舛添氏も新党 「顔」失った自民の寂しさ

朝日新聞 2010年04月24日

またまた新党 「第三極」への道は遠い

これでは「選挙互助会」とみられても仕方あるまい。

舛添要一前厚生労働相がきのう旗揚げした「新党改革」である。舛添氏以外の参院議員は、今年夏に改選期を迎える。各種世論調査で「首相にふさわしい人」のトップにあがる舛添氏の人気にあやかって生き残りを図ろうという狙いは明らかだ。

新党は「清潔な政治」「誰もが参加できる政治」を掲げ、企業・団体献金の廃止や国会議員の定数半減などを政策の柱に据えた。ただ、幹事長に就いた荒井広幸氏は、かつて郵政民営化反対の急先鋒(きゅうせんぽう)だった。構造改革推進派の舛添氏とは水と油の関係ではないのか。理念や政策より数合わせを優先したと考えざるを得ない。

しかも、新党は舛添氏らが荒井氏らのつくる改革クラブに入党した後に党名を変更する形でスタートした。政党助成金欲しさが透けて見える。

有権者の政党離れに一層拍車がかかりそうな門出の風景である。知名度の高い舛添氏を担いだだけで支持を広げられるほど、有権者は甘くあるまい。

人気者を失った自民党だが、過激な執行部批判を繰り返してきた舛添氏は党内で孤立気味だった。今のところ、さらに新党に同調する議員はいない。

野党転落後、自民党からは鳩山邦夫、与謝野馨両氏ら閣僚経験者を含む13人が五月雨式に離党した。舛添氏で「出血」はひとまず止まったと見ていいようだ。党内には「残った者で一致協力する態勢ができた」との声もある。しかし楽観できる状況ではない。

止血し、傷口をふさぐのは当然としても、しょせん応急処置にすぎない。衰えた足腰を鍛え直し、体力を十分に回復させるには、相当な時間がかかることを覚悟しなければならない。

近年の自民党は安倍晋三、麻生太郎両氏など、人気優先のトップ選びで失敗を繰り返してきた。「舛添カード」喪失を痛手とみるのではなく、逆手にとるくらいのつもりで、党再生への地道な取り組みにつなげるべきである。

政権交代後、「たちあがれ日本」「日本創新党」、そして今回の「新党改革」と、旗揚げが相次ぎ、乱立の様相を呈している。

参院選での民主党の過半数割れを誘い、キャスチングボートを握って、あわよくば政界再編につなげたいという狙いは共通する。

しかし、民主、自民の二大政党がくみ取れない民意の受け皿となるには、どの党も力不足である。くっきりした理念・政策や、未来を感じさせる清新さが、決定的に欠けている。

現行制度の下では、「第三極」となるべき政党の存在意義は小さくない。その役割を果たすには相応の覚悟と、したたかな戦略がいる。でなければ、過渡期のあだ花に終わるしかない。

毎日新聞 2010年04月23日

舛添氏も新党 「顔」失った自民の寂しさ

果たして、政党不信の受け皿になれるだろうか。動向が注目されていた自民党の舛添要一前厚生労働相が離党届を提出、新党結成に踏み出す。改革クラブと合流し、自身が党首に就く予定だ。

厚労相を約2年務め社会保障などの政策通として知られ、次期リーダーの一人と目された舛添氏という人材を自民党はつなぎとめられなかった。一方で、新党が乱立の様相を呈する中、舛添氏と理念がどこまで一致しているかはっきりしない顔ぶれでの旗揚げが、国民に新鮮な印象を与えるかは疑問だ。舛添氏の個人人気頼みでは、前途多難である。

これまで舛添氏は、谷垣禎一総裁ら執行部への激しい批判を展開してきた。一方で党内で勉強会を開くなど、執行部刷新と新党結成の両にらみ戦略とみられていた。舛添氏が求めた執行部刷新を谷垣氏は拒み、新党結成では与謝野馨元財務相に後れを取った。「(なかなか離党しない)オオカミ中年」とやゆする声さえ、自民党から出ていた。党内抗争に展望が開けず、離党で筋を通したということだろう。

だが、知名度の高い舛添氏が決断した割に、衝撃が乏しかったことも事実だ。自民党内で、舛添氏に同調する動きは現状では広がりを欠いている。改革クラブとの連携を主体とした陣容で「舛添新党」だと強調しても、ぴんとこないのが国民の率直な印象ではないか。毎日新聞の最近の世論調査でも、舛添氏に新党結成を期待する人は2割にとどまり、むしろ「自民党総裁を目指すべきだ」の方が多かった。「舛添人気」だけで、新党が国民に評価されるわけではないのだ。

また、舛添氏が自民党で連携を探っていた勢力は、小泉改革を推進する成長重視派が中心だったが、新党でこの路線をどこまで明確にするのか。政党要件を満たすのに必要な国会議員を集めることを優先し、理念が埋没してはいないか。きちんとした政策の説明が求められよう。

民主、自民両党の迷走が目立つ中、「みんなの党」が政党支持率を伸ばし、「たちあがれ日本」や自治体首長らによる「日本創新党」といった新党が次々と名乗りをあげ、党名を覚えるのが大変なほどだ。政治に新風を送り込む期待を抱かせるが、よほど政策や理念を明確にしないと国民は面くらうし、第三極として生き残ることもできまい。

