党首討論 首相の逃げの一手は許されぬ

毎日新聞 2010年04月22日

普天間討論 自信の根拠が知りたい

前回より聞き応えはあった。鳩山由紀夫首相と自民党の谷垣禎一総裁らによる3度目の党首討論だ。

谷垣氏は現下の重要問題を幅広く取り上げ、普天間移設問題で突っ込みを入れた。首相もいつもより堂々と答えているように見えた。

この普天間問題でいくつか新しい論点が明らかになった。まずは、何をもってこの問題の解決か、という定義にかかわる認識で、首相は5月末までに米国、地元、連立内部の了解を得る案を策定する、との従来の答弁を維持しながらも、実際の基地の返還については、普天間の危険除去と沖縄全体の負担軽減が最も重要で、2014年普天間返還という自公政権が米政府と合意しためどについては、「最大限努力して(その結果)14年までにできることが望ましい」と語るにとどまった。14年までに普天間が返還されなくても周辺住民の危険が軽減されれば良いとも受け取れる。もしそうなら移設は先延ばしということだろうか。

第二に、現段階の進行状況について、首相は腹案があると重ねて表明した上で、地元よりも米国への水面下の根回しを優先させていることを明らかにした。

第三に、移設先がどこか、だけでなく、普天間駐留の海兵隊ヘリ部隊の抑止力をどう見るか、が議論された。谷垣氏は、朝鮮半島有事に真っ先に駆けつける部隊で、地政学的に北東アジアの抑止力の中心になっていると述べ、「首相の認識は中途半端」と決めつけたのに対し、首相は海兵隊のみではなく嘉手納の空軍基地、横須賀の海軍基地も含めトータルな抑止力の中で位置付けるべきだ、と認識に微妙な違いを見せた。

総じて、谷垣氏が攻めるべき所を攻め、首相がそれなりに打ち返した。ただし、首相の自信ありげな態度の根拠が一向に見えてこないというもどかしさがあった。政府が徳之島の3町長に会談を申し込み拒否されたばかりで、沖縄県民や関係自治体もいら立ちを募らせている。最後に谷垣氏が首相の覚悟を問うた。「この場で職を賭してこの問題を解決すると約束してほしい」。首相はあらゆる政策遂行で覚悟を持って努力している、とかわし「普天間問題は期限を切って行動している。5月末までに解決するよう最大限努力する」と述べた。

進退への明言は避けたが、首相の相当な覚悟は伝わってきた。鳩山政権の抱える問題は普天間だけではない。谷垣氏が最後に指摘したように、財政の危機的状況、政治とカネの不始末による政治不信は極めて深刻である。参院選に向けて首相が何をどう着地させようとしているのか。最初のハードルとなる普天間5月末決着は政権を賭したものとなる。

読売新聞 2010年04月22日

党首討論 首相の逃げの一手は許されぬ

鳩山首相、自民党の谷垣総裁、公明党の山口代表による今年3回目の党首討論は、米軍普天間飛行場の移設問題が最大のテーマとなった。目立ったのは、首相の逃げの姿勢だ。

谷垣総裁は、日米が合意した現行計画を「つぶしてきたのはあなたたちだ」と首相を批判した。さらに、首相が問題決着に「職を賭して」取り組むよう迫った。

首相は、5月末までに問題を決着させる決意を改めて強調したものの、自らの責任論については具体的な言及を避けた。

首相周辺は、「新たな移設先の方向性が出て、協議に入ることも決着だ」などと、「決着」の定義を緩め、予防線を張っている。

しかし、事の本質はそこではない。鳩山首相が今直視すべきは、自らの発言と統治能力、ひいては首相としての資質に重大な疑問符がついていることである。

5月末の期限を設定し、米国や移設先の同意を得るとしてきたのは、首相自身だ。それが実現できない場合、どんな言い訳をしても首相の言葉は信頼されなくなる。国内外の政策課題に取り組む首相の指導力も一層失われよう。

普天間の未決着は鳩山首相に重大な政治責任を突きつける、と肝に銘じるべきだ。

山口代表は鳩山首相の資金管理団体の偽装献金事件を取り上げ、22日の元公設秘書の判決公判後は国会への元秘書の参考人招致などに首相が協力するよう求めた。

だが、首相は「元秘書を解雇した後、一切連絡を取っていない」などと述べ、協力を拒んだ。

この姿勢はおかしい。元秘書は首相の政治資金集めのために法を犯したのであり、首相の監督責任は極めて重い。

首相は従来、「捜査中」や「公判中」を理由に、母親からの巨額の資金提供の経緯や資金の使途について口をつぐんできた。

首相自身が資金提供を依頼し、関係議員に配ったのではないか。そんな疑念の払拭(ふっしょく)には、首相が進んで資金の出入りを調査し、全体像を明らかにする必要がある。

党首討論は本来、相手を攻撃し、言質をとるという政局的な駆け引きに終始すべきではない。

与野党のトップが国政の重要課題について、いかに説得力のある主張を展開できるかを競い合う場であるべきだ。だが、過去3回の議論はまだまだ物足りない。

今夏には参院選が予定される。今後も、頻繁に党首討論を開き、政策上の争点を国民に分かりやすく示すことが政治の責任だ。

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