発言をしていることだ。

「最低でも県外移設」との発言は「党の公約でなく、党首としての発言」だった、と弁明する。

海兵隊について、昨夏には、沖縄に存在しなくてもいいと考えていたが、首相になって「学べば学ぶほど、(沖縄で)パッケージとして抑止力が維持できるという思いに至った」と、安全保障に関する知識・理解不足を認める。

いずれの発言にも唖然(あぜん)とさせられる。党の公約と党首の発言を区別すること自体がナンセンスで、そんな言い訳が通るなら、だれも党首の発言を信用しなくなる。

海兵隊の抑止力についても、首相に就任した後、徐々に重要性を認識しているようでは困る。

首相の仕事は、様々な利害が衝突する重要政策について国益の観点から、その軽重や優先順位を判断し、最終決断することだ。その「結果」には責任が伴う。鳩山首相の言うように、個人的な「思い」で「愚直に努力」しても、「結果」が出なければ、評価されない。

もっとも、鳩山首相が普天間問題で自ら動き始めたのは最近だ。それ以前は平野官房長官らに丸投げしていた。「愚直に努力」したとも言えないのではないか。

産経新聞 2010年05月08日

徳之島移設拒否 努力でなく結果問われる

鳩山由紀夫首相が鹿児島県・徳之島に米軍普天間飛行場の機能を分散移設しようとした計画が頓挫した。

地元3町長が首相の要請を拒否したためだ。「訓練移転だけでも受け入れてほしい」との訴えも退けられた。

いずれも予想されたことである。米側も、ヘリ部隊の分散について海兵隊の一体運用を損なうとして難色を示していた。

政治は結果責任が問われる。首相は県外移設に努力した姿勢を示したいようだが、問題が解決しなければ評価されないのだ。

5月末の決着期限を控え、実質的な進展を期待できない作業をこれ以上重ねている状況ではあるまい。日米合意に基づき、キャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行計画を軸に首相が決断し、閣内をまとめるときだ。

問題は、首相が当事者意識に欠ける発言を繰り返していることである。首相は昨年の衆院選前、移設先は「最低でも県外」と訴えていたが、4日の沖縄訪問では「民主党の考え方ではなく、私自身の代表としての発言だ」と言い訳した。耳を疑う発言である。

米海兵隊の抑止力については「必ずしも沖縄に存在しなければならない理由にはならないと思っていた」と語った。「浅かったと言われればその通り」と、安全保障認識の欠如も認めた。

いずれも最高指導者の言葉とは思えない。これでは、米国や沖縄からまともな交渉相手とみなされるかどうか疑問だ。

普天間問題に関連し、米国のグレグソン国防次官補は講演で「この地域に米軍が駐留することが、危機の際に同盟国を守る米国の約束が揺らがない証しだ」と在日米軍の必要性を改めて強調した。

首相が抑止力の意義を新たに学んだのだとすれば、米側と価値観を共有し、同盟の維持・強化に沿った形で決断を図ることは自明といえる。

もとより、現行計画には沖縄側の激しい反対が予想され、社民、国民新両党も辺野古地区への移設に異論を唱えている。

困難な状況に対し、首相は米軍の抑止力の意義を沖縄県民をはじめ全国民に説明しながら理解を求めていくしかない。

首相は今月中の沖縄再訪問も検討しているというが、政治生命をかけて政府案をまとめることが先決ではないか。

朝日新聞 2010年04月29日

普天間移設 首相、遅すぎた南の旅へ

袋小路に入った感のある米海兵隊普天間飛行場の移設問題で、ようやく鳩山由紀夫首相が動き出した。

首相はきのう、鹿児島県徳之島出身の元衆院議員で、いまも島内に影響力があるとされる徳田虎雄氏と会談し、普天間問題への協力を求めた。

大型連休中の5月4日には、首相就任後初めて沖縄県を訪問し、仲井真弘多知事と会談することも決めた。

「腹案がある」「職を賭す覚悟だ」と言葉は躍るが、首相はこれまで自分で調整に汗をかいたり、関係閣僚を強力に束ねたりすることはなかった。

「5月末決着」の期限が迫り、みずから乗り出すほかなくなったのだろう。だが、あまりに遅い。

国外・県外移設を求める沖縄。現行案が最善とする米国政府。県内移設に反対する連立与党の社民党。すべての要求を満たす最適解は、ありえない。はじめからわかっていたはずである。この8カ月近く、何をしていたのか。

