日韓財務対話 通貨協定を関係改善の一助に

読売新聞 2016年08月28日

日韓財務対話 通貨協定を関係改善の一助に

日韓関係の改善傾向を経済分野で後押しする合意として歓迎したい。

ソウルで第7回日韓財務対話が開かれた。麻生財務相と韓国の柳一鎬企画財政相が、日韓通貨交換(スワップ)協定の再締結に向けて、議論を開始することで一致した。

スワップ協定は、通貨危機の際に米ドルなどを融通し合う枠組みだ。2001年に締結され、主に韓国の通貨不安を抑える役割を担ってきたが、昨年2月に期限切れで失効している。

今年6月には、英国の欧州連合(EU)離脱決定の余波で、通貨ウォンが急落した。韓国は外貨準備高を積み増しており、通貨融通の必要性は低いとされるものの、柳氏は「2国間経済協力強化の証し」として再締結を提案した。

スワップ協定は、金融分野における日韓協力の象徴的存在だ。再締結は、両国だけでなく、アジア地域全体の金融市場の安定にも役立つと評価できよう。

日韓両政府が昨年末、慰安婦問題の解決に合意したことで、両国関係は着実に改善している。今回の協定再締結も一助となろう。

そもそも財務対話が06年に始まったのは、小泉元首相の靖国神社参拝問題で冷却化した日韓関係を経済面から修復する一歩とする狙いが大きかった。

12年に竹島問題を巡る日韓対立の影響で中断されたが、昨年5月に再開された。今後も、経済問題全般について、率直な協議を重ねることが求められる。

財務対話では、資源価格の不安定化や地域紛争などの地政学的リスクで、世界経済が不確実性を増しているとの認識で一致した。

日韓両国が、国際社会の成長を下支えするため、金融政策、財政出動、構造改革など、全ての政策手段を取ることを改めて確認したのは妥当である。

両国は、少子高齢化に伴う潜在成長率の低下など、共通の課題を抱えている。生産性を高める規制改革など成長戦略について、建設的な対話を行うべきだ。

通商分野では、日中韓の自由貿易協定(FTA)や、東アジア地域の包括的経済連携(RCEP)に関する交渉の進展に両国が努力することで一致した。

米国では、11月の大統領選を控え、日米など12か国が署名した環太平洋経済連携協定(TPP)の批准が不透明さを増している。

米国の批准の動きを見守るだけでなく、日中韓FTAやRCEPの交渉についても地道に前進させることが欠かせない。

産経新聞 2016年08月30日

韓国との通貨協定 反日を改める契機とせよ

昨年2月から途絶えていた日韓通貨交換(スワップ)協定が再開することになりそうだ。

ソウルでの日韓財務対話で韓国が提起し、麻生太郎財務相が応じた。両国は通貨危機時にドルなどを融通し合う新たな枠組みを協議する。

民主主義同士の隣国と経済・金融面で連携を強化するのは、世界経済の不確実性の高まりに備える上で大きな意義があるといえよう。

協定は日韓関係の悪化に伴い途絶した経緯がある。地域の安全保障環境の悪化を受け、関係改善に動き始めた流れを再協議が加速することを期待したい。

重要なのは、「反日」や中国傾斜を強めたことが、経済や安全保障などあらゆる面で悪影響を及ぼしたという点を、韓国側がきちんと認識することである。

通貨協定は、市場で円やウォンが暴落した際に、これを買い支える枠組みである。韓国側は双方の融通枠を同額とする対等な協定を提案したが、実際には韓国の危機を日本が救済する色彩が濃い。

旧協定は、アジア通貨危機で韓国経済が打撃を受けたことを踏まえて始まった。だが、李明博前大統領の竹島上陸などで急速に両国関係が冷却化し、協定延長はなされず昨年2月に打ち切られた。日本側は、あくまでも韓国側の要請を協定再開の条件としていた。

再協議で合意したのは、中国経済の減速や英国の欧州連合(EU)離脱問題などで世界経済のリスクが高まったことが大きい。

産経新聞 2016年08月30日

韓国との通貨協定 あらゆる面で悪影響あった「反日」を改める契機とせよ

昨年2月から途絶えていた日韓通貨交換(スワップ)協定が再開することになりそうだ。

ソウルでの日韓財務対話で韓国が提起し、麻生太郎財務相が応じた。両国は通貨危機時にドルなどを融通し合う新たな枠組みを協議する。

民主主義同士の隣国と経済・金融面で連携を強化するのは、世界経済の不確実性の高まりに備える上で大きな意義があるといえよう。

協定は日韓関係の悪化に伴い途絶した経緯がある。地域の安全保障環境の悪化を受け、関係改善に動き始めた流れを再協議が加速することを期待したい。

重要なのは、「反日」や中国傾斜を強めたことが、経済や安全保障などあらゆる面で悪影響を及ぼしたという点を、韓国側がきちんと認識することである。

通貨協定は、市場で円やウォンが暴落した際に、これを買い支える枠組みである。韓国側は双方の融通枠を同額とする対等な協定を提案したが、実際には韓国の危機を日本が救済する色彩が濃い。

旧協定は、アジア通貨危機で韓国経済が打撃を受けたことを踏まえて始まった。だが、李明博前大統領の竹島上陸などで急速に両国関係が冷却化し、協定延長はなされず昨年2月に打ち切られた。日本側は、あくまでも韓国側の要請を協定再開の条件としていた。

再協議で合意したのは、中国経済の減速や英国の欧州連合(EU)離脱問題などで世界経済のリスクが高まったことが大きい。

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