功罪両面が指摘される「平成の大合併」が3月末で終了した。
人口減・少子高齢化社会や地方分権に備えるという市町村合併の方向性は正しい。一部で顕在化した歪みに手当てをしつつ、さらなる合併を追求すべきだ。
1999年3月に3232あった市町村は、11年間で1727となり、ほぼ半減した。
市は670から786に増加した。町は1994から757に急減し、市を下回った。村は568から184に減ったが、それでも一定数が残されたとも言える。
市町村の減少率は、都道府県ごとのばらつきが大きい。長崎、広島など4県が70%を超えたのに対し、大都市部の大阪、東京はわずか2%台だった。面積が広い北海道も15%台にとどまった。
少子高齢化が進む中で、住民に身近な行政機能を確保するには、市町村の行財政基盤を高めることが不可欠だ。国から都道府県、さらに市町村へ地方分権を進めるにも、同様のことが言えよう。
行政の効率化や経費削減の面でも、合併のメリットは大きい。首長ら三役と議員が2万1000人減り、年1200億円の人件費が節約された。2016年度には、年1兆8000億円の節減効果を生むとの試算もある。
今回、合併を検討しながら、首長や議会の相性の悪さなどから交渉が不調に終わった例も少なくない。今後も、各市町村が自主的に合併する選択肢は残しておくべきだ。国と都道府県も、積極的に側面支援してもらいたい。
一方で、合併の結果、「中心部から外れた旧市町村がすたれた」「住民の声が届きにくくなった」との不満があるのも事実だ。
旧市町村に開設した市町村役場の出先機関の機能や出先機関の長の権限を強化するなど、きめ細かな対応が求められよう。
住民サービスの低下や地域の伝統・文化の衰退を懸念する声もある。だが、これらは、合併よりも、不況や、三位一体改革の地方交付税削減に起因する面が多い。
合併による効率化は、すぐに目に見えるとは限らない。中長期的な行政改革を通じて、粘り強く実現を目指す必要がある。
注目すべきは、合併の副次効果として、住民が地元の行政に目を向け、地方自治への参加意識を持ち始めたことだ。新たな地方自治組織を作り、イベントや町づくりに取り組む例も多数ある。
こうした動きを、各市町村が支援し、連携することが重要だ。
体系が必要だ。将来性負担比率、財政力指数等は当然加味されるべきだ。