若林議員辞職 何とも情けない汚点だ

朝日新聞 2010年04月03日

なり代わり投票 厳粛な信託を忘れたか

風上にもおけない、とはこのことをいう。

自民党の若林正俊元農林水産相が参院本会議での採決で、隣席の同僚である青木幹雄議員の投票ボタンを本人になり代わって押した。「魔がさした」ではすまない不行跡であり、議員辞職したのは当然である。

国会議員は憲法で「全国民の代表」と位置づけられている。法律を定め、国家財政を統制し、首相を指名する。その重責を自由で独立した立場で果たせるよう、様々な特権も与えられる。議院での表決や発言は院外で責任を問われない、というのもその一つだ。

それほど重い一票を青木氏になり代わって行使したのは、2004年参院選で青木氏に投票した25万人の地元有権者への裏切りというにとどまらず、「全国民」に対する背信行為である。取り返しがつかない。

押しボタン投票は、長年の参院改革論議を踏まえて導入された仕組みだ。議員一人ひとりの投票行動をきちんと記録し、情報公開することを通じて、その政治責任を明確にすることをめざした制度である。

「なり代わり」投票は、その趣旨を土足で踏みにじる行為であり、参院の自殺行為といっても過言ではない。

今回の不祥事は、政党のあり方も改めて問い直している。

若林氏は「深く考えることなく押した」と語ったが、それは青木氏がどう投じるかを分かっていたからである。法案への賛否は通常、党執行部があらかじめ決め、各議員に対し「党議拘束」をかけている。ならば、「なり代わり」投票をしたところで実害はないという感覚だったのだろう。

しかも、最近の選挙は個々の候補者というよりは政党本位の争いである。二大政党化とマニフェスト選挙の定着がそれに拍車をかける。したがって、政党の規律に服するよう個々の議員に迫る圧力はますます強まる。

現実の国会議員は、憲法が想定するような自由で独立した「全国民の代表」の姿から遠くなりつつある。

しかし、それでいいのだろうか。

政党本位の政治はいいとしても、議員それぞれが熟慮し、判断することを妨げてはいけない。党議拘束に縛られた機械的な採決ばかりではいけない。議員相互の自由な「熟議」や、そのうえでの柔軟な法案修正があっていい。

この問いは民主党にこそ突きつけられている。執行部の締め付けが強く、新人議員は「採決マシン」にすぎないという嘆き節をしばしば聞く。

夏の参院選に現職の衆院議員をくら替えさせるのも、総選挙を通じた有権者の付託を軽んじる態度である。

「国政は国民の厳粛な信託による」と憲法はうたう。その本分を忘れるような行いは、もっての外である。

毎日新聞 2010年04月03日

若林議員辞職 何とも情けない汚点だ

あぜんとするほど情けない不祥事である。参院本会議採決で議場にいなかった議員の代わりに投票ボタンを押した問題の責任を取り、自民党の若林正俊元農相が議員辞職した。

議案への賛否を表明する行為は言うまでもなく、議員活動の根幹だ。経験を積んだはずの議員がまるで学生の「代返」のように軽い気持ちで代理投票をしてしまうとは、信じがたいモラルの崩壊だ。辞職は当然であり、国会全体の緊張感の欠如も懸念せざるを得ない。

ことのいきさつはこうだ。若林氏は3月31日の参院本会議に出席したが、隣席の青木幹雄前参院議員会長が途中退席した。その後、10年度NHK予算承認案など計10件の採決すべてで若林氏は青木氏のボタンを押し、投票を代行した。このことが1日発覚し、民主党は若林氏の懲罰動議を提出した。自民党にも議員辞職を求める声が急速に広がり、スピード辞職に追い込まれた。

若林氏は記者会見で「魔が差したとしか言いようがない。青木氏がすぐ戻ってくると思いボタンを押した」と釈明している。だが、議員が議場にいなければ表決に参加できないのは衆参両院を通じた議会の鉄則だ。このため、重要案件の採決の際、病身をおして議員が登院することも珍しくない。衆院3期、参院ほぼ2期務めた閣僚経験者にそんな当たり前の節度が欠けていたことに、寒々としたものを感じてしまう。