首相が固めた移設案は、沖縄県名護市の辺野古沿岸部を埋め立てる現行案を修正し、桟橋方式で滑走路を建設するとともに、ヘリ部隊を徳之島に分散させるというものだ。

「最低でも県外」と約束してきた首相にしてみれば、少しでも徳之島に負担を分かち合ってもらえれば形が整うという思いなのだろう。

しかし徳之島では島民の約6割が参加し、反対集会が開かれたばかりだ。徳田氏も、受け入れは「無理だ」と首相に明言した。過疎に悩む地域に振興策と引き換えに基地受け入れを迫るのでは、辺野古移設と何ら変わらない。

「県外」を模索することはいいとしても、沖縄と同様、戦後の一時期、米国に占領された歴史を持つ徳之島で、米軍基地に抵抗感が強いのは当然である。そういう徳之島を安易に「県外」と位置づける発想に、そもそもの疑問を禁じ得ない。本格的な解は、時間と大変な労力をかけてでも「本土」を探ることにあるのではないか。

政府が検討中の案が五月雨式に報道される一方で、首相や関係閣僚は「まだ何も決まっていない」と口をつぐむ。そんな態度が沖縄県はじめ、移設先として名前のあがった地域の住民を翻弄(ほんろう)し、政府への不信を高めてきた。

この問題をどう解決しようとしているのか。首相は沖縄県知事に対し、自らの考えを明確に伝えなければいけない。先日も大規模な県民大会が開かれ、「国外・県外移設」を決議した。もはや「腹案」では通らない。

結局、沖縄県内に引き続き負担をお願いせざるをえないと考えているなら、なおさらである。普天間の危険性除去と沖縄の負担軽減をどう両立させるのか胸襟を開いて語り合うべきだ。

首相の遅すぎた南への旅は、重苦しいものになる。

毎日新聞 2010年05月05日

首相の沖縄訪問 今さら「県内移設」では

鳩山由紀夫首相の就任後初の沖縄訪問は極めて厳しいものだった。住民との対話集会や首相を迎える沿道では怒声も飛んだ。首相への県民の不信はますます深まっている。

首相は、仲井真弘多沖縄県知事、高嶺善伸県議会議長、稲嶺進名護市長らと相次いで会談し、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題について話し合った。

「すべて県外に(移設)というのは現実問題として難しい。沖縄の皆さんにご負担をお願いしなければならない」「沖縄にも、徳之島にも、普天間移設で負担をお願いできないかとおわびしてまわっている」。これが、県外移設を求める沖縄県民への首相の回答だった。

昨年の衆院選で「最低でも県外」と主張し、国会などで「県外」を繰り返したのとは大きな違いだ。県内移設の方針を明言したのは初めてであり、「県外」白旗宣言だ。

政府は、米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)に「くい打ち桟橋(QIP)方式」で飛行場を建設し、鹿児島県・徳之島に普天間の航空部隊か訓練の一部を移転するという案で最終調整している。発言は、これを事実上認めたものだ。

仲井真知事は、普天間の危険性の早期除去とともに県外移設の努力をさらに求め、稲嶺市長は辺野古への移設受け入れを明確に拒否した。自ら設けた「5月末決着」を目前にした首相の方針転換を、沖縄県民の多くは背信と受け止めており、「首相のおわび」と県内移設をすんなり受け入れる環境はない。

鳩山首相は、先月21日の党首討論で、移設先の検討にあたって、移設先地元よりも米政府との協議を優先させる意向を明らかにした。日米合意の現行案を修正したQIP方式による「辺野古回帰」案が浮上したのはその前後である。

現行案にこだわる米側の意向に配慮して「辺野古の海」への基地建設に回帰し、米政府と一緒になって基地の県内たらい回しを押しつける--首相発言は沖縄県民にそう映っているに違いない。「移設先は辺野古以外に」という昨年12月の首相の言葉もほごになった。

首相は7日に、もう一つの移転先に想定している徳之島の3町長と会談し、受け入れを要請する予定だ。しかし、3町長は拒否の姿勢を明確にしており、こちらも展望が開けていない。

今回の沖縄訪問で「5月末決着」が極めて困難であることが改めて明らかになった。普天間飛行場の継続使用という最悪の事態が現実味を増している。5月末決着に「職を賭す」と明言した首相の言葉は重い。実現できなければ、首相の政治責任が厳しく問われることは免れない。