それにつけても今回、最大のダメージを被ったのは、党再生の顔となり得る人材を失った自民党だ。舛添氏の離党を厄介ばらいのように受け止めているとしたら、救いようがない。組織崩壊の危機に直面しているという自覚こそが、必要だ。

読売新聞 2010年04月24日

舛添新党 人気頼みで政策があいまいだ

いかにも急ごしらえの新党で、めざす政策もあいまいだ。

政界再編の中核を担いたいのなら、党首の人気だけに頼るのではなく、政策を高く掲げて論戦をリードする姿勢が求められる。

自民党を離党した舛添要一・前厚生労働相が代表を務める「新党改革」が旗揚げした。

一足先に発足した「たちあがれ日本」と「日本創新党」と同様、反民主・非自民の立場で第3極をめざすという。

先行の2党は、財政再建と経済成長、地方分権の推進をそれぞれ政策の中心に据えた。これに対し新党改革は「清潔な政治」を掲げ、国会議員定数の半減、企業・団体献金の禁止をめざすとした。

しかし、肝心の実現に向けた具体的な道筋は不明だ。郵政民営化では、舛添氏は推進の立場だが、荒井広幸幹事長は反対論者だ。

政策が不明確なのは、既存政党の「改革クラブ」を衣替えしたことと無縁ではなかろう。

一から新党を作るのは費用がかかる。改革クラブを継承すれば、振り込まれたばかりの約3000万円の政党交付金を使える。そんな打算が働いたのだろうが、あまりにご都合主義ではないか。

参加議員の顔ぶれも、自民党の公認漏れや、参院選で苦戦が予想されている議員ばかりだ。各種世論調査で「首相に最もふさわしい政治家」に名の挙がる舛添氏の人気にあやかりたい議員が、寄り集まった印象がぬぐえない。

舛添氏は、谷垣総裁ら自民党執行部の批判を繰り返してきた。一方で橋下徹・大阪府知事らとの連携も探るなど、腰が定まらない印象を与え、党内で孤立した。

結果的に、将来展望が開けないでいた改革クラブしか連携相手が残っていなかった、というのが実態であろう。

舛添氏は、自らの人気に頼り過ぎたきらいはないか。挽回(ばんかい)を図るためにも、政界再編の対立軸となる国家ビジョンや政策を具体的に提示することが欠かせない。

もっとも、自民党も「反乱分子がいなくなってよかった」程度の認識であってよいはずがない。昨年の総選挙後、離党した国会議員は13人に上る。舛添氏が訴えた解党的出直しを急がなければ、今後も離党者が出るのではないか。

民主党も、新党の乱立は有利だなどと皮算用している限り、支持率が上向くことはあり得まい。

民主、自民両党とも、政治に対する閉塞(へいそく)感の高まりを招いた責任を厳しく受け止めるべきだ。

産経新聞 2010年04月24日

舛添新党 自民は崩壊の危機直視を

舛添要一前厚生労働相が自民党を離党し、参院議員6人による「新党改革」結成を発表した。

改革クラブとの合流や党名変更といった変則的な結成手法には疑問も呈されているが、重要なことは、舛添氏がその政策力や国民的な人気度を生かし、新党を基点に政治の流れを変える勢力をどれだけ結集できるかである。

一方、総裁候補ともいわれた舛添氏の離脱で、ダメージを受けたはずの自民党内に「やっと追い出すことができた」との受け止めがあるのはどういうことか。

戦う野党の態勢になっていないという指摘は、舛添氏だけの認識ではない。政権交代後、自民党の離党者は13人に上る。相次ぐ新党の動きと合わせて考えれば、自民党は再建どころか崩壊に向かっていよう。失望する国民への答えを早急に出すことが谷垣禎一総裁の責務だ。

舛添氏は記者会見で「国民は自民党政権の復活は望んでいない」と指摘する一方、「鳩山政権が実行している過度の社会主義政策は避けるべきだ」と強調した。これは、子ども手当などに象徴されるばらまき政策を批判し、「自立した個人が生き生きと活躍できる国」を打ち出したものだ。

「国民の自立」はさきに首長らの日本創新党も掲げた。現政権との明確な対立軸になり得る国家観といえるだろう。民主党の利益誘導と選挙至上主義の政治のあり方を問うことにもつながる。

相次いで結成される新党には、鳩山政権の政治の流れを変える共通の目標はあるが、政界地図を大きく塗り替えられるような単独の勢力は見当たらない。

政権への批判票の受け皿を目指す上で、新たな国家ビジョンを提示し、政策や理念を厳しく競い合う必要がある。具体的には、憲法改正や消費税引き上げなどの重要課題への見解を打ち出すことだ。論争を通じて、参院選後も現政権に対抗していく共通基盤を構築していかねばならない。

その論争こそ自民党が主導すべきものではないか。このほどまとまった自民党のマニフェスト骨子では、自主憲法制定のほか、外国人参政権や夫婦別姓導入反対など国のかたちにかかわる課題も明記した。日本の主権を守るための防衛費や人員の増強も指摘した。

現政権に歯止めをかける具体策を掲げ、新党勢力との連携も模索すべきである。

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