中国青海省地震 国際救援で被害最小化を

読売新聞 2010年04月16日

中国青海省地震 チベット高原を襲った惨事

中国青海省のチベット高原で、直下型の大地震が起きた。多くの住宅や学校、チベット仏教寺院などが崩壊している光景は、揺れのすさまじさを物語っている。

死者・行方不明者8万7000人余を出した一昨年5月の四川大地震に続く、中国西部地域を襲った惨事だ。被災者は10万人規模に達しているという。時間の経過とともに、犠牲者はさらに増えることが懸念される。

地震による生き埋めは、3日以内の救出が生死を分けると言われる。がれきの下敷きになった住民の救出は、時間との戦いだ。

被災地は標高3000メートルを超える高地で、夜間は氷点下10度近くまで冷え込む。テントや毛布など物資が不足する中で、避難民を保護するとともに、救援隊も高山病と闘いながらの作業である。

震源地は青海省の玉樹チベット族自治州だ。32万人の人口のうち9割以上をチベット族が占めている。周辺一帯では、一昨年3月に大規模な反政府抗議行動を伴うチベット騒乱が起きた。政治的にも微妙な地域だ。

全国から軍、武装警察などが動員され、捜索犬を連れた中国の国際救援隊も現地入りした。

救助活動に手間取れば、被災地で政府への不満が高まる可能性がある。5月からは上海万博も控えている。中国政府としては、混乱を最小限に抑えつつ、速やかに復旧させたいことだろう。

日本や米国は救援の打診をしたが、中国政府は「今回は外国の援助は受けない」としている。政治的思惑もあるとみられる。

今後、国際支援が必要になることもあり得るだろう。日本としては、救援物資の提供など協力できる態勢は整えておきたい。

四川大地震や今回の青海省地震では学校の倒壊が目立った。巨大地震がいつ起きてもおかしくないと言われる日本も、医療活動の拠点となる病院や、避難場所となる学校などの耐震化が急務なことに変わりはない。

それにもかかわらず、公立小中学校は、2万5000棟以上が強い揺れで倒壊する恐れがある状態のままだ。中央防災会議がほとんど開かれないなど、全体に防災対応は遅れている。

鳩山首相は今年度予算の予備費で小中学校の耐震化を前倒しで実施する方針を打ち出したが、その理由に挙げたのは景気浮揚策としてだ。もちろん景気浮揚は大事だが、地震対策は計画的に、着実に進めていくべきものである。

産経新聞 2010年04月16日

中国青海省地震 国際救援で被害最小化を

中国の青海省玉樹チベット族自治州で起きたマグニチュード(M)7・1の地震の被害は、死者がすでに600人を超えた。犠牲者に衷心より哀悼をささげたい。被害を最小限に食い止めるよう全力を尽くすべきだ。

震源地の同自治州玉樹県は標高約4千メートルの高地にあり、日中でも気温は氷点下だ。道路は凍結しているうえ寸断状態だという。

中国政府は震災救援総指揮部を設置し、軍や武装警察部隊に加えて最近のハイチ地震で活動した中国国際救援隊など多数を緊急派遣した。しかし、倒壊家屋の下敷きとなった人々を救出する作業は困難を極める。瓦礫(がれき)を掘り起こす重機など救援活動に必要な機材や医薬品、食料・水などがすぐに届くのか。懸念が募る。

発生から72時間を経過すると生存率は著しく低下するといわれる。時間との戦いである。人命優先の立場から、国際社会がもつノウハウを生かす意味でも広く緊急支援を求めるべきではないか。

死者・行方不明者が約8万7千人となった2008年5月の四川大地震の際、中国政府は各国の支援を受け入れた。北京五輪を直前にひかえて国際協調を強調したい事情もあった。それでも、日本の国際緊急援助隊の救助チームの現地入りは地震発生から4日後、医療チームは8日後だった。

今回の地震でも四川大地震の時と同様、中国中央テレビが発生直後から救出活動などを詳細に伝えている。今のところ外国メディアは規制されていないようだ。

しかし、震源地を含む玉樹チベット族自治州は人口25万人の大半がチベット族である点が気になる。青海省は、中国政府が「国家分裂主義者」と断ずる亡命中のチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世の生誕地であり、伝統文化や信仰がより色濃く残っている。中国指導部にとって最も敏感な場所で大災害が起きた。

自然環境もあって、中国の驚異的な経済発展から取り残された地域でもある。地震被害が明らかになるにつれ、都市部との格差も浮かび上がる可能性がある。

それでも中国当局とメディアには被災地のありのままの姿を公開するよう求めたい。上海万博の開幕を5月1日にひかえた時期でもある。情報公開と国際支援を受け入れる柔軟姿勢こそが、地震の犠牲者と被害を最小限に食い止める方途だと強調したい。

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