読売新聞 2010年05月05日

首相沖縄訪問 遅すぎた方針転換と説得工作

鳩山首相がようやく、昨年9月の就任以来初めて沖縄県を訪れた。

米軍普天間飛行場の移設問題の期限が今月末に迫る中、具体的な移設案を明示することさえできなかった。「県内移設」への方針転換が遅すぎたため、地元への説得工作は一段と困難な状況にある。

鳩山首相は沖縄県の仲井真弘多知事との会談で、移設先について「すべて県外というのは難しい。沖縄に負担をお願いしなければならない」と語った。普天間飛行場の機能の一部は沖縄県内に残すとの考えを示したものだ。

政府は、沖縄県名護市の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる現行計画を(くい)打ち桟橋方式に変更する案と、鹿児島県・徳之島へのヘリ部隊の移転を組み合わせる方向で調整している。

だが、米側は、他の海兵隊部隊の駐留する沖縄から遠い徳之島への移転に難色を示す。杭打ち桟橋方式にも安全面などの理由から同意するかどうかは不透明だ。

首相が今回、具体的な移設先に言及しなかったのは、こうした事情があるようだ。

本気で5月末の問題決着を考えていたのなら、もっと早期に具体案を示し、地元との調整に入るべきだった。もはやアリバイ作りのように地元の首長らと顔合わせをしている段階ではない。

ここに至る政府の迷走ぶりは目を覆うばかりだ。

国外移転を主張する社民党の顔を立ててグアムなどを視察し、貴重な時間を浪費する。過去に否定されたシュワブ陸上部案やホワイトビーチ沖合案が浮上しては消える。杭打ち桟橋方式も、14年前にも検討されたことがある。

長年の検討作業の成果・蓄積を何ら活用せず、政治家がにわか勉強でまとめた移設案を無定見に打ち出し、その度に、移設先の地元を振り回した。「政治主導」の悪弊の典型と言えよう。

無論、最も罪が重いのは鳩山首相である。「最低でも県外移設」と沖縄県民の期待をあおり、今になって「抑止力の観点から県外移設は難しい」と言うのでは、沖縄県側が反発するのは当然だ。

もっと早く安全保障の観点から県内移設を目指す方針に転換し、沖縄県民に謝るのが筋だった。

現行計画を否定しているのもおかしい。首相は最近、埋め立てを「自然への冒涜(ぼうとく)」と言い出した。本当にそう考えるなら、最初にそう言うべきだろう。単に自らのメンツを守るため、現行計画の修正を図っているとしか見えない。

産経新聞 2010年05月05日

首相沖縄訪問 もはや現行計画しかない

就任後初の沖縄訪問で、鳩山由紀夫首相は仲井真弘多県知事に対し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先について「すべてを県外にということは、なかなか現実問題として難しい」と述べた。

実現のメドもなく固執してきた県外移設方針を、ようやく一部転換したものといえよう。5月末の決着期限を控え、全面的な県外移設が実現困難なことを認め、謝罪を兼ねて現地を訪れた格好だ。

この半年あまり、首相が県外移設を取り下げなかったために「現行案が最善」とする米側との軋轢(あつれき)が生じ、同盟の空洞化が懸念されている。沖縄県内では県内移設反対論が強まるのを加速した。

あまりにも遅い決断が国益を損ない、解決をより難しくしたといえる。首相の政治責任はきわめて重大である。

政府はキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)に移設する現行案を、沖合の浅瀬に移動し、埋め立てに代わる杭(くい)打ち桟橋(QIP)方式に修正することを検討している。これに海兵隊のヘリ部隊の一部を鹿児島県・徳之島に移すことがセットとなっている。

だが、与党の社民、国民新両党が浅瀬案に反対を表明しており、米側は部隊の一体運用の観点から分散移転に反対するなど、実現は困難な情勢だ。期限内決着を目指すうえで、首相は現行計画に立ち返るしかあるまい。

首相は知事に対し、海外移設論は米軍の抑止力を維持できず、日米同盟の観点から排除する考えを示した。県外移設論も同様の問題点を抱えていることは、当初から明らかだったはずだ。

だが、沖縄の有権者向けに県外移設を掲げてきた経緯や社民党への配慮が優先され、日米関係や安全保障政策が二の次とされてきたのは残念だ。首相の指導力と政権の資質が問われてきた。