単なる「お粗末劇」と見過ごせないのは、国会での議決の信用性を損ねた罪深さにある。参院本会議は98年の通常国会から押しボタン方式を導入している。議員の投票行動の明確化のためだが、当時は「牛歩戦術」などの抵抗戦術封じが目的、との指摘もあった。

今回、若林氏は自らの独断と説明し、青木氏も投票依頼を否定した。青木氏が参院自民の実力者とはいえなぜ無断で代理投票までしたのか、本当に今回だけか、不信を抱かれても仕方あるまい。参院は厳しく事実関係を検証しなければならない。

押しボタンは隣席からも手が届き、出席議員が投票時まで着席していたかは確認されない。あくまで議員の自覚の問題なのはもちろんだが、必要ならシステム上の課題も点検すべきだろう。

それにしても、国会に緊張感が乏しい。若林氏は今夏の参院選を控え、今期限りの引退を表明していた。与党側も、閣僚の審議への遅刻や居眠りが批判を浴びたばかりだ。

政権交代後、初の当初予算審議を終え、重要法案の審議が本格化するのはこれからのはずだ。にもかかわらず、国会自らがその存在をおとしめているのでは自殺行為に等しい。

読売新聞 2010年04月03日

「代理投票」 国会の議決を冒涜する行為だ

厳正でなければならない国会の議決を冒涜(ぼうとく)する行為である。

自民党の若林正俊・元農相が参院本会議で、隣席の青木幹雄・前参院議員会長の投票ボタンを押した責任をとって議員辞職した。

「代理投票」とも、偽装投票とも言えるような愚かな行為だ。辞職は当然だろう。

若林氏は記者会見で、3月31日の本会議における改正雇用保険法など10件の採決で、青木氏の投票ボタンを押したことを認めた。

さらに「青木氏が席を離れた。間もなく戻るものと思ってボタンを押してしまった」と釈明した。ただ、「青木氏から依頼されたことはない。初めてしたことだ」とも述べた。

だが、肝心のボタンを押した理由については「魔が差したとしか言いようがない」と語るだけで、まったく説明になっていない。

国会は、言うまでもなく、国の唯一の立法機関である。

とくに衆参両院の本会議は、各院の最終的な意思を決める場だ。議案成立の可否は、特別の定めのある場合を除いて、出席議員の過半数で決まる。

ここでは、わずか1票の差によって法律が成立したり、しなかったりする。議員一人一人が、自らの責任で投じる1票が、重い価値を持つゆえんだ。

今回の若林氏の軽率な行為は、国会議員の職責の重大性を、まったく失念していたものと言わざるをえない。

そもそも、一般の有権者が選挙で他人になりすまして替え玉投票をすれば、公職選挙法違反で逮捕される。それが世間の常識だ。

若林氏は、自ら犯した罪の深さをかみしめるべきである。

問題となったボタン式投票は、採決時の牛歩戦術などの反省から1998年に参院に導入された、短時間での採決方法だ。

参院改革の一環として取り入れた独自の投票方式が、こうして悪用されたのでは、「良識の府」が泣く。不祥事が明るみに出た以上は、不正投票の防止策を検討する必要があるのではないか。

自民党は、全議員懇談会の場でも谷垣総裁率いる執行部の刷新要求が絶えず、揺らいだままだ。

昨年9月、事実上の総裁不在で迎えた国会の首相指名選挙で、自民党議員が苦肉の策としてそろって投票したのが、当時、両院議員総会長の若林氏だった。

若林氏の今回の不正は、政権交代後、緊張感を欠いている自民党へのさらなる打撃となろう。

yutakarlson - 2010/04/04 16:22
■青木幹雄よ お前も辞めろ!-老害以外の何ものでもない!

