自動車3社提携 燃費規制が生んだ日欧連合

朝日新聞 2010年04月08日

自動車再編 エコカーの世紀へ加速を

環境にやさしいエコカーの時代を、予想以上の速さでたぐり寄せるテコにしたい。

日産自動車・仏ルノーの連合と独ダイムラーが包括的な資本・業務提携をきのう発表した。地球温暖化対策と新興国台頭に彩られる新世紀。その中で生き残りをかける自動車メーカーの世界的な再編のうねりだ。

昨年の販売実績は、独フォルクスワーゲンとスズキの連合が860万台で首位。トヨタ自動車グループが781万台で2位。日産・ルノー・ダイムラー連合は計764万台で3位になる。748万台で4位につける米ゼネラル・モーターズ(GM)と合わせ、超大手が競う構図が浮かび上がった。

大量生産の権化といえる自動車産業がスケールを追求するのは本能ともいえるが、環境対応の研究開発競争と世界市場での陣取り合戦が拡大志向に一段と拍車をかける。

日米欧の先進国では地球温暖化対策と絡んだ2020年代向けの燃費規制の強化が待ったなしだ。小型車はもちろん、ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池車の開発・生産には多大な投資が必要だ。各メーカーが個別に取り組むのでは負担が重すぎるから、合従連衡は必然となる。

部品の共通化や新技術の効果をフルに引き出すにも、連合を組んで世界の市場をより大きく囲い込むことが重要になる。仮にライバルから技術を買う場合でも、規模が大きければ交渉を有利に運べる。

日産・ルノー・ダイムラー連合は、このような攻守両にらみの動きといえる。商品構成が中大型車に偏るダイムラーは、ルノーの小型車技術、日産の電気自動車や燃料電池の技術を取り込みたい。日産・ルノーはダイムラーの先端的なディーゼルエンジン技術がほしい。そんな相互補完が期待されているようだ。

合併や買収で大が小をのみ込むのではなく、相互出資で緩やかに連合するのが今回の再編の特徴だ。10年余り前にも冷戦崩壊後のグローバル経済化を受けた自動車再編ブームがあり、98年にはダイムラーが米クライスラーと合併した。しかし、経営の融合が進まず、07年には合併を解消。「巨大すぎて経営できない」の教訓を踏まえ、経営の自主性は守りながら環境や新興国市場戦略という課題で連携する形に進化した面もある。

トヨタ自動車がマツダにハイブリッド技術を供与する。中国メーカーは米フォード傘下のボルボを買収、GM傘下のサーブから一部車種の知的財産権を買った。韓国メーカーも再編に絡んでくる可能性がある。

世界の自動車地図は今後も塗りかわる。それを低炭素時代の自動車文明へのアクセルにしてほしい。

読売新聞 2010年04月08日

自動車3社提携 燃費規制が生んだ日欧連合

「環境」をキーワードに世界的な再編が進む自動車業界で、また新たな大型提携が実現した。

日産自動車・仏ルノー連合と独大手ダイムラーが、資本・業務提携すると発表した。互いに約3%の株式を持ち合い、小型車開発や環境技術などで幅広く協力する。

世界有数の大手メーカーでも、環境対策で出遅れれば、単独では生き残れないということだろう。同様の再編は今後も続くとみられる。日本メーカーは持ち前の開発力、技術力に磨きをかけ、再編の荒波を乗り切ってほしい。

ルノーとダイムラーは、11年前には日産との資本提携を競い合うなど、長年ライバル関係にある。そんな両社を結びつけたのは、地球温暖化対策として国際的に強化されている燃費規制だ。

欧州では、2012年から世界で最も厳しい規制が段階的に導入される。クリアするには、新車の平均燃費を、今より2割程度改善しなければならない。

ベンツなどの大型高級車を主力とするダイムラーは、低燃費の小型車の販売比率を早急に増やす必要があった。

一方、小型車が主力のルノーは、金融危機以降の販売不振を脱するため、他社への小型車の供給を検討していた。

3社連合は、小型車での両社の提携に日産が加わる形でまとまった。日産は、ダイムラーのディーゼルエンジン技術や、車台や部品の共通化によるコスト削減効果に注目したとみられる。

3社の世界販売台数はあわせて700万台を超え、独フォルクスワーゲン(VW)とスズキ連合、トヨタ自動車に次いで、世界第3位の規模となる。だが、提携の主眼は規模の拡大ではなく、互いの弱点の補完にあるといえる。

昨年末に小型車開発を軸に提携したVW・スズキ連合も、株式の持ち合い比率は2割以下だ。三菱自動車への出資を検討していた仏プジョー・シトロエングループ(PSA)も、結局は電気自動車などでの業務提携を選択した。

自動車産業は脱ガソリン、新興国市場の急成長、米3大メーカーの凋落(ちょうらく)という転換期にさしかかっている。経営の自主性を尊重しつつ、得意分野で手を組む緩やかな提携には、こうした変化に柔軟に対応する狙いもあるのだろう。

期待した成果があがらなければ、緩やかな提携は長続きすまい。互いの特長をどう生かし、どんな戦略を立てていくのか。各社の経営手腕が問われよう。

産経新聞 2010年04月09日

自動車再編 日本の技術を国際標準に

自動車業界の大型提携が相次いでいる。日産自動車と仏ルノー連合も独ダイムラーと包括的な資本・業務提携を行うと発表した。

リーマン・ショック後の世界同時不況で自動車市場が縮小し、業界の生き残りが厳しい。新興国メーカーの新規参入も相次ぎ、日本のメーカーも安閑としてはいられない。

再編の潮流の中で主要な位置を占めるためにも、日本の技術を国際標準にする戦略が必要だ。なにより、自社技術が国際標準になれば、世界との競争で圧倒的優位に立てる。常に標準化を意識することで他国の動きに素早く対応し、自社にとって不利にならないよう対策を講ずることも可能だ。

今回の3社連合はダイムラーがルノーの小型車技術に注目して協議が始まった。日産のエコカー技術、ダイムラーのディーゼルエンジン技術を持ち寄れば、それぞれ補完関係を築けると判断した。

技術開発には多大な投資が必要だ。それだけに今後もこうした提携によって開発費用を負担し合う流れは止まらないだろう。

問題はそうした再編のうねりに日本メーカーが埋没せず、いかに存在感を発揮していくかだ。すでに実用化されているとはいえ、ハイブリッド車(HV)も電気自動車(EV)も進化はこれからである。小型化や軽量化は日本のお家芸であり、エコカーの基幹部品である電池の技術をリードしているのも日本だという事実を忘れてはなるまい。

特にEVはガソリンエンジンと異なり、構造が比較的簡単だ。高機能の蓄電池さえあれば、一気に競争力を高めることができる。小型で長時間持つハイパワー蓄電池開発が最重要課題だ。

ただ、高い技術力があっても売れなければ宝の持ち腐れでしかない。日本企業はこれまで、技術や製品仕様を世界に広げる国際標準化の努力を怠ったために世界市場で敗退した例が少なくない。高機能でも国内でしか通用しない携帯電話などが典型的な例だ。

先月、トヨタや日産などがEVの充電方式の標準化をめざす団体を立ち上げたのはこれまでの教訓を生かした動きといえる。

業務提携は標準化を進める上での仲間づくりに活用できる。日本メーカーは国際標準化機構(ISO)など公的機関の場を通じ、提携相手とともに自社技術のさらなる標準化を目指してほしい。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/293/