小学校教科書 神話で日本のよさ学ぼう

朝日新聞 2010年04月01日

小学校教科書 「分厚い」を「楽しい」に

来年春、新学年に進んだ小学生たちは、盛りだくさんになった教科書を手に驚くだろう。その戸惑いを学ぶ喜びにつなげてゆくには、どうすればよいだろうか。

文部科学省の検定をパスした教科書は、いまのものに比べ、どの教科もページ数が大きく増えた。理科や算数は3割以上という変わりようだ。

「ゆとり教育」への批判を背に、2年前に学習指導要領が改められた。基礎的な知識や技能の習得を大事にすることに加え、その知識を活用して問題を解決したり、表現したりする力をつけるよう求めた。授業時間も増やす。

新しい指導要領はまず小学校から適用される。それを受けて、教科書も一気に欲張ったものになったのだ。

ページを繰ってみる。台形の面積の出し方(5年算数)など、これまでは「発展的な内容」としてしか取り上げられなかった項目が、全員が学ぶべきこととして復活した。国語では、まだ習っていない漢字も、振り仮名つきで載るようになった。

目立つのは、教え方や学び方の工夫がたっぷり盛り込まれたことだ。前の学年で習った内容の繰り返し、討論会のように言葉での表現を促す問い、気づいたことを書き込めるコーナー。ノートのとり方の例を載せた本もある。

子どもたちの知識が薄っぺらになっていることは心配だった。教科書の内容が豊かになったのはよいことだ。学びの幅も広げられるだろう。

課題は、先生たちにこの教科書をうまく使いこなしてもらうことだ。

日本の先生はまじめだ。「教科書は内容をすべて教えるもの」と思っている人は少なくない。だが、新しい教科書をこれまで通りに教えていては、たちまち授業はパンクし、落ちこぼれる子どもがたくさん出るかもしれない。

これからは、もっとやわらかく教科書を使う必要がある。基礎は大事にしつつ、子どもの理解に合わせて、取り上げる内容を吟味し、考える時間をたっぷりとるようにする。教え込むだけの素材ではなく、子どもの気づきを引き出す道具でもある、と考えたい。

手取り足取りのヒントがたくさん載っている。でも本来、教える工夫を編み出すのは、教室で毎日子どもと向き合う先生たち自身だ。そのためには、先生たちへの応援も必要だ。最近は、授業方法や教材を研究する暇もないほど忙しいという。先生の数を増やし、雑務を減らして、指導力を磨く時間を確保してゆかねば。

近年の教育現場は学力低下への批判を浴び、授業時間や教科書のページ数など、量をめぐる議論に目が向きがちだった。そろそろ「質の教育」をめざすことに本腰を入れるときだ。

分厚くなった教科書を、そのきっかけにしたい。

産経新聞 2010年04月01日

小学校教科書 神話で日本のよさ学ぼう

来年4月から使われる小学校教科書の検定結果が公表された。特徴的なのは、国語で全社の教科書に「因幡(いなば)の白ウサギ」など神話が取り上げられたことだ。

神話は古事記や日本書紀などにある古代日本の物語で、その時代の人々の生活や考え方を伝える貴重な遺産だ。ところが、戦後の学校教育では軽視されてきた。自国の伝統文化に親しみ、誇りを持てる教育を実践してほしい。

今回は、国や郷土を愛する態度や伝統文化の尊重を重視した改正教育基本法の成立後初めての検定である。同法の理念が教科書に反映されたことは評価したい。

神話が登場したのは国語の低学年用の教科書だ。子供にも分かりやすく書かれた神話を10ページ近くにわたり掲載した教科書もある。

神話は、戦後教育で教科書にあまり取り上げられなくなった。特に歴史教育では、神話について「天皇の支配を正当化するための創作」といった誤った批判があり、一時教えられなくなった。

近年、ゆとり教育で学力低下を招いただけでなく、日本の国造りなどの物語をおもしろく、魅力的に教える機会が減った。

以前なら、学校で学ばなくても祖父母や両親から聞かされた人は多いはずだ。だが桃太郎など昔話を含めて知らない大人が増えている。神話は大人が読んでもおもしろい。子供のころの読み聞かせから親しむことは、伝統文化を深く理解し、豊かな心を育てることにつながる。

一方、社会科では、全社が「竹島」について記述した。検定では地図中の竹島が日本の領土と分かるよう国境線を明示するよう求められた。国土について正しく教えるのは当然である。

だが、「アジア・太平洋戦争」という一部学者らが使うイデオロギー性の強い用語が見られるなど自虐史観から抜け出せない記述は相変わらずある。

伝統文化の尊重は、他国の文化を理解し尊ぶことにつながる。改正基本法や新学習指導要領でも強調されたこうした教育目標は、政権が代わったからといってないがしろにしてはならない。

日教組など一部組合の教員を中心に、愛国心や伝統文化を尊重することに拒否反応を示す動きが依然として残っている。一新される小学校教科書でどのような授業が行われるか注視したい。

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