こんにちは。身代わり投票問題の責任を取って、自民党の若林正俊元農相(75=長野選挙区)が、参院議員を辞職しが、その原因をつくりだしていたのは、青木幹夫前参議院会長です。この1年間で、青木氏は本会議の採決を3回欠席。「途中退出は欠席にカウントされない」(議事課)というから、今回のように採決前に席を離れた分を含めれば、青木が採決に不在だった回数は、さらに増えるでしょう。国会の採決に参加しない議員などその存在理由が問われます。この二人の議員に関しては、老害以外の何ものでもないと思います。現在銀行などでは、老害を防止する人事システムが導入されているところもあります。国会議員なども、自分で老害を防げないというのなら、このようなシステムの導入も検討すべきと思います。最近は、世の中が変わってきて、昔なら考えられないような、マナーの悪い老人が増えているようです。日本には、儒教思想が古くから導入されて、お年寄りは大事にして敬うべきとの考えが浸透していて、それはそれで良いことなのですが、老害を撒き散らすような老人にはそれは適用すべきではないと思います。若かろうが、年をとっていようが、最低限のマナーは守るべきです。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。
yutakarlson - 2010/04/04 16:23
■青木幹雄よ お前も辞めろ!-老害以外の何ものでもない!

こんにちは。身代わり投票問題の責任を取って、自民党の若林正俊元農相(75=長野選挙区)が、参院議員を辞職しましたが、その原因をつくりだしていたのは、青木幹夫前参議院会長です。この1年間で、青木氏は本会議の採決を3回欠席。「途中退出は欠席にカウントされない」(議事課)というから、今回のように採決前に席を離れた分を含めれば、青木が採決に不在だった回数は、さらに増えるでしょう。国会の採決に参加しない議員などその存在理由が問われます。この二人の議員に関しては、老害以外の何ものでもないと思います。現在銀行などでは、老害を防止する人事システムが導入されているところもあります。国会議員なども、自分で老害を防げないというのなら、このようなシステムの導入も検討すべきと思います。最近は、世の中が変わってきて、昔なら考えられないような、マナーの悪い老人が増えているようです。日本には、儒教思想が古くから導入されて、お年寄りは大事にして敬うべきとの考えが浸透していて、それはそれで良いことなのですが、老害を撒き散らすような老人にはそれは適用すべきではないと思います。若かろうが、年をとっていようが、最低限のマナーは守るべきです。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。
Tad - 2010/04/05 08:33
    ●青木幹雄参議員は即刻「議員辞職」すべきである●
青木事務所は採決の前に議場を退出した理由について、「会合に出るため」と答えた。議案の採決より会合優先なんて本末転倒だ。有権者から与えられた国会議員の重い一票をないがしろにしている点では、若林と同罪である。
http://gendai.net/articles/view/syakai/122554 [ソースチェック]
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/174/174-0331-v001.htm [ソースチェック]

 若林正俊はすぐ退職したが、議会制度の根幹を覆す違反の中心にいた青木幹雄議員も責任がある。
1)記録映像によると、若林の両側の席は空席となっていた。「魔がさした」のなら左側の席のボタンを押すはずである。なぜなら投票ボタンは右手側に設置されている。
3/31 13:01~14:30までの長時間、ずっと「魔がさして」右側の遠いボタンに体を伸ばし10回も押し続けることは相当の努力を必要とする。
何らかの「任務意識」が無ければできないことだ。それにケンカ・カンニングなど不正行為は「両成敗」が古今東西普通である。
2)まる1週間たっても青木は逃げ回るばかりで国民の代表たる議員の「説明責任」と「訂正責任」を果たしていない。
↑のように3/31の議決は自分が投票をしたままとなっている。これは自分の関係した議会制度を否定する「違反行為」に何の反省も罪悪感もないことの証明である!
従って青木は議会制度を任せられる資質に欠けることになる。

 即刻、(若林についで)青木を辞職させ、自民と国会全体の浄化に努めなければこの国の未来はない!


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