首相が「まだ完全な政府案としてまとまっていない」と最終案を明示しなかったことも問題だ。反対論の真っただ中では、現行案を口にすることなどできないと判断したのだろうか。

首相の訪問の意義は、米軍抑止力の重要性をどれだけ沖縄県民に説明できるかにもあった。その意味で、きわめて不十分な訪問だったと言わざるを得ない。

米側は日本国内の動向を注視している。首相の腰が定まらなければ、日米協議も進展しまい。

朝日新聞 2010年04月26日

沖縄県民大会 基地を全国の問題として

遠い沖縄での出来事であり、身近なことではない。そのようにしてやり過ごすわけにはいかない。

米海兵隊普天間飛行場の「県外・国外」への移設を求める沖縄県民大会が、9万人の参加(主催者発表)のもとで開かれた。

「全国の皆さん、沖縄の基地問題は沖縄だけの問題ではありません」

大会で沖縄県の仲井真弘多知事は、そう訴えた。日本の安全保障、つまり私たち国民一人ひとりの安全が沖縄の米軍基地の存在と、そしてそれを受け入れてきた沖縄県民の負担と、じかにつながっているのだという叫びである。このことを私たちは大会を機に改めて深くかみ締めなければならない。

日本の安保政策の重要な柱である日米同盟の受益者は、日本国民すべてである。同盟を支える米軍基地は三沢、横須賀、岩国、佐世保など各地に散在するが、75%は沖縄に集中している。

核実験をした北朝鮮や台湾問題をにらむなら、普天間の県内移設が軍事的に合理的だというのが米国の論理だ。

しかし、基地の沖縄集中がもたらす事故の危険や騒音は並大抵ではない。度を越している。県民が「不公平、差別に近い印象」(仲井真氏)を持つのも当然である。

全国民が受益し、沖縄県だけが負担する。まぎれもない落差への憤りが、沖縄の人々を大会へと突き動かした。

「決着」の期限が5月末に迫る中、普天間移設問題に取り組む鳩山政権は確たる政府案を示すこともないまま、いまだに迷走を続けている。

もとより、沖縄県の負担を減らし、できるだけ国民全体で分かち合おう、「県外移設」を模索しようとの提起は間違っていない。

しかし、問題の難しさに比して鳩山由紀夫首相の運び方はあまりに拙劣である。「腹案」があると言ってみたものの、中身があるのかないのかわからない。鹿児島県徳之島との協議の道を探ったものの、地元の町長から「門前払い」を食わされる。この7カ月余、米政府との協議もまるでちぐはぐだ。

相手のある交渉事をすべてガラス張りにすることはできない相談だろう。しかし、首相は迫る期限に追い立てられ、苦し紛れの対応を繰り返しているようにしか見えない。

もはや時間は限られている。「県外」への道が開けなければ、当面は沖縄に負担を担ってもらわざるをえなくなってしまう。

首相は今、全国民に一度きちんと説明すべきである。県外移設にどう取り組んできたのか。安全保障上の要請と基地周辺の住民への配慮との接点を、米国とどう話し合ってきたのか。今後の沖縄負担をどう考えていくのか。

でないと負担を国民全体で分かち合おうとの提起さえも色あせてしまう。

毎日新聞 2010年05月01日

普天間移設 筋通らぬ「辺野古」回帰

「最低でも県外」と主張していた鳩山由紀夫首相はいつ、沖縄の「辺野古の海」に基地を建設する考えに転じたのだろうか。理解に苦しむ。

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、政府は、(1)米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)に「くい打ち桟橋(QIP)方式」で滑走路を建設する(2)鹿児島県・徳之島に普天間の航空部隊のうち最大1000人を移転する、または訓練を移す--を柱にした案で最終調整しているとされる。

QIPは多数の支柱を海底に打ち込み、その上に滑走路などの構造物を建設する工法である。日米合意の現行案である「埋め立て方式」に比べて環境に与える影響は少ない、と政府関係者は主張している。

しかし、そうであっても、現行案と同じ辺野古の海に滑走路をつくるというのは明らかに首相の「約束」に反する。首相が国会などで繰り返し強調してきた「県外」とは相いれない。「9万人県民大会」で国外・県外移設を決議した沖縄、特に名護市が受け入れるとは到底思えない。

