ギリシャの財政危機に対する支援策が、ようやく動き出した。
独仏など単一通貨ユーロを採用する欧州15か国は、ギリシャが資金繰りに行き詰まった場合、最大300億ユーロ(約3・8兆円)を融資することを決めた。
欧州15か国は同時に、国際通貨基金(IMF)にも協調融資を求める方針で合意しており、支援総額は450億ユーロ(約5・7兆円)超に達するとみられる。
アジア、中南米諸国などが米国主導のIMFから緊急支援を受ける例は珍しくない。だが、1999年のユーロ誕生以来、ユーロを導入している国がIMFから救済を受ければ初めてである。
メンツ丸つぶれだが、背に腹は代えられぬということだろう。苦渋の決断を評価したい。
一連の合意を受け、ギリシャ政府は、約16億ユーロの短期国債を起債し、資金調達に成功した。欧州とIMFによる支援体制ができたことで、ひとまず市場に安心感が広がった効果といえる。
しかし、これでギリシャ危機が去ったと楽観はできまい。
ギリシャは5月にかけて大量の国債償還を控え、資金繰りは綱渡りが続く。今後も安定して資金調達ができるか不透明だ。
そもそも、今回の合意実現までの道のりは平坦ではなかった。
独仏両国は当初、放漫財政のギリシャを安易に救済したり、IMFに支援を求めたりすることに消極的だった。
3月半ばには、ギリシャを支援する方針でユーロ15か国がいったん合意したが、ドイツがその後、難色を示し混迷が続いていた。
しかし、危機を放置すれば、欧州全体に悪影響が広がりかねず、土壇場で歩み寄った。
今後の課題は、ギリシャが確実に財政再建できるかどうかだ。
ギリシャは国内総生産(GDP)比で12・7%に達した財政赤字比率を、今年中に4ポイント引き下げる目標を立て、3月初めの追加財政再建策に付加価値税の引き上げなどを盛り込んだ。
これに対し、ギリシャでは反対デモが続いているが、国民が痛みを分かち合う姿勢が肝要だ。
欧州では、財政赤字を抱えたポルトガル、スペインなどにも信用不安が飛び火し、市場の懸念材料となっている。
だからといって毎回、IMFに支援を求めるわけにはいくまい。ユーロ加盟国の財政をいかに改善していくか。独仏などの手腕が問われそうだ。
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