QIP方式も、滑走路による日照の遮断と数千本の支柱で、海洋生物や環境に与える影響は大きいという指摘がある。海の埋め立てを「自然への冒とく」と述べた首相が一転、QIPを容認したとすれば、真意を測りかねる。この工法は、かつて日米間で検討されたが、テロ対策の難しさや費用面などから排除された案だ。辺野古を前提にした現行案にこだわる米国側を協議のテーブルにつかせるために考えついた案ではないか、と勘ぐられても仕方ない。

首相は4日に就任後初めて沖縄県入りし、仲井真弘多知事と普天間問題について話し合う。移設先の「辺野古回帰」が首相自身の案なのかどうかが焦点になる。首相は知事だけでなく沖縄県民、国民に対しても納得のいく説明をしてもらいたい。

一方、徳之島への一部移転については、首相は先月28日、同島出身の有力者である徳田虎雄元衆院議員に協力を要請したが拒否された。同島の3町長は受け入れ拒否の姿勢を崩さず、米政府も部隊運用上の理由から強い難色を示し、暗礁に乗り上げたままだ。

徳之島は戦後、本土と分離され1953年まで米軍政下に置かれるなど複雑な歴史を持つ。徳田氏は首相にこの経緯を指摘した。「県外」の主力として徳之島への移転を検討するにあたっては、こうした島民感情を考慮しなければならないのは当然だろう。

残り1カ月。首相は「5月末決着」に「職を賭す覚悟」を明言している。決着には移設先地元の合意が不可欠だ。沖縄訪問時には、その覚悟の中身を示してもらいたい。

産経新聞 2010年04月29日

普天間移設 なぜ場当たり対応続ける

米軍普天間飛行場の移設問題は、鳩山由紀夫首相が決着を公約した「5月末」の期限まで1カ月に迫ったというのに、政府案もまとまっていない。政府はキャンプ・シュワブ沖合に杭(くい)打ち桟橋(QIP)方式で代替施設を建設する「浅瀬案」で新たに米側と調整を進めたい方針だ。

だが、首相は鹿児島県・徳之島出身の元議員に米海兵隊ヘリ部隊移転に協力を求めて断られた。来日したキャンベル米国務次官補と外務、防衛両省局長との会談も進展なく終わった。場当たり的対応が目にあまり、このままでは国益を大きく損ない、日米同盟空洞化の危機を深めるばかりだ。首相は無責任な言動を繰り返すのを改め、唯一実現可能な現行計画を選択する決断を下すべきだ。

徳之島にヘリ部隊を移転する構想は、首相が国会で公言した「腹案」の柱とされたが、米側は「海兵隊の一体運用を損なう」との理由で拒否を貫いている。移設に反対する島民大集会も開かれ、米国も地元も歓迎していないのはすでに明白といえよう。

防衛省が「浅瀬案」を新たに浮上させたのはこのためだ。現行計画予定地のキャンプ・シュワブ沿岸部にも近いため「現行計画の修正案」と呼ぶことができ、期待感を抱いたキャンベル氏が3カ月ぶりに来日する契機となった。

にもかかわらず、首相は28日、「政府案はまだ固まっていない」と語り、岡田克也外相もキャンベル氏訪日について「普天間問題は主要議題でない」とした。これは国民にも米側に対しても誠実さを欠く対応ではなかったか。

しかも「浅瀬案」は、過去の協議でも浮上したものだ。日米の検討作業の中で、「海面下が空洞状になり、テロの恐れなど安全面で問題がある」との理由で米側が難色を示した。地元も「埋め立てなどと比べて仕事にならない」と歓迎せず、結局は現行計画に決まった経過も忘れてはならない。

高度の技術が必要とされ、費用の見通しもついていないことを考えれば、同案も含めて現行計画にまさる案はないのが現状だ。

首相は連休中の5月4日にも就任後初めて沖縄を訪問する意向という。だが、まずは米国も地元も受け入れ可能で現実的な政府案を自らの責任で固めるのが先決である。日本の国益と安全を守り、同盟深化をめざすためにも迷走を断ち切ってもらいたい。

毎日新聞 2010年04月27日

普天間移設 首相自ら沖縄と対話を

沖縄県民が鳩山由紀夫首相と政権に対する不信・不満をますます募らせているのは確実である。

米軍普天間飛行場の移設問題で、25日に沖縄で開かれた超党派の県民大会には、仲井真弘多知事、県内全41市町村の代表をはじめ9万人(主催者発表)が参加し、国外・県外移設を求める決議を採択した。普天間問題のきっかけになった95年の少女暴行事件に抗議する大会(8万5000人)を上回る規模である。

「基地の県内たらい回しは許さない」というのが県民の強い意思であることははっきりした。同時に、県民は「国外、少なくとも県外」と主張してきた鳩山首相が、「5月末決着」の期限を1カ月余り後に控えた今になっても明確な展望を示し得ないことに、不安といらだちを強めている。かつてない大会参加者数が、そのことを示している。

首相は「(大会は)民意の一つの表れ」と語った。が、今後の具体策については口をつぐんだままだ。高速道路料金をめぐる右往左往など、鳩山首相の解決能力の欠如ぶりを見せつけられる事態が続いている。沖縄県民が「県内たらい回し」への懸念を強めるのは当然だろう。

そんななかで、政府内で浮上しているのが、米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)を埋め立てて滑走路を建設する現行案を修正する案だという。海を埋め立てる代わりに、杭(くい)式桟橋方式(QIP)やメガフロート(超大型浮体式海洋構造物)で滑走路を建設する案とされる。場所は日米合意の現行案とほぼ同じだ。県民が「やはり県内か」と不信を抱くのは確実だ。

政府は、首相の「県外」発言を念頭に、鹿児島県・徳之島への移設とシュワブ陸上部のヘリパッド(ヘリ離着陸帯)建設を軸に検討しているとされていた。ところが、地元と米政府の反対にあって実現が困難になった。そこで、今度は、現行案に近く、米政府の合意を取り付けやすいとみられる「辺野古修正案」に舵(かじ)を切ったということなのか。案の詳細は不明だが、首相のこれまでの主張と大きく異なるのは間違いない。

鳩山首相は、5月末までに米政府と移設先の両方の合意を取り付けると明言している。さらに「すべての政策に職を賭す覚悟で臨んでいる。普天間移設先の問題も当然含まれる」と述べ、5月末決着に政権をかけて取り組む姿勢を明確にしている。

普天間問題が政権の最重要テーマになっているにもかかわらず、首相は就任後、沖縄に足を踏み入れたことがない。決意を語る時期は過ぎた。自ら行動で示さなければならない。カギを握る沖縄を早期に訪問し、具体論で対話を進めてもらいたい。

産経新聞 2010年04月27日

普天間問題 国益が日々失われていく

国政の最高責任者が指導力を欠き、国民の信頼を失っているとしかいえない。

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題など重要政策をめぐる鳩山由紀夫政権の混迷は、鳩山首相が重責を担える状態にないことを示している。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査で鳩山内閣の支持率は22・2%に下落したが、驚くべきは首相の指導力への評価だ。「評価しない」との回答が90%に達し、「評価する」は5・6%だった。「首相の言動」についても「評価しない」が8割を超えた。

日米関係への悪影響を懸念し、移設問題の5月末決着を困難視する回答も7~9割に上る。首相の下で国益が日々失われ続けているとの強い危機感を、国民が抱き始めたことを示すものだ。首相は政権をかけて危機回避の政治決断を下すしかないのに、事態を悪化させているのは信じ難いことだ。

米ワシントン・ポスト紙が日米合意に基づきキャンプ・シュワブ(名護市辺野古)沿岸部に移設する現行案の一部修正を「日本側が検討している」と伝えたことに関連して、首相は「辺野古の海が埋め立てられることは自然に対する冒涜(ぼうとく)と感じる」などと述べ、現行案を明確に否定した。「自然の冒涜」とは国政の最高指導者の発言としてきわめて不適切である。

米側は「現行案が最善」との立場を変えていない。首相に成算のある打開策があるならともかく、現実的な現行案や一部修正まで否定してどうなる。県外移設という沖縄県民向けのメッセージを強調するためなら、指導力のはき違えであり、選択肢を狭めて決着を難しくしただけではないか。

沖縄や鹿児島県徳之島で大規模反対集会が開かれ、関係自治体や住民との関係が悪化したのも、首相の決断の遅れが原因だ。

岡田克也外相や北沢俊美防衛相は、県外への分散移転案の難しさや対米協議の厳しさを理解しているはずだ。職を賭して現行案などへの回帰を首相に促すべきだ。現状では、27日に来日するキャンベル米国務次官補との協議でも、進展は望めまい。

首相に対する厳しい評価は、高速道路料金値上げの是非をめぐる混乱など内政にもみられる。政権全体が機能不全に陥っている。

鳩山首相に残された時間はもうほとんどない。

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